16号車ARTA「予選が重要。ポール・トゥ・ウインしかない」NSXラストランの有終の美を飾れるか【GT500三つ巴決戦プレビュー】

2023年11月3日(金)19時12分 AUTOSPORT web

 シーズン最終戦でチャンピオンが決まる重要な一戦となる2023スーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』。GT500クラスランキング3位、ホンダ勢で唯一のタイトル候補としてレースに挑む福住仁嶺/大津弘樹組の16号車ARTA MUGEN NSX-GT陣営に意気込みを聞いた。


 ホンダ勢では唯一16号車のみがチャンピオン争いに残って迎えた最終戦もてぎ。ただ、ランキングトップの36号車au TOM’S GR Supraとは16ポイント差をつけられており、逆転タイトルを獲得するためには優勝が最低条件。福住は「タイトル獲得への条件としては優勝しかありません。さらに僕らは優勝しても“うまくいけば”チャンピオンなので、まずは優勝を目指していきます」と語る。


 今戦はレース距離が300kmということに加え、舞台となるモビリティリゾートもてぎはオーバーテイクしづらいサーキットでもあることから、福住は「300kmレースなので予選がすごく重要になると思います。頑張って前にいきたいです」と、予選ポジションが重要だと続ける。


 一方でパートナーの大津は「僕たちのポジションは走り出さないと分からないですけど、クルマのパフォーマンスとしてはチームがいつも良いマシンを用意してくれているので、今回もそのパフォーマンスを最大限引き出したいです」と意気込み、シーズン後半戦にかけてポテンシャルを発揮してきた16号車の進化を感じているようだ。


「僕たちは今年実質上の新チームになり、シーズン序盤は細かいミスやペナルティを受けてしまって取りこぼしたレースがかなり多かったです。でも、後半戦になって“まとまってきた”ことをすごく感じています。最終戦では、その部分をさらにブラッシュアップした状態で臨めるので、ミスのないよう、自分たちのベストを最大限出し尽くすことに集中したいです」

2023スーパーGT第8戦もてぎ 福住仁嶺/大津弘樹(16号車ARTA MUGEN NSX-GT)


■狙うはタイトルへの最低条件“ポール・トゥ・ウイン”。NSXラストレースにかける想い


 なお、この話を聞いた金曜搬入日は晴天となり、気温も25度と11月とは思えないほどの暑さを感じさせる。もてぎは明日以降も晴れの予報で、最高気温は予選日が23度、決勝日が22度と、昨年の気温16度からはやや高めになることが予想される。


 このコンディションに対して大津は「セットアップの部分で一番重要なのはタイヤだと思っているんですけど、持ち込んだタイヤで言うと、僕たちは(気温が)低くなっても高くなっても、どちらでも対応できるように持ってきています」と不安要素はないと語る。


 そして杉崎公俊エンジニアもタイヤについては心配しておらず、「今回はまず予選でポールポジションを獲ることが第一目標です。もちろん戦略、セットアップはいろいろと準備してきていますけど、今の段階ではポール・トゥ・ウインしか考えていません」と語り、あくまで16号車はチャンピオンへの最低条件であるポール・トゥ・ウインを狙っていく。

2023スーパーGT第8戦もてぎ ピット練習を行う16号車ARTA MUGEN NSX-GT


 また、今回のホンダ陣営でもうひとつのトピックスになるのが、2014年のコンセプトGT時代から数えてGT500で10シーズンを戦ったNSX-GTのラストランだろう。


 2019年にARTA NSX GT3でGT300クラスのタイトルを獲得し、翌年からGT500に参戦し始めた福住が「これまでNSXがチャンピオンを獲得したのは4回なので、僕たちが5回に増やしたいです。本当に最後なので、歴史に残るような逆転チャンピオンを獲得できればなと思います」と語ると、同じようにGT300でNSX GT3を駆り、2020年にGT500にステップアップした大津は以下のように続ける。


「僕がGT300からステップアップしたときに、GT500のNSX-GTがMRからFRに駆動方式が変わりました。その変わったタイミングでGT500でレースを始め、これまでポールポジションや表彰台、優勝をしたのでいろいろな思い出が詰まっています。今回はNSX最後のレースですし、ホンダでチャンピオンを獲得できるのは僕たちしかいません。なので有終の美を飾りたいです」


 現役時代にNSX-GTを駆って数々の名勝負を繰り広げた土屋圭市エグゼクティブアドバイザーも「ライバルが何位だろうが16号車としてはポール・トゥ・ウインしか狙っていない。それでチャンピオンが獲れなくても、NSX最後のレースだから優勝して終わりたい」と語った16号車陣営。


 先代モデルから多くの名レースを生み出したNSXに有終の美をもたらすことはできるのだろうか。逆転チャンピオンには厳しい条件が多いものの、16号車がみせる後半戦の勢いからすれば、チャンピオンはまだ射程圏内にあるのかもしれない。

2023スーパーGT第8戦もてぎ 最終戦恒例の記念撮影を行うARTA MUGEN陣営

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