NASCARの3シリーズでタイトル決定。カップシリーズは年間10勝目を挙げたラーソンが初戴冠

2021年11月11日(木)16時7分 AUTOSPORT web

 アメリカNASCARのトップ3シリーズはアリゾナ州のフェニックス(1マイルオーバル)で今季最終戦兼プレーオフ最終ラウンドのタイトル決定戦『CHAMPIONSHIP4(チャンピオンシップ4)』を迎え、現地11月5日から1日ごとにトラック、Xfinity、カップの順で決勝レースが行われた。3シリーズとも、プレーオフを勝ち抜いてきた4人がタイトル獲得の権利を持ち、チャンピオンシップ4で先着した者がチャンピオンというシステムだ。


 トラックシリーズ(決勝レース150周)は、4号車ジョン・H・ネメチェック、21号車ゼーン・スミス、88号車マット・クラフトン、99号車ベン・ローズによる争いで、今季5勝のネメチェックが本命視されていた。しかし、他車との接触が原因のパンクに見舞われ、2周遅れに。90周近くをかけてリードラップに戻ったが、可能性はしぼんでしまった。


 第1、第2ステージを4人中トップで終えたのはローズ。だが、残り8周の段階で4人のなかでの先頭はスミスとなっていた。彼がタイトルにもっとも近い位置にいるかと思われたが、ローズがターン2でスミスを軽いコンタクトから出し抜き、4人中トップとなる3位でチェッカー。初のトラックシリーズタイトルを獲得した。

24歳のローズはフル参戦6年目で初のトラックシリーズチャンピオンに。


 Xfinity(決勝レース204周)は、9号車のノア・グラグソン、16号車AJアルメンディンガー、18号車ダニエル・ヘムリック、22号車オースティン・シンドリックのうち、グラグソンが最終ステージ早々のピット作業で大きく時間をロス。後方に沈んでしまう。それでも、イエローが続出するレース展開にも恵まれ、残り20周あたりでは4番手まで回復してきていたが、3番手を走っていた残り7周のとき、ウォールにヒット。タイトル争いから脱落となった。アルメンディンガーは残り13周あたりでは15番手。事実上、チャンスはなくなっていた。


 そうしたライバルの浮沈とは関係なく、レースはスタートから終始、シンドリックとヘムリックが入れ替わり立ち替わりでトップを争うという展開で、決着はオーバータイム(3周)にもつれ込んだ。リスタート時のオーダーはトップがシンドリック、2番手がヘムリック。リスタートでいったんヘムリックが先行するも、すぐにシンドリックが抜き返し、そのオーダーでフィニッシュになるかと思われた。だが、最終ラップの最終コーナーで波乱が発生。


 2台はアウト側に少し膨らむと、その直後にイン側2番手のヘムリックがリヤを微妙にスライドさせたようで、アウト側でトップを走っていたシンドリックに軽くコンタクト。シンドリックはよろめきながらも立て直したが、これでヘメリックの半車身リードに。2台はドア同士を接触させたままチェッカーを潜り、チャンピオンはヘムリックとなった。

Xfinityは2台が文字どおりひっついたままチェッカー。ヘムリックは初のシリーズタイトル獲得。


 メインイベントのカップシリーズ(決勝レース312周)は、5号車カイル・ラーソン、9号車チェイス・エリオット、11号車デニー・ハムリン、19号車マーティン・トルーエクスJrがタイトルコンテンダー。この4人のなかで、今季ここまで35戦中9勝という圧倒的な強さを見せてきたラーソンがチャンピオン最有力候補と見られていた。


 4人ともスタートからトップ付近をキープし、そのままレースは終盤に。281周目、イエローが発生。この段階での4人のオーダーは、トップがトルーエクスJr、2番手ハムリン、3番手エリオット、4番手ラーソンで、4人とも最後のピットストップへ向かった。すると、ここでラーソンがトップへと躍り出る。ラーソンは前日の予選結果により、ピットロード出口にもっとも近いピット位置を確保。ピットレーン速度制限に関係なくダッシュできるアドバンテージを得ており、クルーのピット作業自体も非常にクイックだったことで、3ポジションアップを果たすことに成功した。


 これで、残り24周で迎えたリスタート段階でのオーダーは、トップからラーソン、トルーエクスJr、ハムリン、エリオットに。ここからラーソンはトップを譲ることなく、そのままチェッカー。今季10勝目で、NASCARカップシリーズ初戴冠を飾った。


※この記事は本誌『オートスポーツ』No.1564(2021年11月12日発売号)からの転載です。

昨季のNASCARは新型コロナの影響で4戦を終えたところで中断。そのあいだに行われたバーチャルレース中にラーソンが問題発言。チップ・ガナッシ・レーシングから契約を解除され、昨季のシリーズ再開以降、NASCARを走れずにいた。しかし、昨年暮れにNASCARのベストチームのひとつ、ヘンドリック・モータースポーツが獲得。カップ戦王者7度のジミー・ジョンソンが抜けた穴を埋めるかたちとなった。そうした経緯もあり、チャンピオンが決まった後、車内でのラーソンは目が潤んでいた。
服部茂章オーナー率いるHREの16号車A.ヒルは10位でチェッカー。今季は2勝を含むトップ5フィニッシュ8回、トップ10フィニッシュ15回。チームランキング7位で終えた。
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