世界タイトル戦「善戦」の亀田和毅、「史郎さんの指導力を改めて感じた」...所属ジム会長が語った「大きな収穫」とは
2025年5月26日(月)17時10分 J-CASTニュース
プロボクシングの元世界2階級制覇王者の亀田和毅(TMK、33)が2025年5月24日、地元大阪でIBF世界フェザー級王者アンジェロ・レオ(米国、31)に挑戦し、0−2の判定で敗れ、世界3階級制覇はならなかった。
「大事な序盤で波に乗り遅れてしまった」
試合は、王者が序盤に主導権を握った。ジャッジ2人が、4ラウンドまですべて王者にポイントをつける苦しい展開に。
亀田は5ラウンドに入ってから、それまでのアウトボクシングを捨て、王者との距離を詰めて打ち合いに転じた。このスタイルが功を奏し、中盤以降は一進一退の展開となった。
終盤に入ると、亀田はギアを上げて果敢に攻めに出た。打ち合いが得意な王者はこれに応じ、激しい攻防が繰り広げられた。最終12ラウンドに、亀田がクリーンヒットを決めるもダウンを奪えず、勝負は判定にもつれ込んだ。
採点は、2人のジャッジが、それぞれ116−112、115−113で王者を支持。残る1人は、114−114のドローだった。
善戦むなしく0−2の判定負けを喫した亀田。J-CASTニュースでは、所属ジムの金平桂一郎会長(59)に試合の敗因や、今後の展望などを聞いた。
試合当日、リング下から見守った金平会長は、今回の世界タイトル戦に関して、2つの敗因を挙げた。
「1つ目は、本人も認めているとおり、1ラウンドから4ラウンドの序盤の出だしに失敗して、(試合の)入りが悪かったところ。いろいろな意味で、1ラウンド、2ラウンドは価値が高い。ジャッジは、序盤の3ラウンドくらいまでを見て、『この選手は、こういう選手なのだろう』と選手を印象付けてしまう傾向にあり、その後はポイントを取りづらくなってしまう。大事な序盤で波に乗り遅れてしまった」
そして、こう続けた。
「たらればの話になってしまうが、11ラウンドをしっかり取っていたら」
「もうひとつは、11ラウンド。ここでポイントが王者に流れてしまった。10、11、12ラウンドはどうしても取らなければならないラウンドでした。たらればの話になってしまうが、11ラウンドをしっかり取っていたら、ドローになっていた」
金平会長が指摘するように、11ラウンドは3人のジャッジすべてが、10−9で王者を支持。最終12ラウンドは3人のジャッジすべてが亀田を支持した。
今回の世界タイトル戦に向けて、亀田は父・史郎氏(60)の指導を受けてきた。金平会長は、史郎氏の指導力が、試合に大きく反映されたとした。中盤に接近戦で王者を苦しめたのは、史郎氏の指導があったからこそだという。
金平会長は「私は、和毅がもっとアウトボクシングをすると思っていた。ところが、中盤、削り合い(距離を詰めての打ち合い)を選択した。接近戦を得意とする王者に接近戦を挑み、挽回したのは、史郎さんの指導の効果が出てきたと思いました。史郎さんが指導するボクシングがかみ合ってきた。削り合いを選択することで、王者を追い込むことができた。これは大きな収穫だと思います」と冷静に試合を振り返り、次のように持論を展開した。
「史郎さんが指導し始めてから和毅は好戦的なスタイルに変えた。昨年8月の(レラト)ドラミニ戦では、少しさばかれてポイント的に危ない場面はあったが、ダウンを奪って手ごたえをつかんだ。今回、世界の舞台で、王者とこれだけのやりとりができるというところまでもってきているのは、本人の努力はもちろんのこと、史郎さんの指導力だと思います。史郎さんの指導力を改めて感じました」
スポーツ紙の報道によると、亀田は試合後、現役続行の意思を表明したという。
金平会長は、今後のスケジュールに関して「まだ未定」とし、「世界ランキングは1位だったし、あの内容だったので、おそらくはそれほど急激に下げられることはないと考えています。下位ランクに落ちるとか、ランク外になるとかは、ないと思っています。そこからどのように組み立てていくかは、状況を見ながら考えないといけない」と慎重に語った。