「親父であり、神様」国さんを偲び土屋圭市が思い出のヘルメットでR32 GT-Rとともに富士を駆ける

2022年12月4日(日)19時10分 AUTOSPORT web

 12月4日、静岡県の富士スピードウェイで開催された第23回ニスモフェスティバル。ニッサン/ニスモからファンへの感謝を伝えイベントだが、この日のレースイベントプログラムのなかで、2022年3月16日に亡くなった“国さん”こと高橋国光さんを偲ぶ展示やデモランが行われ、国さんの“愛弟子”とも言える土屋圭市さんが、国さんのヘルメットを被り、コンビを組んでいた1992年のSTPタイサンGT-Rでデモランした。


 二輪、四輪と国内外のレースで活躍し、その魅力的な走りと速さ、そして誰からも愛された人柄で多くの人に慕われながら、2022年3月に亡くなった国さん。四輪の現役時代に所属したニッサンのファンイベントであるニスモフェスティバルでは、国さんを偲ぶ展示、そしてデモランが行われた。


 ピットエリアに設けられた『高橋国光メモリアルガレージ』には、国さんを偲びR382やKPGC10“ハコスカ”スカイラインGT-R、“ケンメリ”KPGC110スカイラインGT-Rレーシング・コンセプト、そしてSTPタイサンGT-Rなどが展示されたほか、国さんが着用したレーシングスーツやトロフィー、ニッサン在籍時の写真などが展示されたほか、国さんに向けた寄せ書きのコーナーなども設けられ、多くのファンが国さんを偲んだ。


 さらにこの日は、『KUNIMITSU TAKAHASHI MEMORIAL RUN』と題し、R382、スカイラインGT-Rレーシング・コンセプト、STPタイサンGT-Rの3台によるデモランが行われた。残念ながらR382の走行は実現しなかったが、スカイラインGT-Rレーシング・コンセプトは国さんと「同僚」としてともに戦った長谷見昌弘さん、そしてSTPタイサンGT-Rを土屋圭市さんがドライブした。


 特に多くのファンの胸を打ったのは、土屋圭市さんのドライブだ。イベント前日の12月3日にもテスト走行を行ったというが、3日はグリーンの土屋さんのヘルメットだった。しかし、この日はホワイトにレッドのライン、『KUNIMITSU』の名が入った、まさに国さんが使っていたジェットヘルメットでSTPタイサンGT-Rのステアリングを握った。


 このヘルメットは横に国さんのサイン、そして『’92.11.8』という日付けが入っている。この日は、富士でツーリングカーの国際レースとして開催されてきたインターTECが行われた日だ。子どもの頃から国さんに憧れレースを始め、21歳でレースデビューを飾り、26歳で国さんと戦う機会を得た土屋さんが、速いタイムを出したことで国さんからもらった大切なヘルメットなのだという。当時、国さんはツーリングカーレースではジェットヘルを使っていたが、特有のシルエット、そして無線のマイクと、まさに当時そのままのヘルメットだ。


 そんなヘルメットをかぶり、これまた当時のままのレッド/グレー/ブラックのスーツを着た土屋さんは、STPタイサンGT-Rを駆りケンメリGT-Rとともに富士を3周。まるで国さんがGT-Rに乗り込んでいるかのような感動的な光景をみせてくれた。ブラックとレッドの思い出のGT-Rから下りた土屋さんは、国さんのヘルメットとともに噛みしめるようにスタンドに向け礼をした。


 ふだんの土屋さんは軽妙なトークでファンを沸かせるが、この日は走行後ずっと手を前で組み、国さんとの思い出を偲びながら長谷見さんとともにトークでファンに思いを伝えた。


「日本グランプリでスカイラインGT-R対サバンナの戦いを見てから、ずっと国さんが好きで、憧れでした。僕が高校一年生のとき、国さんに声をかけてもらいましたが、まさか話せるとも思っていなかったので、クシャクシャのレシートにサインをしてもらいました」と土屋さんは思い出を語った。


「R32スカイラインGT-Rは、最初は高橋健二さんと組んでいたんですが、『国さんと組めるぞ』とお話をいただきました。天にも昇る心地とはまさにこのことでした」


 インタビューのなかで、土屋さんにとって国さんとは……? との問いに、土屋さんは「親父であり、神様」と答えた。国さんに憧れ、国さんと同じステージに登りつめてきた土屋さん。国さんへの思いは誰よりも強い。そんな土屋さんの追悼の思いがあふれたデモランとなった。


「こうしてクルマを常に走れるようにしてくれたニッサン/ニスモに感謝していますし、国さんの追悼イベントをやるよ、と声をかけていただき、たくさんのお客さんの前で、R32スカイラインGT-Rで走らせてもらって感謝しています。本当にありがとうございました」

高橋国光さんのヘルメットとともにSTPタイサンGT-Rをドライブした土屋圭市さん。当時の国さんを感じさせる光景だった。
高橋国光さんのヘルメットとともにSTPタイサンGT-Rをドライブした土屋圭市さん
STPタイサンGT-RとKPGC110スカイラインGT-Rレーシング・コンセプト。R382は残念ながら走行せず。
高橋国光さんのヘルメットとともにSTPタイサンGT-Rをドライブした土屋圭市さん
STPタイサンGT-RとKPGC110スカイラインGT-Rレーシング・コンセプト
STPタイサンGT-Rから下り、スタンドに礼をする土屋圭市さん
グループAで争われたJTCのなかでも屈指の人気のマシンとなった高橋国光/土屋圭市組STPタイサンGT-R

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