フォード・マスタングGT3はニッサンGT-Rと「大きく異なる」「よく考え抜かれたマシン」と本格復帰のマーデンボロー
2025年4月14日(月)18時5分 AUTOSPORT web

ヤン・マーデンボローは、ハウプト・レーシング・チームとフォード・パフォーマンスとの新たな提携について「成長していくもの」だと語り、先週末にポール・リカールで開催されたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ/エンデュランスカップ開幕戦を皮切りに、トップレベルのGT3レースで長期的な存在感を再び確立することを目指している。
■「1年限りの契約には興味がない」
この英国人レーサーは、HRTフォード・パフォーマンスの64号車フォード・マスタングGT3のラインアップに加わり、ファクトリードライバーのアルジュン・マイニ、トーマス・ドルーエとともに同シリーズに復帰した。
マーデンボローにとって今季のGTWCヨーロッパは、KONDOレーシングからスーパーGTに参戦した2020年以来となるフルシーズンでのレース参戦となる。それ以来彼はスーパー耐久、イギリスGT選手権、そして昨年のスパ24時間レースに出場し、スパではプロ/アマクラスで表彰台を獲得している。
2025年開幕戦を前にマーデンボローは、これまで主にニッサンおよびチームRJNで参戦していたGTWCヨーロッパへの復帰について、耐久レースのレギュラーとして再び活躍するための取り組みの一環であると説明した。
「2021年から、スポーツカーGTレースのトップレベルに復帰することを自分自身に誓っていた」とマーデンボロー。
「HRTとフォード・パフォーマンスとともに、チャンピオンシップと勝利を目指すためのパッケージを組むことができた」
「フォードがGT3レースに復帰したことで、この体制には成長できる余地があり、HRTが彼らから受けてきた多大なサポートを考えると、これは短期的なものではないという大きな自信にもなる。これは成長していくためのものだ。ずっと復帰したいと思っていたが、タイミングと人生、そして適切な人々が関わっているかどうかが問題だ」
マーデンボローは、HRTとの契約は「6カ月以上」前から準備を進めており、長期的な関係構築に重点を置いたものだと説明している。
「1年限りの契約はしたくない」と彼は言った。
「そういうことに興味はないんだ。僕はもうしばらくこの世界にいるが、僕がやりたいのは、本当に楽しむこと、そして自分が何か価値を提供できることだけだ」
「スピードの経験、知識、そしてもしかしたら知恵をパッケージに活かして、自分が実際に価値を生み出せるチームを築き上げたい」
「だから僕はここにいる。フォードとHRTの現在の体制の中で、レースをしたいのだ」
33歳の彼は、昨年デビューシーズンにマスタングGT3の走行を目にして興味を惹かれたと語るが、フォードのヨーロッパでのプログラムの規模がより明確になったことで、HRTを選ぶことを決意したという。
「以前からこのプログラムの存在は聞いていたが、実際にコースを走るクルマを見たのは、昨年所属していたチームでGTチャレンジ・ヨーロッパのテストのためにここ(ポール・リカール)へ来た時が初めてだった」
「そこでマスタングを見ることができた。素晴らしいプロジェクトだと思ったが、実際には年内に関係者と話をする予定だった。車両を見ても、それがアメリカだけのものになるのか、ヨーロッパだけのものになるのかは分からなかったからね」
「彼らはヨーロッパにどれくらいの人員を投入するつもりなのか? 実際に彼らと座って話をしてみなければ、それは分からなかった」
「最高だよ。僕はGTとスポーツカーレースが大好きなんだ。僕はクルマ好きでもあるので、グリッド上にこんなにもさまざまなクルマ、さまざまなエンジン構成の車両が並んでいるのを見るのは、本当にクールだ」
「マスタングは、グリッド上で一番クールなサウンドを奏でるクルマであることは間違いないね。それに、自然吸気エンジンを搭載したクルマを運転できるのも最高だ」
■メンテナンス性に優れるマスタングGT3
昨年、マクラーレン720S GT3エボのステアリングを握って2回レースに出場したマーデンボローだが、GT3での経験の大部分はニッサンGT-R GT3で培ったものである。彼は日本のメーカーであるニッサンのGTアカデミー・プログラムでレースに参戦し、そのキャリアをスタートさせた。
「このクルマの成り立ちは、僕がこれまでGT3で走ってきたクルマとは大きく異なる」とマーデンボローはマスタングGT3について語った。
「クラッシュした時のメンテナンスが簡単だ。フロントとリヤのクラッシュ・ストラクチャーは、非常に迅速かつ簡単に交換できる。大きな事故に遭ったとしても、シャシー交換が必要になる可能性は低い」
「リヤフロアを素早く脱着できるのは本当にすごい。クリップを数本外すだけで外れるんだ。本当に素晴らしいよ。本当によく考え抜かれたマシンだ」
「マシンの寸法について言うと、たとえば全幅はGT-Rとほぼ同じだ。あのクルマと同じくらいの幅なんだ。全長については、僕がこれまでレースで走ってきたマシンよりも長いと思う。つまり、寸法が大きいということだ」
「それにも慣れが必要だ。特にここでは、トラックリミット(違反の判定)が非常に厳しいからね」
「そういう細かい部分で、マシンの寸法に慣れるのに少し時間がかかる。開幕戦(4月12日開催のポール・リカール)が終われば、もっとぴったりフィットすることだろう」