生まれ持った才能や熱意は関係ない…スタンフォード大が証明「たった1割の成功者」になる1番シンプルな方法
2025年4月25日(金)18時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DNY59
※本稿は、豊留菜瑞『忙しさ幻想』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■「やりたいことで稼がなきゃ」の問題点
最近、「やりたいこと」の定義が、少しずつ歪められているように感じます。
「やりたいことで稼がなきゃ」
「インパクトのあることをしなくちゃ」
「すごいことじゃないと」
このように「べき」や「ねばならない」が、いつの間にか「やりたいこと」に紛れ込んでいるのです。
本来、「やりたいこと」には、そんな義務は存在しないはずです。
「やりたいこと」とは、あなたの心が自然と向かいたい方向であり、純粋に「やってみたい」と感じる行動のはずなのです。
そこで、まずは「やりたいこと」の本来の意味を取り戻すべく、この「やりたいこと」が示す本当の意味をしっかり捉え直してみましょう。
「やりたいこと」には、2つの種類があります。
1つは「点の挑戦」
これは、小さな好奇心から始まる挑戦です。
新しい趣味を始めてみたり、行ったことのない場所に出かけてみたり。
見つけやすく、始めやすいのが特徴です。
もう1つは「線の挑戦」
大きな目標に向かって、継続的に取り組む挑戦です。
新しいビジネスを始めたり、キャリアを変えたり。
成功すれば大きな変化をもたらしますが、それだけに覚悟も必要になります。
写真=iStock.com/DNY59
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■「べき」が紛れ込むのは“線”だから
私は、ここで言う「線の挑戦」がそのまま「やりたいこと」になってしまったことが、冒頭の「べき」や「ねばならない」が、紛れ込んだ理由だと考えています。
「線の挑戦」の裏側には、「大きなことをしなければならない」という思い込みが隠れているからです。
かく言う私も、引きこもりだった頃は、「大きなことをしなければ」という思い込みに囚われていました。社会を変えるような願いでないと、「やりたいこと」に認定してはいけないと思っていたのです。
そんなわけはありません。
もう一度言うように、「やりたいこと」とは、あなたの心が自然と向かいたい方向であり、純粋に「やってみたい」と感じる行動です。
では、そういった純粋な思いはどのように取り戻せばいいのでしょうか。
■「しなければ」を手放してみる
私がおすすめするのは、まず「点の挑戦」から始めることです。
そうやって小さな「やってみたい」を次々と試していくと、「これだ!」という確信に出会えることがあるでしょう。それを「線の挑戦」に発展させていけばいいのです。
まずは、「〜しなければ」「〜でないと」という思考を手放してください。
代わりに、純粋に「興味があること」に目を向けてみましょう。
あなたの日常の中にある小さな興味。
気になる本を手に取ってみる。
新しい道を歩いてみる。
友人に勧められたお店に行ってみる。
もしくは、前記事でお話した、STEP6であぶり出した項目でも、それが「点の挑戦」に感じるなら結構です。
これらは、どれも小さな挑戦です。
でも、その1つ1つが、あなたの世界を少しずつ広げていきます。
■「線の挑戦」への発展
そうして小さな挑戦を重ねていく中で、自然と変化が訪れます。
「もっと深く知りたい」
「これを極めてみたい」
そんな気持ちが芽生えてくることがあるのです。
それこそが、「線の挑戦」のスタートラインです。
この時、大切なのは焦らないこと。
楽しみながら続けること。
そして、必要に応じて軌道修正をしていくこと。
こうして、小さな「点」が少しずつつながり、やがて大きな「線」となっていく。それが、本当の意味での「やりたいこと」の見つけ方なのです。
■「やりたいこと」を続けるには…
私たちは誰もが、新しい目標を掲げる時、最初は意気込んでスタートします。しかし、気がつけば気持ちが萎え、途中で挫折してしまう。そんな経験を繰り返します。
でも、実はこれは自然なことなのです。
スタンフォード大学の研究によれば、何かを真に継続できる人は全体のわずか1割程度だと言われています。
なぜでしょうか?
豊留菜瑞『忙しさ幻想』(サンマーク出版)
それは、人間の脳が「即時的な満足」を求めるよう設計されているからです。将来の大きな利益よりも、目の前の小さな快楽を選んでしまう。これは、私たちの生存本能として組み込まれた性質なのです。
健康のために運動を始めても、「今日は疲れたから」と休んでしまう。資格取得の勉強より、スマホの動画に時間を使ってしまう。朝型生活を目指しても、「あと5分寝たい」が止まらない。
この「目先の欲求」は、まるでドラッグのようなものです。一時的な満足は得られますが、それは長期的な幸せとは異なります。
では、どうすれば本当の意味での継続力を身につけられるのでしょうか。
■「継続力」を科学的に身に着ける
私は次の3つの科学的根拠に基づいた方法で、継続力を身につけました。
【継続力を身につける方法1】「極小の一歩」から続ける
スタンフォード大学の行動科学者、BJ・フォッグ博士の研究によれば、持続可能な行動変容には「小さな成功体験の積み重ね」が不可欠だと言います。具体的には、以下のようにバカバカしいほど小さなステップから始めるようにすることが効果的とされています。
「毎日1時間運動する」→「運動着に着替えるだけ」
「毎日本を1冊読む」→「本を1ページ開くだけ」
「毎朝6時に起きる」→「目覚まし時計を5分だけ早める」
一見、これらの小さな行動は「意味がない」と感じるかもしれません。しかし実は、この「小ささ」にこそ、革新的な効果があるのです。
それは、脳が「できそう」と感じる=抵抗が少ない失敗してもダメージが小さい=再挑戦が容易わずか30秒で達成できる=毎日続けやすいという3つの条件が揃うからです。
例えばウォーキングを習慣にしたい人は、いったん靴ひもを結んでしまえば、「せっかくだから少し歩いてみよう」という自然な流れが生まれやすくなります。
このように、「できないことへの大きな挑戦」ではなく、「必ずできる小さな一歩」から始めることで、持続可能な習慣作りが可能になるのです。これは「タイニーハビット理論」と呼ばれ、成功率が5倍以上高まるとされています。
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara
■継続率が3倍上がる「紐づけ」術
【継続力を身につける方法2】「既存の習慣」に紐づける
スタンフォード大学の研究では、驚くべき発見がありました。
新しい習慣を既存のルーティンに紐づけることで、継続率が3倍になるというのです。
私たちの脳は、新しい習慣をイチから作るのは苦手です。しかし、すでにある習慣に「付け足す」のは得意なのです。
・朝一番のコーヒーを入れながら、今日の予定を見直す
・通勤電車で読書しながら、新しい単語を3つ覚える
・お風呂上がりのスキンケアをしながら、簡単なストレッチ
つまり、「○○のついでに」という形で新しい習慣を追加すると、脳は「これも日課の一部」として自然に受け入れやすくなります。この「紐づけ」という方法は、新しい習慣を既存の生活リズムにスムーズに溶け込ませる、最も効果的な方法の1つなのです。
■効果的な「ご褒美」3つのポイント
【継続力を身につける方法3】「即時の小さな褒美」を用意する
プリンストン大学の神経科学研究チームが、人間の脳は、「3年後の昇進」のような大きな報酬よりも、「今日のちょっとした褒美」のほうに強く反応すると発表しています。これは、私たちの脳の「報酬系回路」の特徴によるもの。即時の小さな喜びは、脳内の「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌を促し、その行動を「気持ちの良いもの」として記憶させるのです。
・30分間のデスクワークの後に、お気に入りのコーヒーを淹れる
・10分の英語学習を終えたら、好きなYouTube動画を1本見る
・15分のストレッチを終えたら、SNSで「達成」を共有する
・朝活成功後に、ちょっと贅沢な朝食を楽しむ
重要なのは、この「褒美」が、すぐに得られ、自分にとって本当に嬉しいものであり、習慣としたい行動に見合う大きさであることです。
例えば、5分の運動に対して「豪華なディナー」は大きすぎますし、1時間の集中作業に対して「深呼吸1回」は小さすぎます。適度な大きさの即時の褒美を用意することで、脳は自然とその行動を「楽しみ」として認識し始めます。こうして気がつけば、その行動自体が「心地よい習慣」として定着しているのです。
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豊留 菜瑞(とよどめ・なつみ)
インフルエンサー
1989年生まれ。年間240冊の書籍を読破する、ビジネス書の探究者。読書アカウント集団・BUNDANを運営。代表を務める。読書を通して得た「働き方」や「生き方」の知恵を自身の人生で実践し、複数のフットケアサロンを起業・経営。著書に『忙しさ幻想』(サンマーク出版)がある。
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(インフルエンサー 豊留 菜瑞)