「死の直前に幽霊が訪ねてきた」ワシントンポストが臨死体験を掲載!

2021年1月17日(日)16時0分 tocana

 コロナ禍の真っ只中、米紙「ワシントンポスト」(1月3日付)に、あるスピリチュアルな手記が寄せられた。米ノースカロライナ大学ヘルスケアホスピスで、臨床ソーシャルワーカーとして働くスコット・ヤンセンさんからだ。彼は30年近い看取りの経験から「これだけは確信できる」と、未曾有の世界を生き抜く我々に愛に満ちたメッセージを送っている。



■夜ごと枕元に現れる愛に満ちた幽霊


 スコットさんが担当したエヴァンは90代前半の大腸がん患者。闘病も4年を超え、すでに生きる気力をなくし、自殺をほのめかすことさえあったという。


「しかし、その日は様子が違ってました。彼の落ち込みが和らいだように見えたんです。しかも憑き物が落ちたように晴れ晴れして。ギョッとした私は(まさか死ぬ気じゃ?)と緊張しました」(スコットさん)


「なんか今日は、いつもと違うね。どうしたの?」スコットさんは平静を装って尋ねたという。


 するといきなり「幽霊を信じるか?」と、エヴァン。


 患者がこのような質問をするのはよくあるそうだ。臨死体験や体外離脱、霊的な遭遇、夢の中のメッセージやシンクロニシティなど、人は人生の終わりにさしかかると、不思議な体験をすることがあるらしい。


「戦争の話をしたのを覚えてるか」とエヴァン。


 忘れるわけがない。彼は自分の長年のうつ病の原因を、第二次世界大戦中の陸軍病院での兵站将校時代にまで遡って説明してくれたからだ。そして「言い忘れたことがあった」と、ある恐ろしい、氷のように冷たい秋の日の描写を始めた。


 死傷者が続出し、現場は次から次へと担架で運び込まれる血まみれの男たちをトリアージするため一刻一秒を争っていたという。助かる見込みのある者は、鉄道車両に乗せて送り出していた。


「俺は一日中奔走してかなりテンパっていた。背中を骨折してることすら気づかなかったくらいだ。手は寒さで完全に感覚を失ってた。そして——最後の列車に間に合うよう、ある男を運んでいたら、俺の手が滑って担架がひっくり返ったんだ」涙が頬を伝った。


「地面にドサっと落ちた瞬間、ヤツの大腸が飛び出した。腸から蒸気が上がって、死んだ」エヴァンは、今でも冷たいかのように手をこすり合わせた。


「その夜、俺はベッドで泣いた。あの男がかわいそうで、かわいそうで。大勢の人間が死ぬのを見てきたから、そのうち自分も狂い死にするだろうと怖くてしょうがなかった」(エヴァン)



「ふと顔を上げたら、ベッドの端に男が座ってたんだ。第一次世界大戦の軍服を着て、変なヘルメットをかぶってた。暗闇の中で、そこだけ光に包まれてたんだよ」そこまで言うと、エヴァンは泣き出し、同時に笑い出した。


「彼は“愛”を持って私を見てたんだ。俺はそれを感じることができた。それまで愛なんてものを感じたことなんかなかったのに。俺は自分には価値があると感じた。痛みや残酷さが現実ではないかのように。世界がどれだけ救いようがなく残酷に見えても、ある次元では『人は皆、愛されている。皆、つながっている』と実感できたんだ」(エヴァン)


 これがエヴァンに起こった最初の超常現象だった。幽霊は来るたび、無言で愛を語り、安らぎと平穏を与えたという。


「戦争が終わってからは、彼の訪問はなくなったね。数年後、母が亡くなった後で遺品の整理をしてたら、古い写真を見つけたんだ。彼だった。裏を見ると、母の字で『カルビンおじさん、第一次世界大戦中に死亡、1918年』と書いてあったよ」(エヴァン)


「それと、今日あなたの機嫌がいいのと何か関係ある?」スコットさんは訊いた。


「彼が帰ってきたんだ」エヴァンは窓の外を見つめながらつぶやいた。「昨夜、ベッドの足元で彼を見た」。


 しかも、今回は言葉を話したという。


「俺と一緒にここにいると言った。そのときが来たら、丘を越えるのを手伝ってくれると言ったんだ」(エヴァン)


 


■「世界は目には見えない愛にあふれている」


 エヴァンの話を聞いたスコットさんは、35年前の記憶が鮮明に蘇ってきたという。まだシラキュース大学の大学院生で、真夜中、アパートで眠っていたときのことを。サイレンの音で叩き起こされたと思ったが、あたかも部屋の中で鳴り響いてるかと思うくらいの大音量だったという。心臓がバクバクしたが、同時に寝ぼけてるとも思ったそうだ。


 すると、アパートの外で救急救命士2名の声が聞こえたという。


「早くここに持ってきてくれ」と片方が呼び、アスファルトの上を担架がガラガラ運ばれる音がしたそうだ。


「外で何かトラブルが起きてるのではと思い、カーテンを開けました。でも、静かな夜でした。駐車場には何も動きがなく、無人だったんです」(スコットさん)


 夜明け前、父から電話があった。数時間前に、叔父のエディが自動車事故で亡くなったという知らせだった。


 大変な一日が終わり、夜になってようやく「あれは一体なんだったのか」と考える余裕ができたスコットさん。


「キッチンのテーブルに古いラジオが置いてあったんですが、たまにスイッチが切れたり入ったりって半分壊れていました。で、自分の頭の中で疑問が渦巻きだすと、ビートルズの『Let It Be』が、いきなり鳴り出したんです。ファンではないので、それまで曲をじっくり聴いたことはありませんでした。でも、そのときは耳を傾けたんです。音楽と言葉が、まるで別世界のような安らぎと心地よさで私を満たしてくれました。曲が終わり、その直後ラジオは切れました」(スコットさん)




 長い間、スコットさんはこの出来事はただの偶然の一致と自分に言い聞かせてきたそうだ。あるいは、エディおじさんと自分はその瞬間つながっていたんだと思いたいが故の、ある種の捏造された”記憶”に過ぎないと。


「ただ、心の片隅ではそれが本物であることを私は知っていました」(スコットさん)


 スコットさんは語る。


「私たちが住むこの世界は、目には見えない愛にあふれています。混迷し危機的なときこそ、その力は私たちをサポートしてくれます。人はそれを気づくことができるはずです」(スコットさん)


 予断を許さない今、大いなる力で人間が試されていると感じるのは筆者だけではないはずだ。まずは謙虚になり、生かされていることに感謝することから始めたい。


参考:「The Washington Post」、「Pulse」ほか

tocana

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