Googleマップがとらえた太平洋の“ブラックホール”!?謎の影の正体とは・・・

2025年2月20日(木)7時0分 tocana


 2021年、Googleマップの衛星画像に映し出された黒い三角形の謎の影が、インターネット上で大きな話題を呼んだ。奇妙な地形に隠されたその正体とは何だったのか——。


「太平洋にブラックホールが出現」ネット上で広がる憶測

 2021年、Googleマップの衛星画像に、太平洋のど真ん中に存在する不可解な黒い三角形の影が映し出された。この異様な画像はSNS上で拡散され、「地球の内部へ続く深い穴ではないか」「政府の極秘軍事施設が隠されているのでは」といった奇妙な憶測が飛び交った。


 最初にこの画像を投稿したのは海外掲示板「Reddit」のユーザーだった。投稿には「これは島である」と明記されていたが、ネット上ではさまざまな仮説が持ち上がり、一部のタブロイド紙もこの話題を取り上げたことで、さらに議論が加熱した。


 しかし、すぐにこの「ブラックホール」の正体は明らかになった。BBCによると、この黒い影は南太平洋に浮かぶキリバス共和国の一部を構成する「ヴォストック島」であることが判明したのだ。


黒い三角形の正体は「異常に密集した森林」

 ヴォストック島は、オーストラリアの東、約6000kmに位置し、わずか0.25平方キロメートルの面積しかないサンゴ礁の小島である。この島の内部はピソニア(Pisonia)という樹木に覆われており、それが異様な黒い影の原因だった。


 ピソニアの木は非常に密集して成長する性質を持ち、日光をほとんど遮断する。そのため、低軌道から撮影されたGoogleマップの衛星画像では、島全体が漆黒に見えてしまったのだ。学術系メディアJSTOR Dailyによると、ピソニアの木は他の植物の生育を妨げるほど密生し、単一種が島全体を覆うことも珍しくないという。


 この森林は海鳥にとっても魅力的な生息地となっている。1971年に行われた調査では、ヴォストック島にはカツオドリ、アジサシ、グンカンドリといった海鳥が多数生息していることが確認された。ピソニアの木は粘着性のある種子を持ち、それが鳥の羽に付着することで、他の島々へと拡散されていくのだ。


 しかし、ピソニアの種子は時に鳥にとって致命的な罠となることもある。JSTOR Dailyによると、種子が大量に付着すると鳥が動けなくなり、地面に落ちてそのまま命を落とすことがあるという。その結果、ピソニアの森の地面には鳥の骨が散乱していることも珍しくない。


人類未踏の島「ヴォストク島」

 ヴォストク島は、1820年にロシアの探検隊によって発見されるまで、人類が足を踏み入れた形跡が一切なかったとされている。1966年に発表されたPacific Islands Monthlyの記事によると、島には定住者の記録もなく、これは淡水の供給源が存在しないことが大きな要因と考えられている。


 こうして、Googleマップの黒い三角形が引き起こした騒動は、単なる未開の孤島に過ぎなかったという結論に落ち着いた。しかし、たった一枚の衛星画像がこれほどの議論を巻き起こしたことは、未だ多くの人が「地球の未知の領域」に対して強い関心を抱いていることの証明でもあるだろう。そして、広い地球にはまだこのような場所が眠っているのかもしれない。


参考:Live Science、ほか

tocana

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