肛門拡張から始まった児童虐待冤罪事件とは? 未経験でも〇〇の人は刺激するだけで… 亜留間次郎が解説

2023年2月28日(火)14時0分 tocana

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】


肛門拡張冤罪事件

 世界には子供が性的な虐待を受けていないか判定するために子供の肛門性交経験の有無を判定する方法を真面目に研究している医学者が存在します。


 公的機関によるガイドラインも作られていて英国王立小児科・小児保健協会(RCPCH)が定めた「児童の性的虐待における代表的な肛門所見」があります。


 児童性的虐待の診断は事情が複雑で一種類の検査だけで判断出来るようなモノではありません。


 ところが、簡単に識別できると主張する雑な判定基準を作った医師のせいで冤罪事件が起きました。


 その雑な判定法が「反射性肛門拡張(RAD)」です。


 どんな判定法なのかと言うと、子供の肛門の周りを刺激して肛門が開いたら肛門性交の経験があると判定します。


 逆に肛門が締まったら未経験者です。


 この判定法を考えて導入した小児科医マリエッタ・ヒッグスはイギリスのクリーブランドにあるミドルズブラ総合病院に勤務していました。


 1987年の5月から6月にかけて自分の支持者であるジェフリー・ワイアット医師と共に121件の性的虐待の疑いを診断しました。


 たった2カ月で121件もの性的児童虐待事件が多発したクリーブランドはパニックになりました。


 6月には病院内でもあまりに異常な診断に怒り狂った両親がジェフリー・ワイアットと喧嘩になり警察が来て騒ぎになりました。


 無実の罪で子供と引き離された親は地元の神父の協力を得て抗議活動を開始、保健局が介入することになり診断が正しいのか検討するセカンドオピニオン機関が急遽設置されました。


 当然のごとくマスコミも大騒ぎになって、国会議員や保健大臣まで巻き込む事件になりました。


 7月9日には厚生省は法定調査委員会を設置することを発表してマリエッタ・ヒッグスとジェフリー・ワイアットは7月末には臨床現場から外され査問委員会にかけられることになりました。


 結果は大誤診だったと判明して子供達は親元へ帰されました。


 本当に迷惑だったのは児童虐待の疑いをかけられた親です。


 事件当時は診断した医師には何の説明責任もなく、医師が児童虐待だと言えば無条件に子供を連れて行かれます。


 自分が考えた最高の診断法で肛門が広がったら両親は犯罪者という魔女狩りをやってしまったのです。


 乱用しまくって2カ月間で121人もやってしまい、クリーブランドの街を世界一児童虐待の多い街にしてしまいました。


 異常なほど多すぎたのですぐに大問題になってバレましたが、平均的な人数よりも少し多いぐらいだったら発覚は何年も遅れたかもしれません。


 しかも、当時は犯罪者扱いされた親には抗議する権利がありませんでした。


 親が何もやってないと裁判所に申し立て出来るのは子供を連れて行かれてから28日後で、最長で2年間も暫定的保護命令の下に置かれ、監視されることになります。


 何カ月も親子離ればなれにされた上に公的機関からも近所の人達からも犯罪者扱いされます。


 児童虐待からの保護が児童虐待になる本末転倒をやってしまいました。


 査問委員会がマリエッタ・ヒッグスに下した評価は惨憺たる物でした。


 新しい分野に踏み込んだ新米コンサルタントであるマリエッタ・ヒッグス医師は反射性肛門拡張テストだけに過剰なまでに依存していた。


 彼女は自分の考えたテストから結果ありきの結論を出していた。


 そして「情報公開」のために子どもたちを両親から引き離すべきだという信念に固執しすぎていた。


 彼女は自分の仕事の法医学的要素への理解を欠き、その不適切さを認識していなかった。


 なんか、コレって、親がキモオタだったら犯罪者に決まってる、天才医師の私がそう診断したんだから間違いない。


 子供を引き剥がして親を晒し者にしなきゃみたいな狂った正義に満ちあふれた医師だった気がしてなりません。



肛門拡張する人の比率

 結論から言えば、肛門性交未経験者でも1.2%の人は肛門周りを責められると素人目にも分かるほど大胆に拡張します。


 この事件後の1989年に児童虐待と肛門拡張の関係について本格的に研究され、思春期前の子供達318名を3人の医師が調査しました。


 このうち虐待などにより肛門性交経験の可能性がある子供を除外した267人が研究対象になりました。


 対象者は生後2カ月から11歳までの女児161名と男児106名でした。


 62%(160人)には断続的に肛門が開こうとする所見が見られ、49%(130人)は刺激すると肛門が開く事が判明しました。


 さらに1.2%(3人)は2センチ以上も大きく開いています。


 つまり、冤罪事件になった超雑な診断基準だと児童虐待を受けていない子供でも半分ぐらいは虐待されていたことになってしまっていたのです。


 さて、この論文を違う視点から見てみると普通の人でも1000人中12人は肛門周りを刺激すると指が入るぐらいの大きく開くことになります。


 そこまで開かなくても1000人中490人は肛門がヒクヒク動くことになります。


 この1000人中12人の肛門が大きく開くというのは肛門性交未経験者の子供に限定した比率なので、ここに肛門を開発された人が混ざると比率を上方修正する必要が出ます。


 なお、未経験なのに肛門拡張する子供に多い傾向として、便秘が酷く、太い便が出る人が上げられます。


 重度の慢性便秘の子供129人の子供のうち20人(役15%)に反射性肛門拡張が見られました。


 つまり、便秘が酷くなると自分の便に肛門処女を奪われてしまうのです。


 肛門性交初体験から逝きまくる人は男女問わず便秘の傾向が考えられます。


 いきなり相手の肛門がゆるくて肛門で逝ったからといって経験アリだと疑う前にパートナーの話をよく聞きましょうね。


 肛門拡張だけで決めつけるのは絶対にダメです。


肛門性交経験の有無を判定する方法


 たった一つの所見で肛門性交経験の有無を判定することは不可能ですが、ガイドラインを元に複数の条件に該当すれば確率の高い診断は可能です。


 英国王立小児科・小児保健協会(RCPCH)が定めた「児童の性的虐待における代表的な肛門所見」を一般人向けに意訳してわかりやすくするとこんな感じになります。


 かなり意訳しているため医学的な正確性は保証しかねるので、真面目な医療従事者は原本をみてください。


The physical signs of child sexual abuse. An evidence-based review and guidance for best practice(Nature)


反射性肛門拡張:肛門周りを刺激すると拡張が見られる。


肛門弛緩:肛門が緩い。触れていないのに肛門の筋肉の緊張が緩んでいて検査中も緩いまま。


肛門拡大:肛門が開いている。触れていないのに肛門の中が見えるように広がっていて検査中も広がったまま。


亀裂/裂傷:肛門が避けている。肛門から放射状に広がる肛門周囲のヒダに亀裂や裂傷がある。


炎症:肛門が炎症を起こして赤くなっている。


肛門の粘膜が充血:2分以上尻を上げる膝胸位という体勢をとってもらい、下半身の血液を下げてから肛門の粘膜を観察しても充血していると一番軽い痔なので肛門性交経験の疑いがある。


皮垂:肛門に変な肉ヒダみたいなのが出ている。


傷跡:肛門に切れたりして堅くなった傷痕がある。


あざ:肛門の皮膚が変色してアザになっている場所がある。


肛門痙攣:肛門がヒクヒクしている。


腫れ:肛門がタイヤみたいに腫れている。


漏斗状肛門:肛門の外観が漏斗みたいに深く沈んでくぼんでいる。


擦過傷:皮膚や粘膜の表面だけの擦り傷。


粘膜隆起:俗に言ういぼ痔。


肛門縁欠損:肛門括約筋の外側の肛門周囲の皮膚とつながっている部分が欠損したり裂けたりしていて、縦割れしているように見える。


襞の変化:皮垂ほどではないが、肛門の粘膜に異常。


汚れ:肛門の周りに便が漏れて汚れてる。


 簡単にまとめれば一般的な傾向としては肛門が綺麗なら未経験者の可能性が高いことになります。


 ただし、医学の検査と診断においてコレをやれば絶対に完璧に間違いない物はありません。


 便秘に苦しんで肛門が裂けそうなほど排便に苦労している人は肛門が汚くなりやすいので汚い未経験者も普通にいます。


 統計上、これらの所見は自然治癒する部分があるので便秘で肛門が汚い人は便秘を治すと半年ぐらいである程度は綺麗に治る見込みがあります。


 健康管理は大切です。


 男女問わず、パートナーの肛門性交経験の有無が気になる人は少ない医学知識で適当な判断をせずに相手の言うことを信頼しましょう。


 そうしないと、魔女狩りみたいな冤罪事件が起こって不幸になります。


参考:「Summary of Cleveland Inquiry (NCBI)」「Perianal findings in prepubertal children selected for nonabuse: A descriptive study (ScienceDirect)」「Reflex anal dilatation associated with severe chronic constipation in children (NCBI)」「Wikipedia」「The physical signs of child sexual abuse. An evidence-based review and guidance for best practice (Nature)」

tocana

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