この「ブリ」に、ピンときたら連絡を! 長崎大の研究者が「標識ブリ」を探しています

2018年3月15日(木)20時0分 Jタウンネット

猫や犬を探している、という張り紙を見かけることはあるが、「ブリを探している」はなかなか見ないだろう。と言っても、飼っていたブリが迷子になってしまったわけではない。長崎大学・環東シナ海環境資源研究センターの河邊玲(かわべ・りょう)教授が、ブリの回遊実態を解明する研究として取り組んでいる、「バイオロギング」への協力の呼びかけだ。


河邊教授らは2018年3月7日に、長崎県五島市崎山沖で電子標識を取り付けたブリを放流した。もし、漁業関係者や釣り人が標識をつけたブリを捕獲した場合、環東シナ海環境資源研究センターまで送ってほしいという。


Jタウンネットも情報拡散で研究に協力できればと考え、河邊教授に詳しく話しを聞くことにした。


15匹のブリたちの行方はいかに


河邉教授によると、今回の研究の目的は、ブリの「産卵回遊」の実態を把握するためだ。ブリが回遊魚(成長などに合わせて生息場所を移動する性質を持つ魚)であることはよく知られており、北は北海道から南は尖閣諸島周辺まで幅広く移動しているデータは確認されている。


「産卵に関してはわかっていないことも多く、鹿児島や沖縄周辺で産卵しているとされていますが、詳しく調査したいと考えました。そこで、水深や水温、位置情報の記録を1秒単位で収集し、記録できる装置を埋め込んだ15匹のブリを放流したのです」

これまでに、超音波発信機や受信機を使って、長崎県内の漁場でブリを追跡するという調査は行ってきたが、記録装置を埋め込んだブリを回収するという手法では初めての取り組みだという。


15匹ではやや少ないようにも思えるが、河邉教授は、水産庁が行った類似の研究で全体の30〜60%が回収されるというデータが出ており、4〜9匹は回収されるのではないかと期待を見せる。


データも1年分を記録できるようになっているので、時間的、空間的なスケールの大きい、かなり緻密なデータとなる。数匹の回収でも、意義のあるデータになるだろう。


ちなみに、探しているブリは背びれの基部に標識が2本付いており、目視で放流されたブリだと判別できる状態になっている。さらに、腹部には埋め込まれた記録装置の一部が露出しており、回収時にはお腹を開いて装置を取りだし、環東シナ海環境資源研究センターまで着払いで送れば問題ない。


「最低限、記録装置は回収したいのですが、可能であれば捕獲したブリ自体も送っていただきたいのです。実際に回遊で産卵を行ったかどうかを確認するため、生殖腺の状態や血液検査など、魚の組織調査も行うことができれば、より研究の精度が高まるためです。その場合、買い取らせていただくなどの対応をできればと考えています」

ブリ探しへの協力は河邊教授の研究室によってフェイスブック上で呼びかけられているほか、長崎や福岡の魚市場でもポスターを掲出しているが、河邊教授は幅広く情報が拡散されればと話す。


「回収されるのが1年後になるか、それとも2〜3年後になるかはわかりません。回収される場所も必ずしも九州周辺とは限らず、北上したところになるかもしれません。多くの漁業関係者、釣り人の方々に標識ブリのことを知っていただきたいと思います」

背中に標識が付いていた、お腹から線が出ているブリが漁獲された、ちょっと変わったブリを見つけたなどの話を聞いた、といった漁業関係者や釣り人の皆さんは、ぜひ長崎大学・環東シナ海環境資源研究センターの河邉教授までご連絡いただきたい。

Jタウンネット

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