朝起きてすぐの<ジョギング><食事>に要注意!「血糖値を下げたい場合、食事と運動の順番は…」糖尿病専門医が<血糖値の新常識>を伝授【2024年下半期ベスト】
2025年3月16日(日)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
2024年下半期(7月〜12月)に配信したものから、いま読み直したい「ベスト記事」をお届けします。(初公開日:2024年10月28日)
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厚生労働省が実施した「令和4年 国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる者の割合は、男性が18.1%、女性が9.1%だったそう。そのようななか、糖尿病専門医の矢野宏行先生は「血糖値や糖尿病について、誤解していたり、勘違いしている人があまりに多い」と指摘しています。そこで今回は、矢野先生の著書『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』から、血糖値や糖尿病に関する最新の常識を一部ご紹介します。
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朝の出勤前のジョギングや運動を欠かさない
目覚めのいい朝を迎え、体の調子がいいのですぐにジョギング。
とても健康的な印象を受けるかもしれません。
寝不足で何度も目覚まし時計に手を伸ばしたり、目を開けたものの頭がぼーっとしていたり、前日のアルコールが残っていて二日酔い気味だったり、というのに比べ、はるかに元気はつらつとしていますからね。
しかし、じつはこの行為は要注意といわざるを得ません。
睡眠時の血糖値は基本的に、いったん下がると低い状態がキープされるのですが、目覚めが近づいてくるとホルモンの影響を受けて徐々に上昇していきます。
そして、目が覚めると血糖値はさらに上がっていきます。
血糖値が高い状態で激しい運動をするのは良くありません。「ジョギング程度なら」と思うかもしれません。
でも、それまで(目が覚めるまで)体は究極の安静状態にあったわけですから、いきなりのジョギングはじゅうぶん激しい運動の範疇に入ります。だから要注意なのです。
どうしても朝しか運動の時間が取れないという人は、いきなりトップスピードで走り出さず、15分程度歩くなどしてアイドリングの時間をつくるようにしてください。それだけで、いくぶんましになります。
「起きてすぐ食事」もNG
「起きてすぐに食事」も歓迎できません。
血糖値が高い状態のときに、さらに血糖値が上がる行為に走るわけですからね。
もちろん、起きてすぐに運動をして、終わったら間髪入れずに食事、という流れがいちばんダメです。
私は、朝5時に起きてすぐにジョギングをして、血糖値が250くらいまで一気に上がり、そのあと食事をすることでさらに上がってしまった患者さんの例も見てきました。
起床直後は、焦らず、ゆっくりと、体を動かすこと。
そして、血糖値を下げるためには、食事のあとに運動。この順番をしっかり守りましょう。
万歩計の歩数を稼ぐために小股で歩いている
健康志向の強い人は、たいてい万歩計もしくはその機能を搭載したスマートフォンのアプリを利用して、1日の歩数をカウントしているのではないでしょうか。
1週間、あるいは1カ月のトータルの歩数から割り出した、1日の平均歩数を把握している人も多いはずです。
(写真提供:Photo AC)
ここ数年で、歩数に応じてポイントがもらえる、多種多様のアプリが一気に世に登場してきました。ポイ活の一環として、それを利用している人も増えてきていると聞きます。
人々の興味がウォーキングに向けられる——これは医師としてものすごく歓迎すべきことです。
健康維持の一丁目一番地が睡眠なら、その次の二番地にあたるのがバランスの取れた食事、そして三番地が歩く(運動する)ことですからね。
どんなに歩数が多くても……
ただし、歩数だけにこだわっている人が多い印象を受けます。どんなに歩数が多くても、質の高い歩き方をしていなければ、効果は半減してしまいます。
歩数を稼ぐために、あえて小股でちょこちょこと歩く、というような“姑息な手段”を使っていないでしょうか。
あるいは、スマホをシャカシャカと振って、万歩計の歩数が増えるようにする、というような“ズル”をしていないでしょうか。これはまさに問題外であり、言語道断の行為です。
いま一度、胸に手を当てて、本末転倒になっていないか考えてみましょう。
歩くのは、万歩計の歩数を稼ぐためではありません。健康のために歩くのです。
その頑張り度合いが、歩数という結果で示されるのです。
そこだけは、はき違えないようにお願いします。
※本稿は、『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム)の一部を再編集したものです。
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