秋田県立大の血糖値上昇を抑えるコメ「まんぷくすらり」、機能性表示食品の届け出完了
2025年5月8日(木)14時0分 読売新聞
まんぷくすらりの炊飯米(左)、チーズリゾット(右)、卵雑炊
秋田県立大が中心となって開発した新品種米「まんぷくすらり」が、「食後の血糖値上昇を抑える」という機能性表示食品の消費者庁への届け出が完了し、新商品や学生考案のレシピが披露された。同大発ベンチャー企業「スターチテック」を通じて販路を拡大し、普及を図る方針だ。
レシピは「卵たっぷり雑炊」と「チーズリゾット」の2種。昨年6月、同大の生物資源科学部1年(当時)の後藤茉莉花さん、久保西聖良さん、原田和奈さんの3人が、自主研究グループ「レストランまんぷく!」を結成して開発に当たった。
「まんぷくすらり」は、でんぷんの「レジスタントスターチ(RS)」の含有量が、通常の10倍に達することが特徴。RSは血糖値が上がりにくく、食物繊維のように大腸まで届くため、腸内環境を整える効果も期待されている。ただ、「炊きたての状態では良いものの、時間がたつとパサパサと硬く食べにくい」といい、今回のレシピ開発に期待が集まった。
同大で試食会が3月下旬に開かれ、福田裕穂学長は「実際に食べてみると、卵やチーズなどとの組み合わせが良く、ほどよい程度のかみごたえがある。今後はレトルト食品などでも期待が持てる」と高評価だった。後藤さんは「何度も試作を繰り返して、自慢の逸品に仕上がった。いったん冷めても温め直せば、おいしくなるものを意識した。たんぱく質との相性がバッチリだと思う」と話している。
今回の機能性表示食品の届け出は、研究・開発に従事する藤田直子教授が、昨年4月に済ませた。精米のパッケージを一新し、「まんぷくすらりプレミアム」と命名。「食後の血糖値上昇をおだやかにする」と打ち出して、同大の売店やスターチテック社の通販などで売り出している。
藤田教授は「今後は整腸作用など、その他の機能性表示食品の届け出についても挑戦したい。また、高温に強く収量も多い新品種の開発も進行中で、非常に期待している。このほか、食用以外でも『硬い』という特性を生かして、自然由来の生分解性プラスチックの開発につなげることもできるのではないかと考えている」と話している。