「うちの子、給食ちゃんと食べられるかな…」入園・入学前だから不安。好き嫌いや食物アレルギーがあっても大丈夫?

2023年3月27日(月)7時21分 マイナビ子育て

新入園・入学の季節ですね。好き嫌いがあったり、食物アレルギーがあったりすると、ちゃんと給食を食べられるかどうかも心配になりがちです。そこで、小児科医の森戸先生にお聞きしました。

ある程度の好き嫌い(偏食)や少食は問題なし

入園・入学前は、子供がきちんと通えるかどうかなど、いろいろなことが心配になりますね。「給食が食べられるかどうか」もよくある心配事の一つでしょう。子供の食の悩みとしては、好き嫌いが多い(偏食)、少食、食物アレルギーがある、といったものが多いと思います。

まず、最近は昔のように給食を強制的に食べさせることはないので、多少の好き嫌いがあったり、少食だったりしても、問題ありません。もしも心配であれば、事前に保護者から担任の先生に伝えておく、本人も最初から盛り付ける量を少なめにしてもらうようお願いするといいと思います。

その上で食べられるものを増やしたいのであれば、少しずつ家と学校でチャレンジしていくのがいいのではないでしょうか。一口だけ食べる、時々食べるなどしていくうちに、多くの子供は食べられるものが増えていきます。

一方、あまりにも偏食がひどくて給食では食事抜きになってしまうような場合は、担任の先生に相談して、お弁当を持たせるなどの対応を取るしかありません。ただ、そこまでの場合は、発達に問題があるケース、精神的なストレスが関係しているケースもあるかもしれません。

以前、私のクリニックにも「毎日同じ一つの料理しか食べられない」というお子さんが受診されたことがありますが、食事以外にも睡眠障害があったり、周囲とのコミュニケーションに不得意な部分が多かったりしたので、発達障害と摂食障害に詳しい医療機関を紹介しました。多くは問題ありませんが、あまりにも食べられなくて心配な場合は、まずかかりつけの小児科や子育て支援センターなどで相談してみましょう。

食物アレルギーがあるなら「管理指導表」を提出

もう一つ心配なのは、食物アレルギーですね。特定の食材を食べて2時間以内に、皮膚に赤み・かゆみ・じんましんが出たり、目や口の中やくちびるに腫れ・かゆみがあったり、咳や鼻水などがとまらなかったりする場合、食物アレルギーの可能性が高いです。

その場合は、自己判断で除去食を行うのではなく、必ず小児科やアレルギー科を受診しましょう。医療機関では、少量のアレルゲンをつけた針を皮膚に刺す「プリックテスト」、少量だけ食べてみて状態を確認する「経口負荷試験」、血液中の抗体量を測るための「血液検査」などを行う場合もあります。

よく「食物アレルギーがないかどうか血液検査をしてください」と言われることがありますが、血液検査は必須ではありません。というのも、血液検査でアレルギー抗体が高く出た食材が実際には症状なく食べられたり、逆に血液検査でアレルギー抗体が低く出た食材で症状が出たりする場合があるからです。

また、特に子供の場合は、除去食はなるべく最低限にすべきです。早めから様々な食材をとったほうが食事の栄養バランスがよくなるだけでなく、食物アレルギーになりづらいからです。「経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)」といって、口から入った食材には免疫の過剰反応(アレルギー)が起こりにくくなります。

そもそも全ての食材にアレルギーがないかどうか血液検査で調べるわけにもいきませんし、また血液検査で必ずわかるとは限りませんし、さらに除去食は最低限にしなくてはならないので事前の検査は必要なく、症状があれば対処するのです。

それでも特定の食品を避けないといけない場合は、医師が園や学校指定の「管理指導表」に除去食の指示を書きますので、必ず学校へ提出しましょう。

アナフィラキシー対策は「エピペン」を常備

ちなみに、子供の卵や小麦、乳アレルギーは、医師の指示の下で少しずつ食べさせることによって、幼児期の終わりにはなくなるケースも多いので心配しすぎないようにしてください。ただ少量なら食べられる、加熱したら食べられるなどの場合も、集団生活では間違いが起こってはいけないので除去したほうがいいとは思います。

園や学校などでの集団生活においては、先生方も細心の注意は払ってくださると思いますが、間違ってアレルギーのある食品を食べてしまうリスクはあります。つい友達の食事を食べてしまう、調理時や配膳時にアレルゲンが混入する、などです。

ですから、命にかかわる「アナフィラキシーショック」が起こりかねないほど重篤なアレルギーがある場合は、医療機関でエピペンが処方されます。以前、エピペンは1本しか処方できませんでしたが、現在は2本まで処方することが多いです。自宅用、持ち運び用(園や学校用)で備えておくといいでしょう。

エピペンの使い方については、必ず担任の先生とお子さん本人に詳しく説明しておきましょう。お子さんと保護者の方は、ご自宅で練習用のエピペンを使って、太ももなどに刺す練習もしておいてください。

万が一、間違ってアレルギー食材を食べ、少しでも呼吸困難などの異変があればちゅうちょせずにエピペンを刺します。アナフィラキシーを起こして30分以内にエピペンを打たないと、命を失う確率が高くなりますが、適切に対処すれば多くは大丈夫。きちんと備えておいてくださいね。

参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)

お話をお聞きしたドクター 小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長森戸やすみ 先生 一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。どうかん山こどもクリニックTwitter

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この記事の執筆者 大西まお 編集者・ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な担当書に、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。■Twitter

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