認知症予防・診断の第一人者が実践する、毎日の健康法「予防に大切な3つの要素を習慣化。ベースになるのは、規則正しい生活です」

2025年4月4日(金)12時30分 婦人公論.jp


(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

「人生100年時代」少しでも長く健康でいたいと思うものの、予防医療や健康術が世の中にあふれ、結局何が健康にいいのかわからない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、スーパードクター17名が専門医ならではの知恵ある健康習慣を解説した書籍『名医に聞く健康法』から一部を抜粋し、医師自身の〈私の健康法〉をお届けします。今回紹介するのは、鳥取大学医学部教授・浦上克哉先生の健康法です。

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使命感が私の認知症予防


毎日同じサイクルを重んじる

「運動」「知的活動」「コミュニケーション」の3つが認知症予防には大切です。日々の生活の中に取り入れて、コツコツと続けていく、つまり「習慣化」することが大切。「塵も積もれば山となる」です。

そのためのベースとなるのが、規則正しい生活です。毎日同じサイクルで回っている方がペースを乱しにくいので、私は平日も休日も必ず朝6時に起きることにしています。朝起きるためには、夜もそれなりの時間に寝なくてはいけません。仕事などの都合もあるので、こちらは毎日同じ時間というわけにはいきませんが、それでも夜更かしは避けています。

歳を重ねると、食事、とくに朝食がいい加減になるケースが少なくありません。しかし、朝食は体のリズムも整えるためにも不可欠。もちろん、私も朝からしっかりいただいています。我が家の定番メニューは、パンとハムやソーセージ、目玉焼き、紅茶、ヨーグルト、そしてフルーツです。

運動は週単位でよしとする


運動は、1日7000歩が目安なのですが、私が住む地域は車社会。私自身、通勤も買い物も車を利用していて、意識しないとなかなか歩数は稼げません。

そこで、駐車場は目的地からできるだけ遠くを選び、職場である大学では、エレベーターを使わず階段を上り下りしています。それでもせいぜい3000歩、油断したら1000歩にも満たない、なんていう日もあるのが現実です。

そのため、週に1回ほど、仕事が終わった後、スポーツジムで有酸素運動と筋力トレーニングをしています。これで1週間の合計歩数が4万9000歩ぐらいになっていればOK。

このように自分なりの"現実路線"で行うことが、長く続ける秘訣でもあります。

知らない人と積極的に会話


脳の神経細胞を活性化させるには、できるだけ知らない方や、知っていても会う機会が少ない方とおしゃべりする機会をつくるのが理想的です。

以前は、学会などで県外に出かけると、電車で偶然隣り合わせた人に話しかけたりしていたのですが、今は皆さん、スマホの画面を見つめているので、話しかけにくくなってしまいました。


(写真提供:Photo AC)

学会や講演、メディア取材も、私にとっては知らない人との会話のひとつです。

恩師の「講演や取材の依頼はできるだけ断らないように」との教えに沿うことでもあるため、どんなに忙しくても極力時間を作り、認知症予防の普及とともに知らない人と話す機会にしています。

認知症研究は社会貢献


家庭や社会の中で役割を持つことも大切です。私にとっての役割は、「認知症予防について、1人でも多くの方に知っていただくこと」「1人でも多くの高齢者が認知症にならないよう支援をしていくこと」に尽きます。

長年、鳥取県の高齢者を対象とした認知症の調査研究を行ってきたのですが、あるとき、認知症は突然発症するのではなく、経過があることに気がつきました。最初は非常に元気で健康的だったのに、翌年会うと、少しにおいがわかりにくくなっている。すると、次第に物忘れが起こるようになり、最後に認知症になるのです。こうした高齢者をたくさん見てきて、認知症は予防できるはずだと確信しました。

また、老々介護の現場も見てきましたが、皆さん、大変な苦労をされています。今後、ますます高齢社会になると考えると、認知症を発症させないことが非常に重要な社会的テーマです。

情熱をもって取り組んでいる仕事で社会貢献を。この思いが何より私自身の認知症予防になっているのだと思います。

※本稿は、『名医に聞く健康法』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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