文章を読むだけで老眼改善!眼科医が教える新感覚“目トレ”1日1分の「マジカルフレーズ」

2024年4月8日(月)6時0分 週刊女性PRIME

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 眼精疲労、ドライアイ、老眼……年齢とともに悩みが増えるつらい目の症状。日本眼科啓発会議が40代以上を対象に行った調査では、50代の女性が訴える身体の不調で一番に挙がるのが、目に関する不調という結果も出ている。

目の不調を訴える中高年が増加

「現代人は目を酷使しがち。若者だけでなく、中高年も日常生活の中でスマートフォンやパソコンを見る時間が増えていて、知らず知らずのうちに目に負担をかけています」

 そう教えてくれたのは、これまでに16万人以上の患者を診察してきた眼科専門医の松岡俊行先生。

「人間の目は狩猟生活の名残で、遠くのものにピントを合わせるようにできています。それに逆らって、朝から晩までスマートフォンなどの近くの画面にピントを合わせて見続けることは、目にとっては1日中、肉体労働をさせられているのと同じことなのです」(松岡先生、以下同)

 目を酷使し続けることによる負担は、つらい目の諸症状を引き起こす大きな原因に。

「目の不調の主な原因は、加齢によるものと、日々の目への負担が蓄積したものの2つが考えられます。加齢性の不調はすべての人に平等に起こることですが、それを加速度的に進ませてしまうのが、日常的な目の酷使なのです」

視力低下の原因は「目のコリ」!

 目の不調を改善するうえでカギとなるのが、目の筋肉。目の内側にはピント調節などを行う2種類の内眼筋と、眼球を見るもののほうに向ける働きをする6種類の外眼筋と呼ばれる筋肉がある。なかでも、目の働きに特に大きな影響を及ぼすのが外眼筋だ。

「両方がバランスよく働くことで、ものを見ることができるのですが、近くのものばかり見ていると、内眼筋が緊張してかたくなり、遠くを見たときにピント調節ができなくなる、いわゆる調節緊張による近視の症状が出てきます。

 筋肉が緊張してかたくなっている状態だと血流も悪くなり、外眼筋も動きにくくなってしまうのです」

 さらに、ピントを調節する内眼筋は自律神経によって支配されているため、内眼筋が疲れると自律神経のバランスが崩れ、目の重さや痛み、頭痛やイライラなどが起き、身体のあちこちに影響が及ぶ。

「つまり眼精疲労の原因は目の筋肉のコリ。これをほぐせば、目の不調改善につながります。一度視力が低下すると治らないのではと悲観してしまいがちですが、目の状態によるものの、特に40〜50代の老眼が始まりかけている人たちに効果が見込めます」



目のコリをほぐすお手軽ストレッチ

 近くを見続けることで、こわばってしまった目の筋肉をほぐすのにおすすめなのが、松岡先生考案のトレーニングメソッド「マジカルフレーズ」だ。短い文章を逆さまやジグザグに読むことで目の筋肉を動かし、コリをほぐしていくストレッチだという。

「特に目をさまざまな方向に動かす外眼筋に効果的です。この運動で大切なのは、眼球をゆっくり動かすこと。これによって全身がリラックスした状態になり、目の筋肉の緊張がほぐれ、血流もよくなります。

 日本人の中途失明の原因第1位である緑内障は、眼圧上昇による血流低下が原因だといわれています。血流をよくすることは目にとって、とても大切なことなのです」



 さらに、血流がよくなることで涙も出やすくなり、ドライアイにも効果が見込める。

「心に響く文章ばかり集めているのは、副交感神経が優位になり、涙の量を増えやすくするためなのです」

 また、これまでの視力回復法の多くは、目を上下左右に大きく素早く動かして眼筋を鍛えるものが主流だったが、それらはいわば目に負荷をかける強力な筋トレのようなものだという。

「眼筋を鍛えることで瞬発的には視力検査などでいい数値を出せますが、目の疲労は改善されません。

 それよりも、目の疲れを癒し、例えば老眼のピントの合う範囲が少し広がるような、生活が少し改善された状態が長く続くほうが、助かる人が多いのではとこのストレッチを考案しました」

 マジカルフレーズを試した人の中には、2週間で視力が0.5から1.0になり、老眼も改善し小さな字が見やすくなった50代女性のケースも。

「年齢や症状によって効果はさまざまですが、視力検査の他、眼精疲労の度合いを調べる検査でも改善されていることがわかりました」



無理せずゆっくり目の筋肉を労って

 ゆっくりとした目の動きに加えて、文章が逆さまや斜めになっていることもマジカルフレーズの特徴。

「ヨガで普段やらない特殊な姿勢をとるように、あえて普段とは異なる読み方をすることで、あまり使われていなかった目の筋肉が動き、ストレッチ効果がアップします。眼球の動きもよくなりますよ」

 さらに、逆さ読みという普段とは異なる動きが、脳の視力を司(つかさど)る視覚野を刺激し、見たものを認識しやすくなる。

「時間の目安は1日1分、目が疲れない程度の時間です。視力をよくするぞ!と意気込んで一度に1時間も2時間も行うと目に疲労が蓄積するうえ、交感神経が優位になって逆効果になってしまいます。無理なく、ゆるく続けることが大切です。

 目の周りの筋肉を意識しながら、1日頑張ってくれた目に、お疲れさまという気持ちを込めてストレッチをしてみてください」



 心身共にリラックスしている就寝の1時間ほど前がおすすめだが、仕事や家事の合間に気分転換に取り入れても効果がある。

「目の筋肉を動かすことが目的なので、頭は固定し目玉を動かすことを意識してください。慣れてくると、つい早く目を動かして文字を読みたくなりますが、1文字ずつ丁寧に目で追うことが重要です」

 毎日行うことで、目の不調改善が期待できるマジカルフレーズだが、目への負担をかけ続ける生活習慣を送っていては効果が出づらい。

「スマートフォンを使う時間を1日2〜3時間程度にする、寝る前には使わないなどのルールを決めて、目を労る習慣をつけることをおすすめします」

 また、目に違和感がある場合や、急激な症状の変化を感じたときは早めに眼科を受診してほしいと松岡先生。

「急に近視や老眼が進んだと感じたときは、その裏で白内障や緑内障が進行している可能性があります。

 目の病気や症状は、放置しているとどんどん進行して、気づいたときには大がかりな治療をするはめに。40歳を過ぎたら、年に一度は眼科医による目の検査を受けるようにしてください」



1日1分!今日から始めるマジカルフレーズ

 歴史に残る名文3つをご紹介。文字を1つずつゆっくり追って、眼球の筋肉をじっくりストレッチ!

マジカルフレーズのやり方

□3つのうちお好きな2つを組み合わせて、1日1分、目が疲れない程度の時間行う

□(1)から矢印に沿って数字の順番に、焦ら ずにゆっくり読む

□文字を読むときは、頭を動かさず眼球だけを動かす

□マジカルフレーズと眼球は40〜60cmくらい離す

□ピントが合ったコンタクトや眼鏡をしたまま行う

□就寝の約1時間前にリラックスして行う

「Z逆さ読み」

 外直筋と内直筋をほぐす



この名言は…

「天使とは、美しい花をまき散らす者ではなく、苦悩する人のために戦う者のことです」(イギリスの看護師フローレンス・ナイチンゲールの言葉)

「行間空け逆さ読み」

 上直筋と下直筋をほぐす



この名言は…

「人類は戦争を終わらさなければならない」(アメリカ合衆国第35代大統領 ジョン・F・ケネディの言葉)

「8の字逆さ読み」

 上斜筋と下斜筋をほぐす



この名言は…

「たとえ明日世界が終わるとしても、私は今日、リンゴの木を植えるだろう」(ドイツの神学者 マルティン・ルターの言葉)



教えてくれたのは……松岡俊行先生●眼科専門医。自身のYouTubeチャンネルで目の悩みや最新の近視治療法についても解説。著書に『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』(アスコム)。



文/後藤るつ子

週刊女性PRIME

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