職場の同じ給料のはずなのに…!「余裕のある人」と「カツカツな人」の違いとは?
2025年4月18日(金)19時30分 All About
職場で、同じくらいのお給料のはずなのに…なぜかお金に余裕がある人と、カツカツな人がいませんか? いったいその差はどこにあるのでしょうか。謎に迫ってみましょう!
同じお給料のはずなのに、なぜこんなに違う?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」(2024年)の[二人以上世帯調査]のデータによると、40代で年収500万〜750万円未満の世帯では、貯蓄がない人が23.8%いる一方で、貯蓄が1000万円以上ある人は19.8%います。例えば同じ職場の人で、だいたい同じお給料のはずなのに……なぜかお金に余裕がある人(Aさん)と、毎月カツカツな人(Bさん)がいませんか? それはいったい、なぜなのでしょうか。
Aさんは時々、家族で外食を楽しんでいて、たまに旅行にも行きます。いつも笑顔で余裕がありそうで、「お金がカツカツ」なんていう言葉を聞いたことがありません。
一方でBさんは、「早くお給料日にならないかな……」とつぶやいてばかり、毎月家計がカツカツ。外食といっても近所のちょっとしたフードコートくらいだし、旅行に行くほどの余裕はナシ。
Bさんは、Aさんに「お金のこと、得意だったりする?」と聞いてみても、「いや全然。特別なことは何もしていないけど……」と、Aさん。
さて、「余裕のAさん」と「カツカツBさん」、なぜこんなにも違うのでしょうか。
違い1:「貯まる仕組み」の有無
まず、Aさんは「お金が貯まる仕組み」を作っていました。給与振込口座で、自動積立定期預金を毎月設定していたのです。AさんとBさんの手取り額は同じでも、Aさんは、毎月5万円を自動的に定期預金に振り替えています。毎月5万円を確実に貯め、その5万円が引かれたお金で毎月生活をしているのです。
それなら、Bさんのほうが使えるお金は5万円多いはずですが……。Bさんは、その実感もないまま、何となくお金を使いきってしまって、貯蓄ゼロ。いつまでたっても、お金の余裕ができません。
まず「貯まる仕組みを作ること」は、大きな差になるポイントです。
違い2:「住居費」の考え方
AさんとBさんとでは、住居費にも大きな違いがありました。2人とも持ち家で、住宅ローンの返済中です。ここは一見、変わりがありません。しかし、ローンを組む金額に大きな違いがありました。
Aさんは、少し先のことも考えながら「無理がない金額」でローンを組んだので、毎月のローン返済額があまり負担にはなっていません。
一方でBさんは、身の丈をはるかに超えた金額のローンを組み、ローン返済額がAさんに比べて非常に高く、家計を圧迫していたのです。
「身の丈をはるかに超えていたローン」を組むと、毎月使えるお金は大きく減ってしまうことになるので、要注意です。
よくあるケースが、夫婦2人でバリバリ働いているときには、大きな金額のローンを組めると感じてしまうこと。最初はなんとか返済していても、返済途中で子どもが生まれて時短勤務になったり、転職して収入が下がったり、子どもの教育費がかかるようになったりすると、計画通りに返済できずに苦しんでしまうのです。
ローンを組む際には、「ずっと先の完済まで、余裕をもって返済できるか」をしっかり考えることが大切です。
違い3:「外食費」の考え方
実は「外食」の考え方の違いも、大きな差になりました。Aさんは、普段は家で料理をしていて、外食は月に2回ほど。外食の際には、いいお店を選んでいるので満足感も高く、月の外食費は3万円ほどです。
一方でBさんは、料理をするのが面倒になり、よく外食に行きます。といっても「いいお店を選んで行く」というわけではなく、近所のフードコートやファストフードばかり。1回当たりの金額は高くないものの、週に5回、6回と回数を重ねることで、実際には月の外食費はトータルで4万〜5万円にもなっていました。「Aさんのように、いいお店には行っていないのに、お金が貯まらない……」と嘆く理由もよく分かるでしょう。
外食をする際は、「記憶に残る外食」を意識するのがコツです。「なんておいしい!」「ここ、楽しみだったんだよね〜」とワクワクと気持ちが高まるようなお店で食べるからこそ、記憶に残りやすくなります。トータルでは高額にならなくても、満足感が高まるのです。
違い4:子どもの「習い事」の考え方
子どもがいる場合、塾や習い事に行かせることも多いでしょう。余裕のAさんと、カツカツBさんとでは、子どもの習い事にかける回数と金額に違いがありました。
Bさんは、子どもにいろいろな経験をさせたいと思い、3カ所の違う習い事に通わせていました。ウエア代や発表会代など、月謝以外にもお金がよく出ていきます。
一方でAさんは、子どもが興味のあるもの2つに絞りました。そのうち1つは、週に2回通っています。
AさんもBさんも、どちらの子どもも習い事は週3回ですが、同じ習い事を週2回にするほうが、違う習い事を3つするよりも、かかる費用は一般的には安くなります(例えば、週1回なら8000円、週2回なら1万2000円など)。
さらに、通う回数が増えると上達もするようになり、習い事の効果も高まるでしょう。習い事の種類を減らせば、ウエア代など単発で出ていくお金も減ります。意外と見逃せないお金です。
ほんの少しの「お金の貯め方・使い方の差」が「大きな差に」!
余裕のAさんとカツカツBさんの違いをお伝えしましたが、これらの違いは、2人の話をじっくり聞かない限り、ぱっと見ただけでは分からないでしょう。しかも、Aさんはお金に関してそれほど無理をしているわけではないのです。むしろBさんのほうが「高い外食はやめよう」と、日々我慢している気持ちが強いかもしれません。
ただ、ちょっとしたお金の「貯め方」(自動的に貯まる仕組みを作る)と「使い方」(例えば、高い住宅ローンを抱えない、外食や習い事に注意)の差の積み重ねで、意外と大きな差になることがお分かりいただけたと思います。
まずは、Aさんのように「貯まる仕組み」を作るところから始めて、支出については「1カ月当たり」「1年当たり」などとロングスパンで考える習慣をつけてみてください。
文:西山 美紀(ファイナンシャルプランナー)
出版社に勤務し、編集・マーケティングに携わった後、フリーライターとして独立。女性誌やビジネス誌などで、貯蓄法や子育てにかかるお金の貯め方などをテーマに取材し、原稿・コラム執筆などを行っている。
(文:西山 美紀(ファイナンシャルプランナー))