「これはすごいインパクトだ…」立ち食いそばチェーン店で初採用! にわかには信じられない“極太麺”の“おそるべき衝撃”
2025年4月22日(火)7時10分 文春オンライン
都内に10店舗展開する立ち食いそばチェーン店の「吉そば」。1990年代、赤坂のTBS会館前にあった店には大変お世話になった。今も店は健在だ。元気なお姐さんがいて活気があった。イゲタ状に揚げられたごぼう天や春菊天が人気メニュー。今でも中目黒店や池尻大橋店、不動前店、銀座本店にはしばしば足を運ぶ。
原宿竹下通りには茶そばと甘味の店「吉茶庵(KITCHAAN)」が2020年3月にオープンしている。運営する株式会社ノアは音楽スタジオも経営している。利用した方も多いのではないかと思う。
「吉そば」が麺を一新、いざ不動前店へ
そんな「吉そば」が、2025年4月12日から順次、そばうどんの麺を一新するという。チェーン店が麺を一新するというのは、相当の覚悟を持って決断したことなのだろう。さっそく、不動前店にうかがってみることにした。

4月12日、午前10時過ぎ、東急目黒線不動前駅に降り立つ。桜は大分散って葉桜になるところ。今年は花見はできなかった。改札を出るとすぐに吉そばの白地の大きな看板が目に入る。良い立地だ。天気がいいせいか、駅前には大勢の人がいた。目黒不動尊へ行く人たち、子供たちの仲間、地元民などが細い路地を歩いている。
店は扉が開放された状態で、紺色の暖簾が揺れている。入口に「吉そばの新定番。」という新しい麺の告知が張り出されていた。そこには3種類の麺について次のように記されていた。
麺は3種類に変更
麺は以下の3種類に変更されていた。
・平打そば:自家製の挽きぐるみ蕎麦粉が生み出す、香り高く奥深い風味。丹念に練り上げたそばは、伝統の技と自然の恵みが融合した、懐かしくも新しい田舎の味わいです。
・極幅そば:驚きの太さがもたらす、しっかりとしたコシと噛みごたえ。噛むたびに広がるそば本来の旨味は、どこか懐かしい田舎の情緒を感じさせ、一度食べると忘れられない逸品です。
・細うどん:厳選された国産小麦が織りなす、滑らかで繊細な細うどん。透き通るダシとの調和が絶妙で、シンプルながらも洗練された上質な味わいをお楽しみいただけます。
入店すると、すぐ右手に券売機がある。
タッチパネルを操作して、まずは平打そばを食べてみることにした。
ここで意外なことに気が付いた。従来からあった細麺のそばのボタンがないのだ。細麺はやめて、この3種類だけにしたようだ。
すごい思い切った作戦に出たわけである。勝負に出たということなのだろう。
そばが着丼!
大盛りは無料だが、ここは並盛りで「冷し春菊天そば」を発券し注文した。注文は自動的に厨房へ伝わり、出来上がると券にプリントされた番号で呼ばれる仕組みだ。
程なく完成したので取りに行く。さて、到着したその姿は壮観だ。大きな春菊天に、わかめ、ねぎ、わさびがのっている。
肝心な平打そばがみえない。箸を春菊天とわかめの間に突っ込んで、そばを引っ張り出した。おおっ、これは割り箸と同じほどの麺幅、3mm程度と太さもある。以前、中目黒店で食べた従来の細麺のそばと比べてみるとは随分違う。
まずは平打そばをひとくち。そばの香りが伝わってくる。冷しのつゆは返しが利いたしっかりとした味だ。そばがつゆをよく持ち上げている。
太(田舎)麺は椎名町「南天」、中野「かさい」、日暮里「一由そば」、富士見台「麺処盛盛」などで導入しているところもあるが、チェーン店では初めての採用だ(品川駅の「常盤軒」は平成の頃までは田舎麺)。
そして、春菊天のデカいこと。以前は丸い形に揚げていたが、大きく葉が開く揚げ方に変更したようだ。食べ応えがあってこれもよい。あっという間に食べてしまった。
注目の極幅そばの「月見そば」登場…すごい幅だ…
そこで、注目が寄せられている極幅そばも食べてみることにした。温かいそばがおススメだというので、温玉を使った「月見そば」を追加注文した。しばし待ち、番号が呼ばれたので取りに行く。そのビジュアルがまたすごかった。
ひもかわかと思うほど、幅は1cmはあるだろう。箸が3本は並ぶ程だ。厚さは平打そばと同じだ。こんなそばは最近みていない。西浅草にある「手打蕎麦 おざわ」の「太打ちそば」以来だ。
まずつゆをひとくち。1889年創業の三重県桑名でつくられた本醸造の醤油を使用している。この醤油に、かつお、日高昆布のダシをあわせた自然な味わいのうまいつゆだ。化学調味料、着色料、甘味料不使用だとか。
じっくりとつゆにそばを泳がせて食べてみた。これはツルツルと啜るそばではない。ワシワシと噛みしめて食べるそばだ。これはすごいインパクトだ。
そして見た目にはそれほど多くないのだが、実はそばの量がすごく多い。ワシワシと食べてつゆをのみ、またワシワシと食べる。
煮込みそばにして食べてもうまいに違いない。フィットチーネみたいにオリーブオイルやパンチェッタなどとあえてもうまそうだ。外をみれば穏やかな風景が広がっている。いやはや、2杯食べて腹が膨れて大変だ。
翌週、「かき揚げ細うどん」も食べてみたのだが、こちらはしっとりと落ち着いた食感でつゆのうまさがダイレクトに伝わってくる。
しみじみうまい。
チェーン店が麺を一新した理由
今後、順次麺を一新して全店で同じ味を提供していくという。今回挽きぐるみそばを食べてみたところ、自慢のつゆとの相性もよく、つゆを良く持ち上げて、うまさがくっきりと伝わっているように感じられた。
「吉そば」は天ぷらも新しくなっている。夜飲みや午後飲みもできる店が増えるという。楽しみである。次回は極幅そばの大盛りに挑戦だ。
INFORMATION
「 吉そば不動前店 」
住所:東京都品川区西五反田4-32-14 不動前ノアビル
営業時間:月〜金 7:00〜22:30 /土 7:00〜21:00/日・祝 7:00〜18:00
定休日:なし
(坂崎 仁紀)