和田秀樹「こうしたほうがいい」は参考程度に聞き流して、手を抜いて生きていい。将来が不安という声もあるが、いざとなれば…

2025年4月24日(木)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

「精神科医になり、あまりに多くの人が、手が抜けないために、心の病に陥ってしまう現実を目の当たりにした」と話すのは、高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生。そこで今回は、和田先生の著書『60歳からの「手抜き」の極意』から一部を抜粋・再編集し、<第二の人生を存分に楽しむための新提案>をお届けします。

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「あれしろ」「これしろ」は悪いプレッシャー


食事は、なるべく多くの食材を食べるようにした方がいいですが、「1日に何種類のものを食べなさい」と言われると、それがプレッシャーになってしまいます。

真面目な人は、きっと朝から食材の数を数えて、今日はクリアまであと何種類だと考えてしまうでしょう。そのように、何かによって自分を縛ってしまうとストレスになりかねません。だから、いろいろな人の「こうした方がいい」という話は参考程度に聞き流して、楽に、手を抜いて生きていいんだよと言いたいのです。

何をしていいかわからないから、誰かの言葉に従ってみようという考え方もあるかもしれません。手抜きでふんわり参考にするくらいならいいのですが、それを守ろうと思っているうちに、プレッシャーが積み重なってしまいます。

そもそも決めたとおりにできることなど、そう多くはないと思うのです。こうしようと思ってそのとおりにいかないことはままあるでしょう。その時に不安になったり、嫌な気分になったりして、それが積み重なるとうつ状態になってしまったりするのです。

こうしようと決めたことがあっても、自分の意志だけではどうにもならないことが多々あります。それなのに決めたことを守ろうとすれば、自分を責めたりしてしまいます。わざわざそんな生き方をしなくていいのではないでしょうか。

人生行き当たりばったりが気持ちいい


とくに、ある程度の年齢になったらすべて行き当たりばったりでいいのではないかと思うのです。むしろ、行き当たりばったりの方が、いろいろなことを新鮮に楽しめるのではないでしょうか。

たとえば旅行でも、とくに予定が詰まっているのでなければ、この日までに帰らなくてはいけないと決めず、自由な過ごし方をしてみるのはどうでしょう。

ふらりと旅に出て、金が尽きたら帰ればいいくらいの自由さでいると、スケジュールを守らなくてはならないというプレッシャーもなく、旅の日々を心から楽しむことができます。そんな自由な生き方が許される年齢になりつつあるのです。

お金が尽きて家に帰ってきたら、1週間くらいつましい暮らしをしてもいいでしょう。近くのスーパーなどで4〜500円くらいの弁当を買って食べて、そしてまたお金ができたら好きなことをするという気ままな生活、なんだか自由でいいと憧れませんか。

将来が不安という声もありますが……


この先、体が動かなくなってくるとそんな生活も自由にできなくなるかもしれません。お金を使いたくても使えなくなるかもしれません。

だから、自由に楽しめる時に楽しみ、お金も使える時に使えばいいのです。


(写真提供:Photo AC)

将来が不安という声もありますが、大丈夫、なんとかなります。いざとなれば生活保護もありますし、飢え死にする事態になることはないでしょう。

今の日本は、外国と比べものにならないくらい安い昼飯もあれば安い弁当もあるので、5000円ほどあれば10日は生き抜けるはずです。そのうち、次の給料や年金も入ってくるでしょう。そのくらいの気ままな生活も素敵ではありませんか。

好きなものは先に食べるのが正解


「好きな食べ物を、先に食べるか後にとっておくか」はその人の性格にもよるもので、子どもの頃からなかなか変わらないのではないでしょうか。性格上、どちらがいいということはありません。けれども、年をとったら断然、好きなものを先に食べる方がいいと思っています。

いくらでも食べられた若い頃と違って、もはや食べられる量は決まっています。嫌いなものを先に食べるとそれでお腹がいっぱいになってしまって、本当に好きなものをいいコンディションで食べられなくなってしまいます。それが年をとるということなのです。

ゆくゆくはこんなことをしたい、いずれこんなものを買おう、いつかここに行ってみたいと思っていても、その「ゆくゆく」「いずれ」「いつか」はもう来ないかもしれないのです。

先のことを考えて今は我慢しておこうと思っているうちに歩けなくなってしまうかもしれないし、買っても使えなくなったり、楽しめなくなったりしてしまうかもしれません。

あまり先にとっておこうとせずに、使えるうちにいいお金の使い方をして、楽しめる時に楽しんだ方がいいと思うのです。

※本稿は、『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

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