身体づくりに効果的な食べ方は…「おすすめの栄養って?」「糖質は抜いたほうがいい?」プロトレーナーが疑問を解消

2025年4月30日(水)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

内閣府の令和4年版「高齢社会白書」によると、女性の「介護が必要となった主な原因」では、「骨折・転倒」が2位となっています。そのようななか「筋力をつける習慣は、歳をとればとるほど重要になります」と話すのは、プロトレーナーで元アジア&全日本ボディビル(女子)チャンピオンの西本朱希さん。今回は西本さんの著書『女性のための50歳からの筋トレ入門』から一部を抜粋し、<50歳からの女性におすすめなウエイトトレーニングの方法>をご紹介します。

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身体づくりにおすすめの食事


「**を食べることがおすすめ」……ということはなく、「バランスのよい食事を心がける」、これにつきます。

「たんぱく質は筋肉づくりに必要だ!」とか「この栄養素は**に重要だ!」のように言われると、その食材や栄養素をたくさんとりたくなりますよね。でも、そういった食べ方は結局「無駄に過剰な栄養素を摂取」することになり、偏りをつくる食べ方になります。

身体に必要な栄養素や機能性成分は、「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の三大栄養素、「ビタミン」「ミネラル」の微量栄養素、消化酵素で消化できない成分である「食物繊維」、植物の苦みや香り・色素などに多く含まれる成分「フィトケミカル」です。

ご飯・パン・麺類などの主食からは主に炭水化物、肉・魚・卵・大豆製品などの主菜からは主にたんぱく質と脂質、野菜・きのこ・海藻類を使った副菜からは主に食物繊維とフィトケミカル類を摂取できます。ビタミン・ミネラルは、主食・主菜・副菜、それぞれに違った種類のものが含まれています。

そのため、ありきたりに聞こえるかもしれませんが、「三食とも主食・主菜・副菜をそろえた食べ方をする」、これがバランスのよい食事の基本です。とくに副菜を食べる習慣や、嗜好品については制限をかける習慣が大事です。

理想的な一日の摂取量


健康的な身体づくりをしていくために適した炭水化物・たんぱく質・脂質の割合や量などを統計で示したデータをもとに、理想的な一日の摂取量をご紹介します。

糖質(炭水化物)については、減量している・していないにかかわらず、基本的には総カロリーの50〜60%の摂取が、筋肉量を増やして代謝を上げていくためにも、健康的な生活を送るためにも、適した量です。減量中でも、おにぎり1個程度の主食を一日3回食べるのが基本になるということです。


『女性のための50歳からの筋トレ入門』(著:西本朱希/かんき出版)

糖質は、その種類によって働きが変わってきます。主に主食となる穀類からの摂取を7割と考えて、お菓子やジュース、果物などを主食代わりにするような食べ方は避けましょう。また精製された白いお米は食物繊維などが不足して吸収されやすい特徴がありますから、玄米や五穀米を混ぜたり、副菜となるものを多めにとったりする習慣が大事です。

たんぱく質は、一日に体重1kgあたり1gで十分で、多くても体重1kgあたり1.5gまでが目安。主食もしっかりとれているようであれば、一食あたり肉や魚を一切れ程度(100g以下の量)で十分です。サプリメントを追加する必要はありません。

脂質については、不足しがちなn-3系脂肪酸を多く含むもの(魚介類や亜麻仁油、エゴマ油など)を積極的にとり、肉の脂や揚げ物を頻繁に摂取する習慣を避けるだけで、おおよそ適正量に近づきます。

主食・主菜・副菜を、どのくらいずつ食べるかを決めて、習慣づけていくことができれば、身体づくりのための食事は難しいものではありません。

ダイエットで糖質を抜くのはおすすめしない


繰り返しになりますが、バランスのよい食事が一番。

糖質を抜く方法は、おすすめしません。

糖質の大きな役割としてまず挙げられるのが「エネルギー源」。脂質も非常に大きなエネルギー源ですが、糖質のような即効性はありません。また、脳のエネルギー源はブドウ糖という糖質のみです。

そしてもう一つの大きな役割が「合成」。血糖値を上げることで膵臓からインスリンを分泌させ、血液中の糖質を筋肉や脳や肝臓にエネルギー源として蓄えます。身体を構成する成分である、たんぱく質や脂肪の合成にもかかわっています。

糖質も含めてバランスよく食事を摂取


単純に「痩せる」と考えると、「合成させなければいい」のですから、糖質をとらなければ合成のしくみが働かなくなり、痩せ細っていくことになります。でも、この「合成」という働きをできるだけさせないようにして痩せ細ることが、健康的な食べ方なのでしょうか? 身体の構成成分であるたんぱく質や脂質をスムーズに合成できるしくみがあるからこそ、筋肉も、髪の毛も、皮膚も、骨も、細胞膜や神経細胞も、正常につくられ、そして正常に機能するのです。

糖質にはこうした重要な役割があるため、糖質が不足しているときには、身体はたんぱく質を代わりに使って糖をつくり出します。そのため、糖質を抜き、その分たんぱく質を多くとれば、血糖値は上がらないので合成を控えられるし、ダイエットにも効果的なのではないか? という論議もされ続けています。

でもここで考えてほしいのは、厚生労働省が定めた、糖質、たんぱく質、脂質の摂取バランスの基準である「エネルギー産生栄養素バランス」です。健康づくりを目的とした場合、50代女性ならば、たんぱく質:14〜20%、脂質:20〜30%、炭水化物:50〜65%という比率が適正とされています。摂取エネルギーの半分以上を糖質でとる食べ方が、最も病気の罹患率が低く、肥満症の人も少ない理想的な食べ方だということが統計的に出ているのです。

そして大事な点は、糖質を抜かなければ減量はできないのか? ということです。糖質も含めてバランスよく食事を摂取しながら筋トレを続けていくことで筋肉量を増やすことができ、それによって代謝が上がり、体脂肪も落ちやすい体質になっていくのです。

とは言え、主食の代わりに嗜好品から糖質をとることや、穀類であってもさまざまな栄養素を排除した「精製された白いご飯や白いパン」などを単体で摂取するようなことは避けるべきです。そして、主食を抜いてバランスを崩すのではなく、無駄なものを摂取しないようにしてバランスのよい食べ方をし、筋肉量を増やして痩せやすい身体づくりをすることが大事なのです。

※本稿は、『女性のための50歳からの筋トレ入門』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

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