50歳以上の女性にこそ筋トレがおすすめ。プロトレーナーが教える、トレーニングの効果をグッと上げるための「準備」とは
2025年4月25日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
内閣府の令和4年版「高齢社会白書」によると、女性の「介護が必要となった主な原因」では、「骨折・転倒」が2位となっています。そのようななか「筋力をつける習慣は、歳をとればとるほど重要になります」と話すのは、プロトレーナーで元アジア&全日本ボディビル(女子)チャンピオンの西本朱希さん。今回は西本さんの著書『女性のための50歳からの筋トレ入門』から一部を抜粋し、<50歳からの女性におすすめなウエイトトレーニングの方法>をご紹介します。
* * * * * * *
トレーニングの効果がグッと上がる準備
せっかくトレーニングをするのであれば、「筋力アップ」に加えて、「姿勢がよく、若々しい、メリハリのあるボディ」も目指してトレーニングしたいものです。
そのためには、
・トレーニング時の姿勢に注意すること
・鍛える筋肉をきちんと意識して、それを鍛えるためのフォームの原則に従うこと
・全身をバランスよく鍛えること
が大事です。
また、歳をとってもいつまでも長く効率的に続けていくためには、
・自分に合った負荷重量を選ぶこと
・自分に合ったトレーニング時間や頻度を考えること
・関節にできるだけ負担をかけないフォームを覚えること
も大切です。
トレーニングを始めたばかりでまだ軽い負荷しか扱わない時期であれば、フォームが間違っていても、それが何か悪い影響を及ぼすようなことはまずありません。怖がらずに重りを持ってトレーニングにチャレンジしてみてください。
ただし、重い負荷を扱えるようになっても間違ったやり方を続けていると、姿勢の悪さやバランスの悪さなどが、逆効果になって見た目に現れることもあります。そうならないよう、この記事の内容をときどき見返し確認しながら、自分のトレーニングを確立していってください。
「いい姿勢」をつくろう!
それでは、トレーニングの効果をグッと上げる準備について見ていきましょう。
例として、ケーブルを引いて背中を鍛えるトレーニングで説明します。同じ「前方からケーブルを引く」動作一つであっても、その引き方によって効果に違いが出てきます。
たとえば、Aのスタートポジションから、Bのように「背中を丸めたり」「肩をすくめたり」「首を前に出したり」するような、いわゆる「悪い姿勢」で引く練習をしてしまえば、見た目がキレイな身体をつくり出すための筋肉は鍛えられず、むしろ悪い姿勢を強調するトレーニングになってしまいます。
『女性のための50歳からの筋トレ入門』(著:西本朱希/かんき出版)
見た目の美しさや若々しさの印象は、普段無意識にやっている姿勢と大きくかかわってきます。トレーニングを始めたばかりのころは、「どの筋肉を鍛えるか」という細かなことまで意識するのは難しいのですが、フィニッシュポジションをCのような「いい姿勢」にできると、自然と「キレイな身体のラインをつくるトレーニング」になります。
「いい姿勢」ってどんな姿勢?
「いい姿勢をしてください」と言うと、肩甲骨を寄せてしまう方が多いのですが、これは実はやや不自然な姿勢です。動きや姿勢の基本となる「いい姿勢」は、見た目にもキレイなだけでなく、大きな力を発揮しやすい姿勢でもあります。
まずはトレーニング効果を上げる「いい姿勢」のつくり方のポイントとして、「肩甲骨のセッティング」「顎を引く」を、壁やイスを使って練習してみましょう。
とくに最初にご紹介する「肩甲骨のセッティング」は、みぞおちを引き上げて肋骨を内側に締めながら肩を下げる、トレーニング時に怪我を防ぐ基本姿勢です。
日常生活上の姿勢のクセから、知らないうちに背中が丸くなっていたり、首が前に出ていたりすることがあります。クセのチェックもおこないながら、「いい姿勢」を練習していきましょう。
肩甲骨のセッティング・顎を引く
肩甲骨のセッティング
(1)かかと、お尻、背中、後頭部を壁に付けて立つ。
後頭部は首の付け根に近いあたりを壁に付けるようにする。
※立ちづらい場合は壁からかかとを10cmほど離し、上半身で壁に少しもたれかかるようにしてもOK。
(2)みぞおちを引き上げて、肋骨を内側に締める。
息を吸って胸に空気を入れるようにすると、みぞおちが引き上げられる。
息を吐いてもその位置が下がらないようにして、肋骨を内側に締める。
(3)みぞおちを引き上げたまま、脇の下を骨盤方向に向かって押し付けるイメージで肩を下げる。
顎を引く
<『女性のための50歳からの筋トレ入門』より>
「肩甲骨のセッティング」の(1)の頭の位置にする。
できるだけ首の付け根に近いあたりの後頭部を壁に付ける動作が、正しい顎を引く動き。頭を下に向けるのはNG。
※本稿は、『女性のための50歳からの筋トレ入門』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
関連記事(外部サイト)
- 虚弱体質だった大村崑さんが、86歳からジムに通い始めて起きた変化とは。鎌田實「トレーニングを始める前の崑ちゃんは、足腰がすっかり弱っていて」
- 由美かおる73歳でもY字バランス「健康と体型維持の秘訣は呼吸法。ストレスで呼吸が浅くなっている人の不調に、座ってでもできる《コア呼吸》を」
- 人生の約8分の1は要介護、寝たきり期間。健康寿命を短くする「サルコペニア」「ロコモ」「フレイル」それぞれの症状と対策を医師が解説
- シニア層からの関心も高いフィットネスクラブ。「カーブス」「chocoZAP」など、初心者でも通いやすいところはどこ?気をつけたいトラブルも紹介
- 健康維持には《筋肉・骨・ホルモン・血管・神経》5つの機能年齢バランスが重要。専門医が教える各機能の老化改善アドバイス