指が変形する「へバーデン結節」とは? 原因と症状について
2025年4月28日(月)10時0分 マイナビニュース
指の第一関節が曲げにくくなったり、赤く腫れたり曲がってしまったら、「ヘバーデン結節」かもしれません。
適切な治療を受けないで放置しておくと、さらに痛みが出たり、関節をますます曲げにくくなったりします。自己流の手当てで済ませずに整形外科で診てもらいましょう。ここでは、ヘバーデン結節の特徴や原因、症状などをご紹介します。
○■「へバーデン結節」とは?
「人指し指から小指の第1関節が赤く腫れる・曲がってしまう」のが、ヘバーデン結節の特徴です。第一関節の背中側の中央にある、伸筋腱付着部をはさむようにして2つのコブ(結節)ができます。そのため「変形性関節症」の一種と言えます。
患者さんの多くは40代以降の女性です。50代の女性の約3割、70代の女性の約5割にヘバーデン結節が見られる、という調査結果もあります。
なお、この病気を最初に報告したヘバーデンの名前から、この病名がつけられました。
○■「へバーデン結節」の原因
ケガによって起こる場合以外は、原因不明です。まだ証明はされていませんが、「裁縫や農業、手を使う重労働などをする、手をよく使う人がなりやすい」傾向はあるようです。
また、遺伝する病気かどうか証明はされていませんが、母や祖母がヘバーデン結節になった人は体質が似ているため発症する前から注意が必要です。
○■「へバーデン結節」の症状
ヘバーデン結節の症状は次の通りです。
●人さし指から小指にかけて、第一関節が赤く腫れたり指が曲がったりする
●両手に見られ、特に人指し指に起こりやすい
●第一関節を曲げ伸ばししにくくなる
●指先に力を入れると痛むことがある
●水ぶくれのような透き通ったできもの(粘液のう腫=ミューカスシスト)が第一関節にできることがある
なお、変形は残りやすいですが、痛みは軽くなっていくことがほとんどです。
○<ヘバーデン結節と診断される目安>
ヘバーデン結節と診断されるのは、次の状態が診られるケースとなります。
●第一関節の変形、突出、疼痛
●レントゲン写真を見ると関節のすき間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨棘(軟骨が大きく硬くなってできた棘のようなもの)がある
○<よく似ているけれど違う病気>
●関節リウマチ
関節内の滑膜が異常増殖して慢性炎症を起こす全身の病気です。手や足の関節が変形することがあるため間違われやすいですが、ヘバーデン結節とは違う病気です。
●ブシャール結節
ヘバーデン結節と違い、ブシャール結節は「第二関節」に腫れや変形、痛みが起こります。
○■「ヘバーデン結節」の予防と治療
ヘバーデン結節の予防方法と治療方法も知っておきましょう。
○<予防方法>
「手をよく使う人に起こる」という傾向があるため、普段から指先に負担をかけすぎないことが予防に繫がります。特に第1関節が痛む場合は次のようにしましょう。
●第1関節が痛む時
できるだけ第一関節を使わずに安静に過ごします。
●第一関節が痛いが使わなくてはならない場合
テーピングをして指先の負担を減らします。
○<治療方法>
症状に合わせて、「保存療法」か「手術療法」を行います。
●保存療法
一般的な治療です。ヘバーデン結節になった第一関節を、できるだけ使わないように安静にて固定させます。急に痛みや腫れが起こった場合は、関節内ステロイド注射(特に有効なのがトリアムシノロン)などを少量投薬することもあります。またどの進行段階でも、患部をテーピングするのは効果的です。
●手術療法
保存療法を行っていても変形が進み、痛みが続くなど、日常生活に影響する場合は手術を考えることになります。手術では伸筋腱付着部を挟んでできた2つのコブを切除したり、鋼線やスクリューを使って関節を固定します。
最後にへバーデン結節の予防法について、整形外科の専門医に聞いてみました。
へバーデン結節の原因は明確にはわかっていませんが、機械的な負荷は原因の一つと考えられています。まずは手を使い過ぎないこと。ガーデニング(草取り作業を含む)や手芸(ハサミを使用する動作など)、楽器演奏といった手をつかう活動は長い時間やらず、短時間で区切って行うようにしましょう。
また、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌低下も原因の一つと考えられています。閉経とともにエストロゲン分泌は急激に低下するため、40〜50歳を過ぎた女性に多くみられます。近年注目されているのは「エクオール」という大豆イソフラボンから生成される成分です。エクオールはエストロゲンに似た構造を持つ成分であり、生体内でエストロゲンと似た働きをすると考えられています。サプリメントであるため、保険診療として処方してもらうことはできませんが、へバーデン結節の予防法として考慮すべき選択肢の一つであると言えます。
○神田 俊浩(かんだ としひろ)先生
一宮西病院 整形外科/手外科部長、マイクロサージャリーセンター長
資格:日本専門医機構認定 整形外科専門医