完璧なプリマになることに取りつかれたアメリカ人バレリーナ…『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』ジョイ・ウーマックインタビュー
2025年4月28日(月)19時0分 ガジェット通信
完璧なプリマになることに取りつかれたアメリカ人バレリーナ…『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』ジョイ・ウーマックインタビュー
世界最高峰のバレエ団“ボリショイ・バレエ”を舞台に、 完璧なプリマになることに取りつかれたアメリカ人バレリーナの狂気に満ちたサイコ・サスペンス作 『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』が、4月25日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開中となります。
主人公ジョイはボリショイ・バレエ団からスカウトされ単身ロシアへ渡る。希望を持ちアカデミーに入学したジョイを待ち構えていたのは、常人には理解できない完璧さを求める伝説的な教師ヴォルコワの脅迫的なレッスンだった。過激な減量やトレーニング、日々浴びせられる罵詈雑言、ライバル同士の蹴落とし合い。ジョイの精神は徐々に追い詰められていき……。
この壮絶な物語は、2012年にアメリカ人女性で初めてボリショイ・バレエ団とソリスト契約を結んだジョイ・ウーマックの実話がベースとなっている。華麗なバレエ界の裏側で、当時のダンサーたちが直面していた過酷な現実もセンセーショナルに描かれています。ジョイ・ウーマックさんご本人に本作について、ご自身の体験についてお話を伺いました。
——本作とても素晴らしく拝見させていただきました。ご自身の作品がこうして映像化されて、ご覧になるのは勇気がいることではなかったでしょうか?
最初は映画化することに大賛成だったわけではないんです。この映画をなぜ作りたいかのモチベーションが分からなかった。でも、私が世界中で踊る時に監督が足を運んでくださって、「映画に参加しれませんか」と打診をし続けてくれました。でも、映画ってやることが決まったとしても、実際に形にならないことってたくさんありますよね。なので、映画館で実際に映画を観るまでは疑っていた部分もありました。実際に拝見して楽しめましたし親との会話なんかはそのままだったので、少し心がザワザワしてしまいました。あの物語が映画を通して皆さんに伝わることで、バレエという芸術の人気が再び盛り上がると良いなと思いました。今、バレエをやる人も観る人も人口が減っている状態なんですね。映画としてたくさんの方に触れていただいて、観客が増えるきっかけになれば一番嬉しいなと思いました。
——ご覧になって、ジョイさんとして特に印象的だったシーンはどこですか?
映画では最後怪我をしてしまって、それでも踊り続けるというシーンがありますが、それは実際の出来事ではありませんでした。ただ、ポジションに入って1年目に手術が必要な怪我をしてしまって、続けるかどうかを決断しなければいけない時が来ました。バレエダンサーが怪我をした時に、そのまま続けるのか、諦めるのかという選択に迫られるわけですよね。その表現はとても印象的で、芯に迫るものがあったと思います。
——映画でのダンスシーンはいかがでしたか?
すごく高いレベルで踊ることが出来て素晴らしかったです。自分の身体を完全にしっかりとコントロールしながらも、アーティスティックな自分なりの表現を忘れていなかったですよね。タリア・ライダーさんはこれまでいわゆるクラシックバレエのトレーニングはしてきていないんですよね。クラシックバレエは正確さが求められるので、とても苦労したと思います。ポーランドでの撮影にも同行し、指導させていただいたのですが、最後のシーンで踊っている時には、彼女がつながりを感じていることが分かって感動しました。
——この映画ではとても過酷な状況が描かれていますけれど、バレリーナも人間なんだな、頑張っているパフォーマーなんだなということを多くの方が知るきっかけになる気がしました。
その通りだと思います。SNSが主体になって、自分の興味のあるものだけを観る様な時代になっていますけれど、たくさんの方に興味を持っていただきたいですね。バレエの一つの舞台では、物語以上に踊っている一人の人間に感情移入が出来ると思います。
——こういった壮絶な経験をされてもバレエをやめなかった理由、ご自身を保てた理由はどんなものがありますか?
美しい質問をありがとうございます。 自分にとってバレエは神から与えられた天職のようだと感じています。バレエという芸術に深い愛情を持っていますし、やり遂げなければ決して満足しないだろうなと思います。そしてその結果を見たいという深い欲求があるのでその分コミットするわけですよね。そして次にはもっとそれを超えたいと思う。あともう1つ、自分がバレエに挑む様に、他の方も何でも出来るのだというインスピレーションを与えたいという気持ちもあります。
——今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
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