「結婚したい」ではなく「してもいい」という彼との結婚を迷っています
2025年5月5日(月)6時0分 大手小町(読売新聞)
「妥協で結婚される」と題する28歳の女性からの投稿が、ユーザー投稿サイト「発言小町」に寄せられました。同い年の恋人と3年半交際し、うち1年間は

投稿によれば、彼は正直あまり結婚に乗り気な様子ではないものの、「20代後半の貴重な3年半を共に過ごした責任感から(結婚を)してもいいと思っている」と言ったそうですね。トピ主さんはそれを聞いて「この人じゃなくても良いのかも、と思えてきた」とのことです。
これを読んで、結婚を前にして別れた多くのカップルの実例に思いをはせました。そして、「交際相手への責任感から結婚を決断する」というのは、意外と誰にでもできることではないよな、という感想を持ちました。結婚は社会的な責任が伴うもの。消極的で、不遜な態度に見えたとしても、彼は一応、自分以外の他人の人生を引き受けようという覚悟をしたわけです。口だけなら何とでも言えますが、行動できちんと責任を取ろうとするという点では、信用に値する人だと判断して差し支えないと思います。
もちろん、迷いなく「結婚したい」と言われた方がうれしいのは当然ですし、「女性は、相手から望まれて結婚した方が幸せになれる」といった意見もよく聞かれますよね。ただ、「結婚したい」という言葉が、必ずしも相手の愛情の量と比例するわけではないことは心得ておきたいもの。「自分の社会的・内面的な準備が整ったから結婚したい」という場合や、「独り身は嫌、寂しいから結婚したい」という場合だってあるわけです。
当事者として複雑な気持ちはあるでしょうが、冷静になるために、いったん状況を
次に考えたいのは、なぜ彼が結婚をためらっているのかという理由の部分です。投稿によれば、彼はトピ主さんについて「学歴の差と、そこからくる仕事の収入面の不安」があり、「話していて差を感じるときがある」と言っていたとか。まとめると、トピ主さんと彼には学歴に開きがあり、それゆえに夫婦となった場合の先々の収入に不安があること、そして知性の差を感じる瞬間があることが、彼は気にかかっているということですね。
学歴のことは交際初期から分かっていたでしょうし、彼も以前はあまり意識していなかったのかもしれませんが、いざ結婚となると“釣り合い”が気になってきたのかもしれません。
トピ主さんが「馬鹿にされた」と思うのであれば、今後もこの禍根は残るでしょうから、彼との結婚はやめた方がいいでしょう。そういった感情はなく、「私は彼との結婚をうまくやっていける自信があるのに」などと感じるならば、自分が見てきたものや感じていることを彼に伝えることが、今のトピ主さんにできることだと思います。
結婚にあたって学歴や収入を気にする人は多いですが、いざ結婚生活が始まってみれば、「生活面や金銭面の価値観が合うか」「重きを置くポイントが近いか」「家族を大事にできるか」「子育てに意欲的か」といった要素のほうが、家庭運営において重要だと気づく人は少なくありません。一つのチームとして、補い合える関係になれるかどうかも重要です。
トピ主さんは、彼との結婚生活を考えながら3年半付き合ってきて、そのあたりを確認できたのではないかと想像します。その上で、「私たち2人でなら、きっと良い家庭を築ける」「一緒に子育てをしていける」といった確信を持つことができたのであれば、彼の考えはさておき、私はこう思っているんだ、ということを丁寧に伝えてみてはいかがでしょうか。そして、「あなたがどうしても前向きな気持ちになれないなら、私もそういう結婚は望まないから関係を解消しよう」と彼の側にボールを投げ、結論を委ねてみるとよい気がしました。
投稿には「別れた後、新しい人とまた一から関係を築いていく気力と自信もありません」「子供が欲しいとなると身体的にも期限はあります」との記述があり、彼と同様、トピ主さんも「結婚は絶対に彼とじゃなきゃ」というほどまでに固執しているわけではないことがうかがえます。
一見ドライに見えるかもしれませんが、大人になると、「結婚に前向きでないならば、別の人を探します」という選択をする人は、男女とも少なくありません。一緒に人生を歩んでいく決断をするにあたっては、「好き」だけではどうにもならないことがあることを、大人はそれまでの人生の中で既に学んでいるからかもしれませんね。
トピ主さんが、自分の人生プランとして「かなうならば、絶対に結婚・出産をしたい」と決めているならば、彼と別れても、新たなチャンスを作っていけると思います。ただ、彼とは3年半をかけて「気になることはあるけれど、結婚という形で責任を取ろう」と相手が決断するくらいの関係は作ってこられたわけなので、別れることが2人にとって本当に最良の選択肢なのか、少し冷静になって十分考えてみる必要はあるように思いました。応援しています。(フリーライター 外山ゆひら)