旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・板橋区で絶対行きたい激ウマ“二郎系ラーメン”2軒

2022年5月8日(日)10時49分 食楽web


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「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。今回は、B級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんに、東京・板橋区の二郎系ラーメンの食べ歩きツアーに案内してもらいます!

「二郎はラーメンではなく二郎という食べ物だ」なんて言葉もあるように、その唯一無二の味わいに魅せられた“ジロリアン”と呼ばれる熱狂的なファンに愛されるラーメンです。そしてかく言う私も二郎の大ファンの一人です。

 そのラーメンはといえば、背脂の効いた醤油ダレの濃厚豚骨スープ。そこにパンチの効いたニンニク。そして小麦の風味の強い自家製のワシワシした極太麺。とろけるように柔らかい厚切りの“豚”(チャーシュー)の塊。そして茹でたキャベツとシャキシャキのもやしがどっさり。


『ラーメン二郎』で豚増しにすると、こんな感じ

「ラーメン二郎」の本店は東京・三田にありますが、暖簾分けした直系の「ラーメン二郎」は全国で41軒あります。加えて、以前は「ラーメン二郎」の名前で出店していた店でも、何らかの理由で屋号を変えた店もあるし、さらに二郎と直接関係なくとも、その味に影響を受けたラーメンを出している“二郎インスパイア系”も増加の一途。店の看板だけではわからない“二郎系”が、いま実は日本にはたくさんあるのです。

 私の老後の夢の一つは、こうした全国の二郎系ラーメンの食べ歩き行脚をすること。でもまだ現役タクシー運転手なので、今は地元・板橋区に点在する“二郎系”を繰り返し食べ歩いています。それでも食べ飽きることがないのは、近所になんと8店舗もあるからなんです。

 そこで今回は、東京・板橋区を訪れたらぜひ食べてほしい、最高に美味しい“二郎系ラーメン”を2軒ご紹介したいと思います。

豚の存在感とボリュームに圧倒される『ラーメン豚嵐』(蓮根)


『ラーメン豚嵐』の「豚嵐ラーメン」

 まずご案内するのは、2021年12月にオープンしたばかりの『ラーメン豚嵐』です。このお店は都営三田線・蓮根駅から徒歩3分の場所にあります。私が食べるのは毎回、麺量300gの「豚嵐ラーメン」(800円)。麺の量も麺の硬さも柔軟に対応してくれるので、麺少なめの250gで、硬めでお願いしています。そしてコールは「ニンニクマシマシ、背脂マシ」。

 ちなみに、この二郎系の「コール」について、二郎に行ったことがない人には意味不明でしょうし、これが未体験の人の二郎系への入店ハードルを上げる大きな要因の一つだと思うので、改めて説明しておきます。

 ひと言で言えば、コールとは味の調整やトッピングのようなもの。二郎の場合は、ニンニクマシ、野菜マシ、背脂(アブラ)マシなどがそれで、もっと多くしたい時は“マシマシ”と言います。とはいえ、最初から量はかなり多めの店が多いので、デフォルトで良い人は「そのままで」とか「全部普通で」とか言えばOKです。

 そして独特なのが、コールのタイミング。食券を購入し着席後、麺が茹で上がった頃合いで店員さんから「ニンニク、入れますか?」と聞かれた時がコールのタイミングなので、そろそろラーメンができあがりそうなときは、スマホをしまって待機しておくのが吉です。


「豚嵐ラーメン」(800円)、コールは「ニンニクマシマシ、背脂マシ」がこれ

『ラーメン豚嵐』の話に戻りますが、ここは自家製麺で極太のやや平打ちの麺。ずしっと重たくて、噛めば噛むほど小麦の旨味を感じます。また、スープは背骨・豚足・ゲンコツ・背脂などをガッツリと炊いてあり、旨みたっぷり。なのに、イヤなしつこさはないため、自分にとってはかなり好みのタイプです。


極太のやや平打ち麺

 また、豚のウデ肉を使った“豚”(二郎系ではチャーシューのことを豚と言います)は、普通でもまるで“豚”マシを注文したかのような量。おそらく板橋界隈では一番ボリューミーだと思います。さらにこの“豚”、消えてなくなる寸前まで煮込んでいるかのようにホロホロ。箸で持つと崩れてしまうほど。大げさでなく、歯がいらないかもしれません。こんな二郎系の“豚”は他にはない気がします。


箸でつかむと崩れていく豚

 しかし、この“豚”の柔らかさだと、“天地返し”したら形がなくなってしまうかもと毎回心配になります。ちなみに“天地返し”とは、上の大量のキャベツやもやしを、麺の下に沈めて、麺を上に引っ張り出す小技。二郎系は野菜が大量にのっているので、先に食べてしまうと麺が伸びすぎたり、麺にたどり着く前に野菜でお腹が膨れてしまうため、この天地返しをするのがお約束なんです。

 その野菜ですが、「豚嵐ラーメン」では、もやしとキャベツは9:1の比率で、食感はシャキシャキタイプです(ちなみにクタクタタイプの店もあります)。そして特筆すべきは背脂の美味しさ。私は今回、背脂マシにしましたが、これが大正解。そのまま口に運んで食べたらとても甘く、これがスープをより美味しくしてくれるんです。この背脂をひと口食べれば、こちらのお店がいかに良い豚を使っているかが瞬時にわかると思います。

 すぐ近所には本家の『ラーメン二郎 西台店』もあるんですが、こちらの新店の個性があれば、良い意味で本家と張り合っていけるんじゃないかと思っています。

二郎系初心者も安心でウマい『ラーメン豚翔』(蓮沼)


『ラーメン豚翔(とんしょう)』の「ラーメン」

 続いてご案内するのは板橋区・蓮沼町にある『ラーメン豚翔(とんしょう)』です。中山道を車で走ると、ひときわ目立つ黄色い看板が目印。電車なら都営三田線・本蓮沼駅から徒歩2分の場所にあります。オープンしたのは2015年の夏でしたが、私の記憶では本家の『ラーメン二郎 西台店』と板橋本町にある『ラーメン慶次郎』に次いで板橋区では古株の二郎系です。


オープンして7年目の『豚翔』

 私はいつも「ラーメン」(760円)を注文し、コールは「ニンニク」にしています。ここの麺は自家製麺ではなくオーション(小麦の皮に近い部分の小麦粉)が弱めなのですが、ゴワゴワしていて、茹で加減は普通で注文しても、かなりしっかりした歯応えが楽しめます。麺の量は通常で230gなので、二郎初心者や少食の人も安心して完食できる量です。


二郎系にしてはさっぱり系のスープ

 スープはいわゆる“非乳化”タイプで醤油感が強め。口に含んだ瞬間から醤油の香りが鼻に抜けます。良い意味で二郎感がなく、最後までグイグイ飲み干せそうなスープです。

 ちなみにここは豚が1枚なので、豚好きな人はやや物足りなさを感じるかもしれません。でもバラの巻豚で、柔らかさやしっかりめの味付けは非常に秀逸なので、豚が好きなんだ! という人は豚増しにするのをオススメします。


豚翔の豚は、豚増しがオススメ

 また、野菜はもやしとキャベツの比率が6:4ほどで、シャキ感とクタ感のバランスも良く、しっかり野菜補給できる感じがイイですね。

 どっかりボリューム満点の二郎系を食べ慣れていると、ちょっと物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、女性でも子どもさんでもしっかり完食できるし、食後の胃の負担感も軽いので、特に二郎初心者の方には強くオススメしたいお店です。というわけで、今回は珠玉の2軒をご紹介しました。続編もありますので、お楽しみに!

(撮影・荒川治 文・土原亜子)

●プロフィール

荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。

●SHOP INFO

店名:『ラーメン豚嵐』

住:東京都板橋区蓮根3-3-2
TEL:非掲載
営:11:00〜15:00(L.O.14:50)、18:00〜21:00(L.O.20:50)
休:火

店名:『ラーメン豚翔』

住:東京都板橋区蓮沼町45-8
TEL:非掲載
営:11:00〜14:30、18:00〜23:30
休:月・不定休

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