《2万円でお釣りがくる》iPad miniの「3分の1価格」で必要十分の“納得コスパ”…「シャオミ」「レノボ」“価格破壊”タブレットたちの実力
2025年5月10日(土)12時10分 文春オンライン
かねて日本人に人気が高いのが、片手で握れる8型クラスのタブレットです。海外ではタブレットといえば10〜11型クラスが中心ですが、日本では通勤電車などで邪魔にならずに扱いやすいためか、この8型クラスが高い人気を誇っています。
このクラスの代表格はAppleの「iPad mini」ですが、現行モデルは実売価格が7万円台後半からと、お財布には決して優しくありません。それではより安いゾーンで、遜色のない製品はないものでしょうか。
以前の記事(『 1万円以下で買える「激安タブレット」って使い物になる? 外見やデザインは健闘、YouTube用ならアリだがゲームは期待薄、致命的なのは… 』)では1万円を切る激安タブレットとしてTeclastの「P85T」を紹介しましたが、今回はそれよりもやや上のグレード、実売2万円以下で入手可能な2製品を紹介します。これらがiPad miniとはどのような点が異なり、どの程度使い物になるかをチェックしていきましょう。

今回紹介する2つの製品は、いずれもAndroidを搭載したタブレットです。片手で持ちやすいという8型クラスの特徴そのままに、2万円を切る価格を実現しているのが大きな特徴です。
まずはレノボの「 Lenovo Tab B9 」から見ていきましょう。レノボはハイエンドからエントリー向けまでさまざまなタブレットをラインナップしていますが、本製品は8型よりもひとまわり大きい9型の画面を採用しつつ、リーズナブルさを重視した製品です。
2万円以下でコスパ抜群、Androidタブレット2種を比較!
解像度は1340×800ドットとやや低く、CPUもMediaTek Helio G80と、決してハイエンドではありませんが、動作は非常にサクサクとしており、1万円台半ばとは思えないほど快適に動作します。
メモリカードによる容量追加も可能なほか、イヤホンジャックも搭載するなど拡張性も高く、限られた予算の中で、オールラウンドで使える小型タブレットを探している人にはぴったりの製品です。前述の解像度の低さに加えて、バッテリー容量が5100mAhとあまり多くないのが、強いて挙げれば気になるポイントです。
シャオミのタブレットは「とにかく安い」
もう一つはシャオミの「 Redmi Pad SE 8.7 」です。前述のレノボ製品よりひと回り小さい8.7型のAndroidタブレットで、解像度はこちらも1340×800ドット。CPUはMediaTek Helio G85と、こちらもエントリー向けながら、実売1万5千円前後という破格の安さが特徴です。
スペックを細かく見ると、前述のレノボ製品より「わずかに上」といえます。
バッテリー容量は6650mAhと、前述のレノボ製品の約3割増。急速充電にも対応しています。こちらもメモリカードによる容量追加に対応するほか、イヤホンジャックも搭載。リフレッシュレートは90Hzと、格安タブレットとは思えない特徴も備えています。反対に重量が373グラムと、前述のレノボ製品の344グラムに比べるとやや重いのは、若干のマイナスポイントです。
iPad miniと比較してみると……
さて今回のテーマとなるのは、これら2製品のどちらが優れているかではなく、iPad miniと比べた場合に機能や性能をカバーできるかどうかです。いくつかのポイントに絞って違いを見ていきましょう。
まずはサイズと重量です。画面サイズだけ見ると、レノボ製品は9型、シャオミ製品は8.7型と、8.3型のiPad miniよりひとまわり大きいのですが、iPad miniに比べると画面・ボディともに縦に長く、電子書籍のように比率が決まったコンテンツだと、大きくなるのは余白だけで、表示サイズという点ではあまりメリットがありません。
この辺りは、見かけの画面サイズの数値だけを見ていると、大きく表示できるように勘違いしやすいので気をつけたいところです。ただし、動画のようにもともとワイドサイズのコンテンツを表示する場合は、むしろフィット感が高くなる点はメリットです。そのため、2種のタブレットはどちらかというと動画向きといっていいでしょう。
重量はiPad miniが293グラム。300グラムの大台を割っているのに対して、レノボ製品は344グラム、シャオミ製品は373グラムと、かなりの差があります。電子書籍のように、手に長時間持ったまま宙に浮かせておく使い方であれば、疲れに直結します。これについてはiPad miniの“圧勝”といって良いでしょう。
人によって最大のポイントになりうるのが、画質の差です。レノボ製品とシャオミ製品は解像度がいずれも1340×800ドット(173ppi/180ppi)で、2266×1488ドット(326ppi)のiPad miniと比べると表示はどうしても粗くなります。電子書籍などで高精細な表示をしたい場合に、線が滑らかなiPad miniと比べて、レノボ製品とシャオミ製品はギザギザが目立つこともしばしばです。
さらに気になるのはパフォーマンスの差です。レノボ製品、シャオミ製品とも通常利用においては支障はありませんが、アプリの切り替えにやや間があったり、起動で待たされたり、スクロールでカクつくなどの症状は少なからずあります。ベンチマークスコアでは大差がついていることからも、差は明らかです。
用途でいうと、3DゲームもひとまずこなせるiPad miniに対し、レノボ製品とシャオミ製品はせいぜい動画再生止まりといったところでしょうか。このあたりはやはり価格の差を感じる部分です。
iPad miniと比べて「有利な点」もあった!
一方で、意外と格差を感じにくい点や、逆にiPad miniより勝っているといえる点もあります。
一つは画面の見やすさです。前述のように解像度は低いものの、両製品ともにIPS液晶を採用しており、画面の明るさもそれぞれ400ニト、500ニトと十分です(iPad miniは500ニト)。1万円以下のタブレットによくみられる、横に並べると画面が圧倒的に暗く、視野角も狭い……といったこともありません。余談ですが、画面に触れた時の手の脂のつきやすさも、どの製品も同程度です。
さらに、シャオミ製品は、このクラスのタブレットとしては珍しく「セルラーモデル」をラインアップしています。多くのAndroidタブレットはWi-Fiモデルしかなく、直接ネットに接続できるセルラーモデルを用意しているiPad miniにユーザが流れる要因になっています。セルラー対応を条件に製品を探しているならば、iPad miniと競合する強力な候補になるでしょう。
またiPad miniよりも有利な点として、レノボ製品は1TB、シャオミ製品は2TBまでのメモリカードを追加できることが挙げられます。iPad miniはそのぶん内蔵ストレージの容量が多いとはいえ、それが価格差に直結するとなると「安い本体価格+メモリカードによる拡張性」の方を積極的に選択したいという人もいるはずです。
このほか、iPad miniではすでに廃止したイヤホンジャックをいまなお搭載しており、有線イヤホンが使えることに魅力を感じる人もいるかもしれません。ちなみに外部接続ポートはいずれもUSB Type-Cで、周辺機器類の拡張性はほぼ共通。充電速度こそ異なりますが、スマホなどと共通の充電器が使えます。
実用性を考えれば、十分「あり」
以上のように、iPad miniの「完全な代替」とするには物足りない部分もありますが、実際に試してみる限り、レノボもシャオミもかなり「イイ線」を行っているのが分かります。以前紹介した1万円以下の格安タブレットでは、時折タップに対して反応しなくなったり、動画再生では動きの激しいシーンでブロックノイズが発生することもありましたが、今回紹介した2製品はそうしたこともなく、一定の水準をクリアしています。
なにより万一の落下などによる破損が容易に発生しうる場合、安価な方が、買い替えるにしても懐が痛まないのは明らかです。子どもに使わせるなど丁寧な扱いが難しい場合や、屋外に持ち出すなど物理的なダメージを被る可能性が高い場合、価格の高いiPad miniよりも、こうした製品を使い倒すという選択肢は十分に「あり」といえそうです。
(山口 真弘)
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