口の粘膜だけで食道がんの有無を判別…京大など開発、今後は将来の発症リスク予測も

2025年5月15日(木)14時45分 読売新聞

 口の中の粘膜を調べるだけで、食道がんの有無を高精度に判別する方法を京都大などのチームが開発した。今後、将来の発症リスクも予測できるようにし、体への負担が少なく、がんの早期発見や予防にもつながる検査キットとして実用化を目指す。論文が国際科学誌に掲載された。

 食道がんは国内で年間約2万4000人が新たにかかり、約1万人が亡くなっている。飲酒や喫煙などの生活習慣や加齢によって遺伝子が変異した細胞が増加し、正常な細胞に交じる「体細胞モザイク」が原因とされる。

 チームは、特に東アジアでは食道がんの大半を占める「扁平へんぺい上皮がん」の患部と、頬の粘膜が同様の細胞でできていることに着目。食道がん患者121人と患者ではない101人の頬の粘膜を綿棒で採取し、遺伝子を解析した。

 結果、患者の粘膜からはより多くの遺伝子変異が見つかり、飲酒量に応じて変異の数も増える傾向を確認。その上でがんの増殖などにかかわる遺伝子変異の蓄積数を調べることで、約8割の精度で食道がんかどうかを見分けることができた。患者以外の人を今後、追跡調査し、将来の発症リスクの算出も目指す。

 チームの垣内伸之・京大特定准教授は「将来の発症確率をつかめれば、健診段階で詳しい検査の実施や生活習慣の改善を助言しやすくなる利点がある」と話す。

吉田健一・国立がん研究センター研究所がん進展研究分野長の話「細胞の高感度な解析によって確立できた有効な検査法。粘膜採取を誰でも画一的に行えるかを検証することも必要だ」

ヨミドクター 中学受験サポート 読売新聞購読ボタン 読売新聞

「がん」をもっと詳しく

「がん」のニュース

「がん」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ