脱サラ作家が描く「普通の男女がしてそうな会話」 アラサー世代の等身大恋愛漫画が女性読者の心を掴む理由

2025年5月21日(水)18時0分 文春オンライン

 26歳のマサムネとモモカが、もうすぐ交際10年を迎えようとしている。しかし、最近モモカの態度がよそよそしく、別れの予感に不安を覚えたマサムネは相席バーに足を運ぶ。そこで出会った女性と関係を持ってしまうが、その女性がモモカの同僚だったことが判明する──。


『 幸せになりたいマサムネ君 』(文藝春秋)は、アラサー世代の恋愛をリアルに描いた新進気鋭の漫画だ。コミックシーモアの女性向けランキングで2位を記録するなど、早くも反響を呼んでいる。


 本作の魅力について、作者のヨネマイさんに話を聞いた。



『 幸せになりたいマサムネ君 』(文藝春秋)


◆◆◆


リアルな人間性が魅力の主人公


 本作の主人公マサムネについて、ヨネマイさんは「推しポイントは『リアルな人間性』」と語る。


「マサムネ君は読み進めていくほどに第1話の印象から変化していくと思います。神経質かと思ったら大雑把だったり、男同士でワイワイ騒いで飲み会したり、意外と優しかったり、真面目な一面があったり……。





 現実世界の人間関係(もしくは恋愛関係)のように、会えば会うほどマサムネ君の新しい一面を知って好きになってほしいです」


 ヨネマイ氏は、マサムネ君をはじめとするキャラクターの造形について、「作者が今まで出会った人を何十人も参考にしています」と語る。





「『こうゆう人いるなー』『こうゆう人好きだなー』とか実際にいる人を思い浮かべて、キャラクターを作り上げていった」という。


共感を呼ぶ生々しい恋愛描写


『 幸せになりたいマサムネ君 』の特徴は、リアルな恋愛描写にある。


 ヨネマイ氏が印象に残っているシーンとして挙げたのは、第1話のマサムネ君と〇〇子の出会いから関係を持つまでの描写だ。


「第1話のマサムネ君と〇〇子ちゃん2人の『出会い→セックス』までをかなりリアルに描いたシーンです。


 漫画だけど無理にドラマチックにもしないで、主人公にわざとらしくカッコいいセリフも言わせないようにして、恋愛に発展したての普通の男女がしてそうな会話や行動を表現しました」





 このようなリアルな描写は、読者の共感を呼ぶことにつながっている。ヨネマイ氏自身、過去に恋愛漫画から勇気をもらった経験があるという。


「作者自身がうまくいかない恋愛をしている時に、たまたま読んだ恋愛漫画の中のキャラクターが自分と同じ状況の恋愛をしてて、すごく共感できて『自分だけじゃないんだ…!』って救われたり元気をもらったことがあります。


『 幸せになりたいマサムネ君 』を読んだ人もそんな風に共感してくれたり気が楽になってくれると嬉しいなと思ってます」





『 幸せになりたいマサムネ君 』は、同人誌が商業連載化された作品だ。


 ヨネマイ氏は2020年に脱サラし、SNS上で同業者と交流する中で漫画創作を始めたという。「その時はXやInstagram上でプロの漫画家さん以外のアマチュアの人も漫画を公開するのが流行ってたので私も描き始めました」と、連載のきっかけを語る。


 アラサー世代の等身大の恋愛を描いた『 幸せになりたいマサムネ君 』。読者の共感を呼ぶリアルな描写と、魅力的なキャラクターたちの織りなす物語に、今後も注目が集まりそうだ。


(「文春オンライン」編集部)

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