解熱剤は何度から? 子どもの発熱時、受診や服薬を迷ったら確認すべきこと

2025年5月21日(水)11時20分 マイナビニュース


心配な子どもの発熱。少しでも早く良くなってほしいものですが、解熱剤はどんなタイミングで使えば良いのでしょうか。
解熱剤の使用方法を含め、子どもの発熱の対処法を解説します。
○■熱が出るのはなぜ? 発熱の役割とメカニズム
発熱は体を病原体から守るための防御反応のひとつです。
体内にウイルスや細菌などが侵入したとき、免疫細胞が反応して脳に情報を伝えます。脳の体温調節を司る部分が病原体の侵入情報を受けとると、皮膚の血管を収縮させて熱を逃さないようにしたり、筋肉を動かして熱を産生させたりして体温を上げます。こうして熱を出すのは、ウイルスや細菌が高温に弱いから。
また、体温を上げると病原体と闘う免疫細胞が活発になるためです。
○<何度から発熱?>
37.5℃以上が発熱の目安と言えるでしょう。
ただし、子どもの場合は大人よりも体温が高めで、平熱が37℃前後の子も珍しくありません。また、体温調節機能が未熟なので、気温が高いときや、食事したり泣いたりするだけでも体温が上がります。
普段の健康な状態のときに平熱を把握しておき、平熱より1℃以上高い状態を発熱とする考え方もあります。
○■子どもの発熱、解熱剤はどう使う?
発熱は体が病原体に負けているのではなく、闘っている証拠です。
発熱自体は悪いことではないので、すぐに熱を下げなければと焦る必要はありません。逆に、不用意に解熱剤を服用すると、発熱が長引くケースもあります。
解熱剤の役割を理解して、正しいタイミングで使いましょう。
○<そもそも解熱剤って?>
解熱剤は熱を下げたり、痛みを和らげたりする効果がある薬です。解熱鎮痛剤とも呼ばれます。
あくまで熱や痛みを和らげるもので、ウイルスや細菌を退治して病気そのものを治す薬ではありません。
解熱剤は成分によってさまざまな種類があります。
○<子どもに使用できる種類は?>
子どもにも使用できるのは、アセトアミノフェン系の解熱剤です。アセトアミノフェンは薬として使用されてきた歴史が長く、比較的副作用が少ないことがわかっています。なお、このほかの解熱剤では、インフルエンザや水疱瘡などで使用した場合、脳症を起こすリスクが高くなることが指摘されています。
処方薬のアセトアミノフェンは「カロナール」や「アンヒバ」などの薬剤名となっています。市販薬では子ども向けに販売されている解熱剤を使用します。パッケージに「ねつ」「発熱」「痛み」などと書かれて販売されています。必ず対象年齢を確認してから購入しましょう。
なお、生後6カ月未満では解熱剤は使用しません。さらに3カ月未満の子が発熱した場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
○■解熱剤使用の目安
解熱剤を使う目安は、38.5℃以上で、かつ高熱のために眠れない・痛みがあるなど、辛い状態にあるときです。
発熱は体の防御反応といっても、高熱になると頭や関節が痛んで眠れないなど、かえって体に負担をかけてしまうことがあります。解熱剤を使用する目的は、熱を下げることではなく、高熱で辛くなった体の負担を減らし、回復を助けることと考えましょう。
○<解熱剤を使用しても熱が下がらないとき>
解熱剤は体温を0.5〜1℃ほど下げる効果があります。解熱剤を服用したからといって、平熱に戻るわけではありません。また、熱が上がっている途中であれば、それほど下がらないこともあります。
少しでも熱が下がり、体が楽になっていれば、効果が出ていることになります。もし解熱剤の効果が切れて再び辛そうな様子があるときは、4〜6時間あけた上で使用します。薬剤によって1日の上限が異なりますので、医師や薬剤師からの指示通りにしましょう。
○■発熱した場合のホームケア
熱があるときは自宅でゆっくり休養させます。脱水に注意して、水分補給をこまめに行いましょう。
熱が上がっている最中で寒がるときは、布団をかけるなどして暖かくしてあげます。熱が上がりきって暑がったら、薄着にする・薄手の布団に替えるなどして涼しくしてあげましょう。
衣類は汗を吸いやすいものを。汗をかいたら着替えさせます。
入浴は体力を消耗するので、短時間のシャワーで済ませます。高熱の場合は体を拭く程度に。食事は食欲があるようであれば、食べられるものをあげましょう。
以上のホームケアに加えて、呼吸がおかしくないか、顔色はいつも通りか、けいれんを起こさないか、側にいて様子をよく観察してください。熱のほかに鼻づまりや咳、嘔吐、下痢など辛い症状がある場合や、3日以上発熱が続く場合は診療時間内に受診をしましょう。
○■こんな場合は救急受診を
3カ月未満の子が38℃以上の発熱をした場合は救急を受診します。3カ月以上でも発熱に加えて「元気がなくぐったりしている」「眠れずウトウトしている」「水分が摂れない(水分補給を嫌がる)」「おしっこが出ない」といった様子がひとつでも見られたら、夜間や時間外でも救急外来を受診してください。
最後に子どもの発熱の対処法に関して、小児科の専門医に聞いてみました。
熱は体を感染から守るために出ることが多いので、発熱を過度に恐れる必要はありません。生後3カ月以上の子で、機嫌が良く、食事や水分補給ができる状態であれば、発熱していても1日程度様子をみても良い場合が多いと思います。その場合、お子さんの様子を慎重に観察していただくことが最も大切であるため、保護者の皆様にお願いしています。
観察すべきポイントとしては、脱水症に陥っていないか判断するために、水分が摂れているか、おしっこが出ているかどうかを確認してください。ほかにも、顔色が悪い、嘔吐を繰り返す、呼吸の様子に違和感がある、呼びかけに反応しない、手足が冷たい、冷や汗をかいている、けいれんを起こしたなど、「何か変だな」「いつもと違うな」と思われた場合は、早めに医療機関を受診してください。
発熱の原因として最も多いのは風邪(ウイルス感染)であり、休養と水分摂取が最も大切になります。高熱でうなされて眠れない(休養が不十分)、熱でぐったりしており水分を受けつけない(水分摂取不足)場合は、解熱剤使用の良いタイミングだと考えます。
○元野 憲作(もとの けんさく)先生
一宮西病院 小児科/部長
資格:日本専門医機構認定 小児科専門医、日本集中治療医学会 集中治療専門医、日本救急医学会 救急科専門医

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