「あの子もずっと車が好きで…」10年以上放置された“平成ミニバンブームの忘れ形見”を蘇らせた男性が明かす、カスタムの原動力になっている“わが子への思い”
2025年5月22日(木)7時0分 文春オンライン
〈 独身にもかかわらずファミリーカー「アルファード」を大改造! 建築系職人として働く男性の車に対する驚異のこだわりに迫る《維持費や改造費はそこまで負担に感じていませんが…》 〉から続く
「ミニバン=家族の車」という常識に、抗いつづける者たちがいる。便利さを捨ててでも「自分らしさ」を追求する、型破りなオーナーの情熱に迫る!
今回は、日産・ラルゴを12年ぶりに復活させた「ベッキー」さんをご紹介。

◆◆◆
誰かの喜ぶ顔が見たいから
このラルゴはもう20年以上前に買ったもので、もともとはレジャー用のつもりだったんですよ。でも、当時は初期のミニバンブームで、周りにエスティマやラルゴなんかを弄っている人たちがたくさんいたんですよね。
私自身も昔から車弄りは好きだったんですけど、ここまで弄ったのはやっぱり、そういう時代の空気もあったんでしょうね。周りに刺激されながら、どんどんカスタムも進んでいき、そのうちイベントにも出すようになりました。
ラルゴのミーティングもしょっちゅうありましたし、この車で全国を回って。ネットもそこまで普及していない時代でしたが、色んな場所で趣味が合う人たちと出会い、仲間とつながっていったんですよ。
ですが、ある時期から足用に買ったタントを弄りはじめ、次第にイベントにもそっちで出るようになったんです。気づけばラルゴの方は、10年以上放置したままになっていて。
エンジンもかからなくなり、燃料ポンプも錆びて、もう何度も「廃車にするしかないか……」と考えていたんですけどね。でも最近になって、以前から一緒にイベントを回っていた先輩に、「俺も手伝うから、またやろうよ」と誘われたんですよ。
「そこまで言ってくれる人がいるのか」と勇気づけられ、もう一度ラルゴに手をつけはじめて。そこから1年以上かけて、ようやくこのイベントで復活させることができました。
基本的な仕様は昔のままで、悪くなっていた部分を直し、色を塗り直した程度ですが、それでもこうしてイベントに並べられたのは感慨深いですね。昔からの仲間にも「直したんだ、すげぇじゃん!」と声をかけてもらって、嬉しい気持ちでいっぱいです。
もう全国でもラルゴを弄っている人はほとんどいないでしょうし、若い子たちはもう、そもそもこの車の名前も知らないでしょうしね。私にも小学生の子どもがいますけど、生まれたときにはもうラルゴのナンバーは切ってしまっていたので、放置されている姿しか見たことがないんですよ。
今は離婚して別々に暮らしているので、まだこれが動くようになったことは教えていないんです。でも、あの子もずっと車が好きで、以前はタントにしょっちゅう乗って喜んでいたので……。これからラルゴの内装を仕上げたら、ぜひ見せてやりたいなと思います。
(鹿間 羊市)
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