八幡平といえば「岩手」、十和田湖は「青森」、鳥海山は「山形」 どれも秋田県境にあるのに...

2018年5月31日(木)11時0分 Jタウンネット

国境を接しあっている国や民族構成が多様な地域などでは、しばしば領土問題、帰属問題が生じる。日本も無縁ではないのだが、島国という性質上、本土で領土や帰属を巡る対立というのは起きていない(稀に自治体間で揉めることはあるが......)。


公的、実利的な帰属はさておき、イメージ上の帰属はどうだろうか。鹿児島なら桜島、広島なら宮島、宮城なら松島、のように全国各地に観光地と知られているような、象徴的な場所や自然環境(山や川、島、地形など)がある。


そんな中、秋田にある数々の観光地が、隣県との境に位置しているがゆえに秋田感がないと、ツイッター上で、秋田や近県在住と思われるユーザーが話題にしているのだ。一体どういうことなのか。


秋田出身者すら「印象は薄い」


具体的に挙がっていた秋田の県境にあるという観光地を見てみると、「鳥海山」「八幡平」「十和田湖」「白神山地」「栗駒山」など。いずれも、具体的な場所は知らなかったとしても、名前くらいは聞いたことがあるだろう場所ばかりだ。

Jタウンネット編集部に所属しながら貧困な地域情報しか持ち合わせない記者が見ると、八幡平は岩手、十和田湖・白神山地は青森、鳥海山は秋田含めつつ山形寄りという印象。確かに、総じて「秋田といえば」という感覚はない。


一応整理しておくと、鳥海山は山形との県境に位置し山頂部分が山形。八幡平は秋田と岩手でほぼ等分。十和田湖、白神山地は青森側が広め。栗駒山は秋田、宮城、岩手にまたがり、山頂は宮城・岩手の県境となっている。


境目自体はいずれの場所もはっきりしており、別に紛争が起きているわけでも、対立が生じているわけでもなんでもない。ただ、すべて秋田も含まれている場所にも関わらず、秋田以外のイメージが強いのだ。言うなれば、イメージの帰属で秋田が弱いというところか。


とはいえ、外野が勝手にそう思っているだけで、実際に東北のほうではそんなことはないのかもしれない。編集部内の宮城出身記者に栗駒山のことを聞いてみると、「宮城じゃないんですか」とのコメントが飛び出した。なるほど。


夫が秋田市出身だという30代女性は、秋田に行ったときの印象について、


「県内の名所として鳥海山と白神山地はよく目にしましたが、他のところはあまり聞かなかったですね」

とのこと。さらにそのご主人にも話を聞いてみると、「確かに秋田のものという印象は薄い」と、ストレートな回答が返ってきた。


「(挙げられた中で)強いて秋田といえば鳥海山。アクセスしやすく登山もでき、山から出る水は酒造り、木材は製紙業にと、秋田との歴史的・経済的な結びつきが強いんです。八幡平、十和田湖は昔行ったことがありますが、遠かった......。十和田湖は青森へ旅行したような気分でした」

白神山地に至っては、アクセスが難しいので行ったことがないという。まあ一言で秋田といっても、いずれの地域も県境に位置するので、地理的な要因から秋田に住んでいても、場所によって印象の濃淡はあるだろう。


とはいえ、せっかくの誇るべき観光資源、観光地。もっと大々的に秋田アピールをしてもいいように思うのだが、そういったPRもあまり見ないような気もする。ツイッター上では、「争いを避けて、人に譲ってしまう県民性が表れているのでは」という声も見られたが、どうなのだろうか。


Jタウンネット編集部は秋田県観光連盟に取材を行った。同連盟による秋田県総合観光ガイドサイト「あきたファン・ドッと・コム」には、「秋田県内各地のトレッキングスポット」として、先述の地域の名前が並んでいる。別にPRをしていないわけではなさそうだが......。


「PRには力を入れています。県境だから近隣の自治体に配慮しているといったことはありませんし、特別な事情があるということも一切ありません。県はもちろん、県境の各市町村も積極的に観光地としてPRをおこなっています。それでも秋田の印象が薄いのだとすれば、まだまだPR不足ということなのだと思います」

担当者は苦笑しながら答えてくれた。秋田と言えばなまはげ、きりたんぽ——だけではないのだ。読者の皆さんも秋田に行った折は、県境にある豊かな自然の数々をお楽しみいただきたい。

Jタウンネット

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