“悪魔に取り憑かれた”修道女が書いた「暗号文」を解読、 悪魔が伝えたかったこの世の真実とは

2024年5月31日(金)23時0分 tocana

 今から350年近く前、イタリアの修道女が悪魔に憑依されて無理やり書かされたとされる、どの国の言葉でもない謎の手紙——。“悪魔の手紙”と呼ばれている文書が解読されたという。いったいどんなことが述べられていたのか。



■“悪魔の手紙”がついに解読される


 今から340年以上も前、イタリア・シチリア州アグリジェント県のパルマ・ディ・モンテキアーロ女子修道院で、シスターであるクロシィフィッサ・デッラ・コンチェツィオーネによって“悪魔の手紙”は書かれた。


 その“悪魔の手紙”はアルファベットやルーン文字、ギリシア文字のような文字がごちゃ混ぜになったような文面で、現在使われているどの国の言語でもなく、これまで誰にも読むことはできなかった。


 残っている記録によればシスターは、1676年のある朝、手が黒いインクまみれになった状態で目を覚ましたという。そして部屋の机の上にはこの謎の手紙が置かれていたのだ。


 シスターはこの前夜、気を失った状態でこの手紙を書いたのだと自己申告している。彼女に手紙を書かせたのは憑依した“悪魔(ルシファー)”であるという。これは悪魔の計画の一部分を成すもので、彼女から神への信仰を奪い、悪魔崇拝へと導くものであるということだ。


“悪魔の手紙”は現存しており、そこに何が書かれてあるのかこれまで誰にもわからなかったが、数年前に解読されている。悪魔は何を伝えようとしていたのだろうか。


 イタリアの科学博物館であるルドゥム・サイエンス・センター(Ludum Science Center)の研究チームは、ダークウェブにあった暗号解読ソフトウェアを使ってこの“悪魔の手紙”の解読に成功したのである。


「情報機関が暗号解読のために利用しているというソフトウェアがあることを私たちは知りました。我々はこのソフトを使ってまずは古代ギリシア語、アラビア語、古代北欧アルファベットとラテン語を学習させ、手紙の一部を解読すると、この手紙は確かに“悪魔的な”もののようでした」と研究チームのダニエレ・アバーテ氏は語る。


■“悪魔の手紙”に記されていたのは何か


 では、いったいこの“悪魔の手紙”にはどんなことが記されていたのか。それが下記だ。


・ 神、キリスト、聖霊は“ずっしり重い”存在である。


・ 神は、人間を死すべき運命から解き放つことができると考えている。


・ しかし、このシステムは誰のためのものでもない。


・ 神は人間によって考案された。


・ もしかするとステュクス(三途の川)が実在する。


 ステュクスとは、ギリシア神話において地下を流れているとされる大河で、生者の領域と死者の領域とを分け隔てている境界、つまり三途の川である。


 それにしても、神やキリストの存在が“ずっしり重い”と伝えているが、ある意味では人間にとって“重荷”であり、行動の自由を妨げる存在なのかもしれない。そして神は人間の“不老不死”を実現できると考えているものの、宗教(キリスト教)は誰のためのものでもないというからには、反キリスト思想を表明しているとも解釈できるのだ。いずれにしても“悪魔の手紙”というには、そこまで恐ろしいことが書かれていたわけではなさそうだ。


 こうして“悪魔の手紙”は340年の時を経て解読されたのだが、研究チームはこれを書いたシスターの悪魔に憑依されたという言い分は信じていないという。このシスターには統合失調症などの精神疾患に苛まれていたのではないかと考えられるというのだ。


「個人的には、このシスターが言葉の使い方に習熟していて、新たな暗号を発明できる能力を持ち合わせていたと思います。そしておそらくは統合失調症の症状が悪魔との対話という想像を膨らませるものになっていると考えられます」(ダニエレ・アバーテ氏)


 この“悪魔の手紙”は悪魔に憑依されて書いたものだったかのかどうか、その真偽は今や確かめる術もないのだが、憑依されたのが“悪魔”ではないにしても“自動書記”の可能性も無きにしも非ずだろう。とすれば解読された文面の内容をさらに精査してみてもよいのかもしれない。


参考:「Mirror」、ほか


 


※当記事は2018年の記事を再編集して掲載しています。

tocana

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