西荻窪で20年! 『夢飯』の「海南チキンライス」が愛され続ける理由とは?

2020年7月18日(土)10時50分 食楽web


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「海南チキンライス」といえば、シンガポール名物の1つ。ご存知のように、チキンスープで炊いたご飯の上に蒸し鶏がのった料理です。今では日本全国で食べることができ、また、専用ソースがスーパーで販売されるなど、すっかり定着した感のある料理ですが、今から20〜30年前の平成最初の頃には、ごく一部の人しか知らない料理でした。

 今回ご紹介する東京・西荻窪のレストラン『夢飯(ムーハン)』は、まさに「海南チキンライス」がまだ知られていなかった平成12年(2000年)に専門店をオープン。シンガポールで食べた経験のある人や地元住民を中心に評判となり、雑誌などのメディアにも取り上げられて、瞬く間に人気店となりました。日本に「海南チキンライス」を定着させた店の一つ、といっても過言ではないと思います。


JR西荻窪駅北口より1分の場所にあります

 そんな『夢飯』は、今年で20周年。実は、筆者が初めて「海南チキンライス」を食べた思い出の店でもあるのです。先日、久しぶりに伺うと相変わらず大盛況でした。そして多くの人が注文していたのが、海南チキンライスの蒸し鶏と、揚げ鶏が半分ずつ載った「海南ハーフ&ハーフチキンライス」。いただいてみると、柔らかくて旨みたっぷりの蒸し鶏とカリッとした食感でジューシーな揚げ鶏、そして味わい深いご飯、添えられたソースに至る、すべてに丁寧な仕事がされていて、まさに完璧な一皿でした。個人的な感想ではありますが、ここの海南チキンライスは、やっぱり一番美味しいんじゃないか? と思ってしまうのです。

 そこで、店長の小島典子さんに、『夢飯』の海南チキンライスのこだわりについて伺うことにしました。

鶏の旨さがぎゅっと詰まった至極の一皿


「海南ハーフ&ハーフチキンライス」は、蒸し鶏と海南フライドチキンの2種類がのったプレート。小800円、中950円、大1100円の3サイズ。ちなみに「海南チキンライス」は、小700円、中850円、大1000円

「やはり海南チキンライスのポイントは主材料の鶏肉ですね。開店当初から、都内の鶏肉専門業者が山梨県より仕入れたものを届けてもらっているんです。その甲州の鶏肉は、鮮度抜群なうえ、1羽1羽、手でさばいてくれているので、肉厚で、肉質もプリッとしているんです」と小島さん。

 届いた鶏肉の余分な脂やスジを丁寧にとり、下味のニンニク、生姜などに漬け込んだ後、茹で蒸しに。その後、氷でしめて、蒸し鶏が完成。揚げ鶏はさらにその肉に別の下味をつけてフライにします。また、ライスは、鶏ガラとたくさんの野菜と一緒に6時間ほど煮込んで漉したスープを使用してお米を炊きこむそうです。


ライスはコシヒカリを使用。なお、毎月5と0がつく日はジャスミンライス(タイの香り米)になります

 さらに「海南チキンライス」でもう1つ、とても大事なのがソースです。今では、輸入食材店などで、海南チキンライス用の醤油や、チリソースなどが簡単に手に入りますが、『夢飯』ではすべて手作り。

「海南チキンライスに付属する“中国しょうゆ”は、醤油と薄口醤油、シンガポールのダークソース(たまり醤油)と自家製のネギ油をブレンドして作っています。またチリソースは、乾燥唐辛子を水に戻し、ニンニク、生姜、ライムジュースを攪拌し、スープで溶いたもの。生姜ソースも、生姜を自家製スープで溶いて作っているんですよ」(小島さん)

 実に繊細かつ相当な手間暇がかかっていることがわかります。小島さんのお話を聞けば聞くほど、やっぱりここの海南チキンライスの美味しさに納得してしまいます。


シンガポールやマレーシアの名物料理「肉骨茶(バクテー)」も不定期で登場。豚肉と野菜、キノコなどをニンニクやスパイスで煮込んだ料理

 そして最後に、このお店の嬉しい点は、海南チキンライスを始め、マレー風カレーライスやお粥類などのご飯ものはすべて大・中・小からサイズを選んで注文できるところにあります。しかもお子様用の海南チキンライスやベビー粥なんてメニューもあります。


大中小のサイズが選べるご飯メニュー。この他にも1品料理も豊富にあり、夜はお酒と一緒に楽しむことができます

「20年前は知名度が低かった海南チキンライスでしたが、日本人の舌にも合うし、しかも高タンパク低脂質で、非常に体に良いという自信がありました。だから、お子さんからお年寄りまで多くの人に食べていただきたいという気持ちで店を始めたんです。その時の気持ちは今も変わらず、みなさんが注文しやすいメニューにしているんですよ」

 小島さんからいただいた名刺を見直すと、そこには「きちんとおいしい海南チキンライス」という言葉が書いてありました。確かに、20年間、愛され続け、美味しさに妥協がない理由は、まさにこの言葉にある、とまた納得。まだ食べたことがない方は、ぜひ、『夢飯』の「海南チキンライス」を食べてみて欲しいです。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:夢飯(Mu-Hung)

住:東京都杉並区西荻北3-21-2
TEL:03-3394-9191
営:11:00〜20:00 (19:30LO)
休:火曜(不定休あり)

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