1日1600本売れる! 神戸の名物パン『ケルン』の「チョコッペ」の秘密とは?

2023年8月5日(土)10時49分 食楽web


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●神戸のご当地パンとして知られる『ケルン』の「チョコッペ」はなぜ人気なのか? その味と合わせて、49年前の誕生秘話を代表者に聞く!

 古くから西洋文化に馴染みがあり、老舗パン屋が多くあることから全国でも有数のパン激戦区として知られる神戸。そんな神戸で直営8店舗を展開する老舗ベーカリーがあります。

 その名は『ケルン』。1946年に神戸・御影にて創業し、今年で創業77年を迎える名店ですが、この『ケルン』の代表的商品が「チョコッペ」というパン。49年前の1974年に考案されたパンで、ソフトフランスの中にミルクチョコレートがびっしり塗られた名物パンです。


『ケルン 三宮店』には巨大な「チョコッペ」がお出迎え(食楽web)

 シンプルながらも唯一無二の奥深い味にハマり、この「チョコッペ」を目当てに県外から神戸にやってくる人もいるほどの人気です。今回は、この「チョコッペ」について誕生の秘密を代表者に聞きながら、味についても改めてご紹介します。

今から49年前は「パンに甘いものをサンドする」文化はなかった!?


1974年の誕生時、全てが斬新だったという「チョコッペ」

「チョコッペ」が誕生したのは1974年頃。神戸はもちろん全国的に見ても今ほどパンの種類はなかったそうです。そんな中で『ケルン』の2代目(先代社長)が考案したのが「チョコッペ」。その珍しさ、美味しさから発売して間もなく大ヒットに至ったと代表者は語ります。

「1970年代初頭は、シンプルなパンに甘いものをサンドするという文化はありませんでした。そこに目をつけ『ならばチャレンジしてみよう!』と、先代(2代目社長)のもと開発が行われ、完成したのが『チョコッペ』でした。販売開始時は御影本店で1日400〜500個ほど売れる人気商品になりました。」(『ケルン』代表者)

 また、「チョコッペ」はその味だけでなく、商品を示すためにパンに「帯」が巻かれていますが、それも当時は斬新だったそうです。

「『出来上がったパンに帯を巻こう』と言ったのも先代(2代目社長)でした。帯のデザインは、オリジナルフォントをデザイナーに製作依頼したもので、実は今はもうデータが残っていないんです。また、当初はクルミパンやバタールといった他の商品にも帯を巻いていたのですが、今は『チョコッペ』と『バタッペ』にだけ巻かれています。」(『ケルン』代表者)

少なく見積もっても累計2200万本販売!

 その味に、かわいらしい見た目から49年という長きにわたり愛され続ける「チョコッペ」。現在では全国で知られる人気パンですが、全国的にその名が広まったきっかけはなんだったのでしょうか?

「神戸出身で現在は他の地域にお住まいの方が『神戸のソウルフード』として周りの方に紹介してくださったり、テレビや各種メディアで取り上げられたことで広まっていったんだと思います。また、『ケルン』ではパンの通販も行っており、『パンはパン屋さんで買うもの』というイメージを覆した『宅配できるパン』を打ち出したことも、全国的に人気が広まった一因ではないかと考えています」(『ケルン』代表者)

 結果これまでの累計販売数は、少なく見積もっても2200万本を超えるとのこと。さらにこれまでに売れた「チョコッペ」(長さ18cm)を全て並べると、直線距離で神戸から横浜に届くそうです。

ミルクチョコレートがギッシリ詰まった「チョコッペ」を堪能!


中にはミルクチョコレートがギッシリ敷き詰められています

 ここまでで、「チョコッペ」がいかに“すごいパン”なのかがわかったところで、「チョコッペ」を実食です。帯を外し、ソフトフランスパンの切れ目を開いてみると、ミルクチョコレートのクリームがぎっしり敷き詰められています。硬すぎないソフトフランスパンはモチッとした食感で、噛みしめると、豊かな小麦の風味が口いっぱいに広がります。美味しいソフトフランスパンと濃厚なミルクチョコレートクリームの相性が素晴らしく、甘すぎずビターすぎないほどよいバランスです。


シンプルな分、さまざまな楽しみ方ができるのも「チョコッペ」の魅力

 豪快にかじりついていただくのも良いですが、千切って少しずつ食べるのもおすすめです。また、担当者によると、トースターやオーブンで2〜3分軽く温めなおすと、中のクリームが柔らかくとろけ、ソフトフランスパンがサクサクとした食感になって美味しいとのこと。さらに、冷凍した「チョコッペ」を自然解凍してもパンのサクサク感が増して美味しいそうです。

 シンプルかつ奥ゆかしい味わいの「チョコッペ」だからこその楽しみ方ですが、中には「チョコッペ」のオリジナルアレンジをいくつも考案する熱狂的なファンもいるとのことです。

「チョコッペ」の兄弟商品と、それ以外の絶品パンとは?


「ハムッペ」(左)、「チョコッペ」(中)、「バタッペ」(右)

 また、「チョコッペ」には兄弟商品もあり、中のクリームをピーナツバタークリームにした「バタッペ」、ハムを挟んだ「ハムッペ」などもあり、こちらも人気商品だそうです。

 さらに、『ケルン』の店内を見回すと数多くのパン、惣菜系パンがあります。試しに筆者は「チョコッペ」以外にもいくつかのパンを買ってみましたが、特に絶品だったのが以下の3種です。


左上「クロワッサンベーグル」、右上「とろ〜りチーズバーガー」、下「至福の明太子フランス」

 まずは、「クロワッサンベーグル」。パンの周囲のパリパリ感と、ベーグルのモチモチした食感のいいとこどりした一品で、かなり美味しくいただけました。

 かなり衝撃の味だったのが「とろ〜りチーズバーガー」。ベーカリーのバーガー系パンの領域をはるかに超えた一品でバンズ、ハンバーグ、キーマカレー、野菜、チーズの味が、口の中で渾然一体となり絶品中の絶品でした!

 最後は、「至福の明太子フランス」。「至福の」とついている通り、一歩抜きん出た味わいでした。明太子の名ブランド『かねふく』とのコラボ商品で、発酵バターとマヨネーズを加えた明太子バターをたっぷりと挟んだボリューム満点のパン。これもまた「チョコッペ」と合わせて食べてほしい一品です。

ケルンのパン作りの源にあるのは「カッコつけないこと」

 ここまで話を聞き、実際に食べたことで、神戸の人を心から羨ましく思う筆者。ですが、前述の通り『ケルン』では商品限定ですが全国で宅配を行っています。もちろんこの中には「チョコッペ」も含まれているので、ぜひゲットしてみてください。

また、来年2024年は「チョコッペ」の50周年だそうです。そこで、改めて代表者に思いを聞きました。

「『ケルン』では49年間愛され続けた『チョコッペ』をはじめ、人気の定番商品がたくさんありますが、開発段階で一番こだわっているのは、生地そのものの美味しさです。ベースである生地が美味しくなければ、いくら高級な食材をトッピングしてもすべて台無しになってしまうからです。そして、『カッコつけない』ということも大切にしています。誰しもカッコつけようとすると、お客さま目線ではなくなり、結果的に売れないパン作りとなってしまいます。あくまでも、『お客さまが望んでいるパンを作る』ことをモットーにこれからも努力し続けたいと考えています」(『ケルン』代表者)

まとめ:神戸で49年愛されるご当地パン「チョコッペ」は確かに絶品だった。そして、その味を守り続けてきた『ケルン』のストイックな姿勢も多くの人が支持する理由だった!

「チョコッペ」の味、そして製造する『ケルン』代表者からのアツい思いを聞き、感動を覚えました。また、来年「チョコッペ」50周年を迎えるにあたり、「チョコッペとの思い出」を全国から募集し、来年にはチョコッペファンのための本(冊子?)も制作する予定だそうです。今後さらに注目を浴びるであろう「チョコッペ」。ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。

(撮影・文◎加賀ま波、松田義人)

●SHOP INFO

店名:ケルン 御影本店

住:兵庫県神戸市東灘区御影中町1丁目6-8
TEL:078-851-7651
営:9:00〜20:30
休:なし

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