なか卯の「親子丼」はなぜここまで旨いのか? 出汁文化が根付く大阪生まれの親子丼の秘密とは?

2023年8月8日(火)10時50分 食楽web


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●数多くある丼モノチェーンの中で「親子丼」を打ち出し大人気となった『なか卯』のストーリーと味のこだわりに迫る!

 数多くある丼モノチェーンの中で、それまでに前例のない「親子丼」を打ち出し大人気となった『なか卯』。もともとは京風うどんを扱っていたこと、さらに出汁文化が根付く大阪で創業されたことから、その繊細な味わいに魅了される人が続出。現在では多くの丼モノチェーンの中で、圧倒的な存在感を放っています。

 また、物価高騰が続き、多くの飲食店・食品メーカーが値上げを実施する中、あえて「親子丼40円値下げ」を実施したことも庶民にとってはかなり嬉しいところです。


物価高騰が続く中、あえて「親子丼40円値下げ」を実施した『なか卯』

 そんな『なか卯』ですが、そのストーリーや味にかけるこだわりを詳細に知る人はそう多くないかもしれません。そこで今回は『なか卯』担当者の解説のもと、その知られざる秘密に迫りご紹介します。

店内調理にこだわることで「親子丼」の『なか卯』が確立された!

『なか卯』の成り立ちは古く、今から54年前の1969年に遡ります。大阪・茨木市において、「手作りうどん専門店」として創業され、その名は創業者の名前の一字である「なか」と「うどん屋」の「う」から取られ、さらにその「う」は同音の縁起文字「卯」に変えたとのこと。

「干支の『卯』のうさぎがピョンピョン飛び跳ねるように、会社が大きく跳躍し繁盛するようにという願いが込められており、これが『なか卯』という屋号の由来となっています」(『なか卯』担当者)

 創業から1980年代後半までは、京都・大阪などに数店舗を展開。関西人たちに絶大な支持を得ていましたが、『なか卯』が大きく飛躍することになったのは1989年の関東への初進出、そして1994年に勝負をかけて考案した「親子丼」だったとのこと。

「1994年に発売した『親子丼』は、注文ごとに卵をとじるという店内調理にこだわり、多くの方々にご支持をいただくことになりました。蕎麦やうどんを提供する専門店では『親子丼』が提供されることがありますが、『親子丼』をメインで提供するチェーンストアは他に無かったことから、そこでの差別化を図りました。ふわとろの『親子丼』をご提供するために作り置きはせず、ご注文いただいてから一食一食手鍋を使って調理しご提供をさせていただいています」(『なか卯』担当者)

 ただし、他の丼モノチェーンの大半がスタッフ個々の調理技術に左右されずに提供できるのに対し、その場で卵をとじる「親子丼」の場合、スピード感も維持しながら、均一の味を提供するとなると、かなり難しいようにも思います。この点について『なか卯』ではある秘策をとったと言います。

「お客様をお待たせせず、また、仕上がりに差が出ないようにするために、鍋などの調理器具には工夫を重ねてきました。あくまでも『なか卯』は店内調理を貫き、“『親子丼』の『なか卯』”としての地位を崩さないよう努力を続けています」(『なか卯』担当者)

『なか卯』が採用した卵は天然パプリカを使用した飼料を食べた鶏から生まれたもの


卵に定評がある『なか卯』が採用しているものとは?

 手間がかかる“店内調理”に加えて、『なか卯』のあらゆるメニューが美味しいのには厳選された食材にあると担当者は言います。

「例えば『なか卯』で使用している卵は、天然のパプリカを使用した特別な飼料で育てた鶏の『こだわり卵』です。一般的な鶏卵に比べて黄身に弾力とコクがあり、濃いオレンジ色をしているのが特長です。また、宗田かつお・昆布を中心に使用した関西風のうどんだしは、毎日お店でその日に使う分を丁寧に煮出しています。透き通った自慢のだしのうどんだしは、最後まで飲み干せる旨みのあるものに仕上げています」(『なか卯』担当者)

物価高騰の中であえての「40円値下げ」の結果とは?

 これだけの手間と、高品質の食材を使う一方で、今年春には「『親子丼』40円値下げ」が話題になりました。物価高騰が続き、多くの飲食店・食品メーカーが値上げをするなかで、どんな思いで「値下げ」を実施したのでしょうか?

「一層のお手ごろ価格に改定することで、自慢の『親子丼』をより多くの方に楽しんでいただき、『なか卯』のファンをさらに増やしていきたいという想いから価格改定を行いました。この結果、鶏卵不足による背景も重なり、メディアの方々にも大きく取り上げていただき、これまで以上に多くのお客様にご来店をいただいています。『親子丼』のファンを増やすだけでなく、それまで『なか卯』を知らなかった方にもまずは一度ご来店いただき、バリエーション豊かな自慢の商品を知っていただく機会にもなりました」(『なか卯』担当者)

店内・店外でいっさいのブレがない


『なか卯』の「親子丼」はテイクアウトでも美味しくいただけます

 美味しい『なか卯』の「親子丼」が450円(税込)で食べられるのはかなり嬉しいところ。今回、記事化にあたってテイクアウトで買ってみましたが、もちろん「注文が入ってから卵をとじる」はそのまま。繊細な出汁とプリプリの鶏肉、濃厚な卵のふわとろのハーモニーはテイクアウトでも変わらずでした。

「実は看板商品の『親子丼』は販売時からこだわり卵を使用しており、2022年4月には大ぶりにカットした鶏肉を使用することでより食べ応えがアップするようにリニューアルしています。。テイクアウトでも変わらぬ味をご提供すべく、ご飯とおかずを分けるために内蓋を設けた容器を採用するなど、工夫をさせていただいています。また、近年では『親子丼』だけでなく、『鶏唐丼』などの商品も展開し、鶏肉を使用した商品の強化を進めています。現在、メニューの数はセットを含めて約100種類以上になりました。『親子丼』に限らずバリエーション豊かな商品で、お客様に選べる楽しさをご提供していきたいと思っています」(『なか卯』担当者)


『なか卯』の「すだちおろしうどん」(食楽web)

 また、『なか卯』では例年「すだちおろしうどん」が夏の定番メニューとしてラインナップされています。こちらもテイクアウトでも変わらぬ味わい。冷水でシメられたうどんを、すだちおろしでいただく味わいは、この時期は特に多くの人に食べてほしいとも思いました。

これからも「親子丼」の『なか卯』の地位確立を目指す!


これからも『なか卯』は進化し続けるとのことです

 丼モノチェーンの鏡ともいうべき『なか卯』の味へのこだわり、顧客への思いを聞くことができましたが、最後に生活者への思いを、担当者に改めて聞いてみました。

「現在、『なか卯』は日本国内で約460店舗展開しています。今後もこれまで同様に“『親子丼』の『なか卯』”としての地位を守り、さらに確立することを目指しています。また、『なか卯』を運営するゼンショーグループの根幹である『マス・マーチャンダイジングシステム』を活かし、今後、より多くのお客さまに安全で美味しい食を手軽な価格で提供できるよう、これからも事業を拡大していきたいと考えています」(『なか卯』担当者)

●まとめ:『なか卯』の「親子丼」やほかのメニューは、多大なる努力と工夫のもとで実現していた。さらに今でも進化を続けていることがわかった!

 チェーンストアにしてあれだけの味を提供できる『なか卯』の謎が少し解けた気がします。夏場の『なか卯』はうなぎも人気です。本記事の内容を噛み締めつつ、改めて『なか卯』で食事をしてみてはいかがでしょうか。

(撮影・文:松田義人)

●DATA

なか卯

https://www.nakau.co.jp/jp/index.html

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