【子ども記者】小学生が生物ライター平坂寛さんに突撃取材「知りたい」が五感でわかった生き物とは?

2017年10月3日(火)17時45分 リセマム

平坂寛さんに喰われそうになる雄大君

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1冊の本がこの夏、11歳の少年の心を鷲掴みにした。生物ライターとしてテレビやWebメディアなど多方面で活躍中の平坂寛さんの新著書「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)を読んだ東京都内の小学校に通う6年生の雄大(ゆうと)君は、両生類や魚類、爬虫類、昆虫などの生き物が大好きで図鑑が手放せない…という、クラスにひとりやふたりはいる、生き物に詳しいタイプの子どもだ。読む前は「めずらしい生き物をわざわざ食べなくても…!かわいそう…。」と心配していたが、「(平坂さんの)五感で生き物を感じる生き物への愛がすごい。読んでいると僕も嬉しくなる!平坂寛さんに会って話してみたい!」と大興奮。

 そこで、リセマム編集部は雄大君の夢を叶えるため、出版元の「主婦と生活社」へ本の著者である平坂寛さんへのインタビューを打診。ご本人の快い返事を受け、「主婦と生活社」調整のもと夢の対談がセッティングされた。インタビューを依頼したとき、平坂さんはフランスのセーヌ川で「ヤバい生き物」を捕まえるため出張中。帰国を待ち実現したインタビューでは、平坂さんの幼少時から現在も続いている生き物にまつわる数々の冒険ストーリーが、“後輩“とも言える生き物大好き少年の目をキラキラと輝かせた。

◆幼少期から生き物大好き、虫もトカゲも何でもお持ち帰り

雄大君:今日はよろしくお願いいたします。会えて嬉しいです!ありがとうございます!

平坂さん:よろしくお願いします!何年生ですか?

雄大君:6年生で今11歳です。僕はカエルやトカゲ、エイやウミウシや深海魚、昆虫など生き物が大好きなんですが、平坂さんはどんな幼少期を過ごしていたんですか?

平坂さん:11歳の少年に幼少期のことを尋ねられると思っていなかった(笑)。僕も小さいころから生き物が好きで、家の周りにいるクモを手当たり次第集めて獲物を糸で巻き取るようすを観察したりしていました。恐竜や鳥よりも、自分で捕まえられる、トカゲとかカエルとか昆虫とか海辺の生き物が好きな少年でした。

雄大君:恐竜はいても持って帰れないですね。鳥も飛んでいるから難しいですしね。

平坂さん:そうなんだよね。やっぱり自分で触りたくて。捕まえて見ていると可愛くて放すのがもったいなくて家に持って帰りたくなっちゃうんだよね。今でも持って帰りたくなっちゃう。大人になったから今はその欲求を抑えられるけれど、子どものころは連れて帰りたい!っていう欲求を抑えられなかったからね。なんでもポケットに入れて持って帰っていました。ジーパンみたいにピッタリしたズボンは、ポケットに生き物を入れられないからはかずに、カーゴパンツとか、ふわっとしたポケットのあるものをはいていました。でも、だんだんとお母さんからビニール袋をもらって出かけるようになりました。

雄大君:僕も同じです!可愛くて持って帰りたくなっちゃうんですよね…。僕もいつもランドセルにビニール袋が入っています。コンクリートの上で車にひかれてしまったヒキガエルや鳥がかわいそうなので土に返したいんですけど、ひかれてしまった生き物を素手で触るのはちょっと…。だから、ビニール袋を手袋のようにして持って、土に返しています。放おっておくとコンクリートの上でどんどんつぶれてしまうし、土に返せば分解されるので。

平坂さん:その行いは正しいね。優しいなぁ。僕は死んでしまっている生き物も直に持ってしまうけれど、衛生面の問題もあるからビニール袋が正解だね。

インタビュアーは小学6年生の生き物大好き男子
◆小学生時代の大発見、校舎の裏でカスミサンショウウオが生息!

雄大君:ありがとうございます!子どものころ一番思い入れが強かった生き物はなんですか?

平坂さん:最初は定番だけどクワガタですね。ヒラタクワガタが一番好きでしたね。人気のあるノコギリクワガタやミヤマクワガタは…何というかね、チャラいんだよね。なんかこう…茶髪みたいな感じがする(笑)。でもヒラタクワガタは眉毛が太い日本男児みたいでかっこいい。

雄大君:僕も同じです!ヒラタクワガタがクワガタの中では一番好きです。太っていてボリュームがあって、かっこいいですよね。

平坂さん:そうそう!(笑)ヒラタクワガタはあまり飛ばないんですよね。探しに行かないと捕まえられない。木を蹴っても落ちてこなくて、だいたい木の洞にいるんだよ。だから手を突っ込んで取るしかないんだけど、そういう場所にはゴキブリも多いの。「ヒラタだ!」と思って捕まえてみると、10回に6回はゴキブリなの(笑)。でも手を突っ込むしかないからね。その恐怖を乗り越えて頑張って捕った。ジョロウグモがゴキブリを食べているのを見てからゴキブリだけは触れられるんだけど、苦手。きちんと飼って調べれば、ゴキブリも好きになると思うんですけどね。

雄大君:学校でおもしろい生き物はいましたか?

平坂さん:僕の故郷は長崎なんだけれど、小学校の校舎裏の汚い水の流れる溝にカスミサンショウウオがいたんです。あまりにも汚いので「絶対に生き物なんていない」って思って、小学1年生から小学4年生までは全然その溝を見ていなかったんだけど、小学5年生になったある日、覗いてみたら「何かいる!」って気づいたんです。イモリかな…と思ったら、きれいな水でしか生きられないカスミサンショウウオがいたんですよ。きっとずっと前から棲んでいて、環境に適応していったんだろうなと感動しました。

雄大君:すごいですね!キレイな水に棲んでいるカスミサンショウウオを連れてきて、その汚い水に入れたらすぐに死んでしまいますよね?

平坂さん:そうだね。急に連れてきても死んでしまうと思います。環境に適応して生きてきたことがすごい。何でもよく観察して、「なぜ変な形なんだろう」とか、「なぜこんな色をしているんだろう」とか、「なぜここにいるんだろう」という疑問を持てば生物学という学問になるよね。

雄大君:はい。小さいころから生き物が好きなのは僕と同じですね。僕は図工が好きなんですが、小学生の勉強では何の教科が好きでしたか?

平坂さん:うーん。どの教科も嫌いではなかったですね。逆に理科は生き物に関係することは知っていることばかりだからおもしろくなかったな。でも生き物をきっかけに、化学とか地学とかも興味を持つようになりましたね。あとはやっぱり絵を描くのが好きだったので、僕も図工が好きだったね。生き物好きな人って、絵とか芸術に興味がある人が多いよね。何年か前に沖縄でサメを捕まえているときに出会った当時小学5年生の少年も生き物と絵を描くことが好きで、今は高校で芸術の勉強をしているよ。生き物好きには「生き物の造形が好き」っていう共通点があるのかもしれないね。

◆かわいそうだな、と思ったら食べないほうがいい

雄大君:いろいろな国に行って生物を捕まえていますが、年に何か国くらい行くのですか?

平坂さん:決めているわけではないんだけれど、年に3回は行って、最低1週間ずつは滞在したいですね。2016年はたくさん行きました。タイ、アメリカ、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、ガイアナ共和国、香港…。あれもこれも捕まえるっていう目標ではなくて、1種類の生き物に会いたい、と決めて取材に出かけます。それを捕まえに行く途中で、その場所にいるほかの生き物にも出会えるとラッキーだなと思います。それも捕まえて、食べてみたりしますね。

「喰ったらヤバいいきもの」を一緒に読みながら質問に応える平坂さん
雄大君:せっかく行ったらいろいろな生き物に会いたいですよね。普通の食事で食べる生き物は除いて、年にどれくらいの種類の生き物を食べているのですか?

平坂さん:月に3、4種くらいかなぁ。本に書いてない生き物もあるので。毎週何か食べていますね。年間で50種類くらいかな…。

雄大君:え!そんなに!?

平坂さん:そうだね。でもね、昔はもっと食べていました。最近食べたことがない生き物が減ってきましたね。たとえばツチガエルを食べたことはないんだけれど、ヒキガエルとウシガエルとトノサマガエルとあまり変わらない味だろうな、って想像がつくからわざわざ食べないんですよね。知識が増えていくと先読みできちゃうから、最近食べたい生き物が減ってきましたね。なので海外や未知の深海へ行こうか…となってきましたね。

 それに、食べなくてもいいかな、と思うものは食べないほうがいいと思っています。「食べなきゃよかった」っていう後悔はもう取り返しがつかない。「食べておけばよかった」という後悔は挽回できる。だから一人じゃ食べきれないような大きな生き物も、今度大勢のときに食べればいいやと思って逃がすし、かわいそうだなぁと少しでも思ったら逃していますね。生きていればまた捕れるからね。

雄大君:すごいです、感動です…。確かにそうですね。後悔しても取り戻せないですね。この生き物は忘れない、という出会いはありますか?

◆痛いけれどもっと触っていたかったデンキウナギ

平坂さん:たくさんあるけれど、やっぱりいろいろな意味でデンキウナギですね。昔からニョロニョロした生き物が大好きなんですよね。

雄大君:僕も大好きです!アシナシイモリとかニョロニョロした生き物って最高にかっこいいですよね。デンキウナギはあの不気味な表情を変えない顔がかっこいいですよね、ポーカーフェースで。

平坂さん:そうそう!気が合うねぇ(笑)。小学生のころ、図鑑でもよく見ていたあのカッコいいデンキウナギが地元の水族館に展示されているのを見たんだけれど、「デンキウナギが出す電流で電球が点灯します」って説明が書いてあって。確かに電球が点灯するんだけれど、うしろで警備員のおじさんがスイッチ入れているとしか思えなかったんですよね(笑)。想像していたのはもっと電流が目に見えてわかるような「ビリビリ!」って感じだったんだけれど。「これは実際に発電しているかどうか自分で触って確かめてみるしかない!」って思い続けて20年後に実際にアマゾン川に行って実現したんです。すごかった。本当にあのポーカーフェースですごい電流出してくる。すごく痛い。せっかく会えたんだから僕としてはずっと触っていたいんだけれど、もう手がね、僕の意思と無関係に跳ね返っちゃう。

雄大君:うわぁ……。

デンキウナギを「五感」で感じている映像を観て驚く雄大君と、冒険談を語る平坂さん
平坂さん:痛いけれど楽しかった。でも、もう1回やれって言われたら嫌です(笑)。ずっと知りたかったので体で知ることができて本当によかったです。食べても最初の一口は美味しかったですよ。豚の角煮の脂身の所だけを食べている感じでした。僕は食べることが目的ではなくて、「知りたい」が根源にある。長年の「知りたい」が五感でわかって満たされましたね。

雄大君:痛そうだけれど僕も触って感じてみたいです……。

「喰ったらヤバいいきもの」にサインをもらって感激

【次ページ】「進化の歴史は味でわかるんだ!」平坂さんから子どもたち・保護者の皆さんへメッセージ

◆進化の歴史は味で、浮力は深海魚から学ぶ

雄大君:「知りたい」から「食べたい」になったきっかけはありますか?

平坂さん:ブラックバスを食べたときですね。小学生のころお父さんと釣りに行って釣ったブラックバスが、川魚のイメージと違って見た目も海水魚っぽいから食べられるんじゃないかなって思ったんです。持って帰って、当時はまだ自分で料理ができないからお母さんにさばいてもらって。食べたらコイとかフナと違って、海の魚の味がして美味しかった。調べたらブラックバスは二次淡水魚で、ご先祖さまは海に住んでいたから見た目も味も海水魚っぽい。「進化の歴史は味でわかるんだ!」って感動したんです。それが「食べるのっておもしろい」と思ったきっかけですね。

雄大君:なるほど!広く言うとメダカもサンマやダツの仲間で、もともと海から来た魚ですよね。

平坂さん:そうだね。二次淡水魚と分類されている魚たちだね。だから、ブラックバスなどの二次淡水魚は、少しずつ塩分を濃くしていくと海水のような塩水でも飼えるんだよ。

雄大君:すごいですね!今までで一番美味しかった生き物は何ですか?

平坂さん:オオカミウオも美味しかったし、爬虫類はグリーンイグアナが美味しかったな。脂が乗っているバラムツも美味しかったなぁ。バラムツは人間が消化できない脂が含まれているから食べ過ぎるとヤバいことになるんだけれど、とても美味しかったですね。

雄大君:本にも書いてありましたね…。バラムツはかっこよくて僕も大好きです。僕も深海魚が好きで、漁師の叔父さんが市場に出さない変わった生き物を送ってきてくれるんですが、トウジンは淡白で身が少なかったです。

平坂さん:僕は実は大学院ではバラムツの研究をしていたんだ。バラムツは脂が乗っていて、トウジンは淡白で脂が乗ってないのはなぜだと思う?深海魚はだいたいどちらかのタイプなんですよ。

雄大君:何でだろう…食べている物?環境?

平坂さん:いやいや…よく考えてみて。食べているものも環境も深海魚ってみんな似ているんだよね。トウジンは浮袋を持っていたでしょう?でも、バラムツには浮袋がないんです。

雄大君:あ、そうか。バラムツは脂で浮力を調節するんですね?

平坂さん:そう。バラムツは浮袋を持たずに、体内中にたくわえた脂で浮力を調節するという生き方をしているんだよね。だから身も脂が乗っているんです。一方のトウジンは浮袋を持って生きているから体内に脂がないんだ。食べるとそういう違いもわかる。

雄大君:なるほど、よくわかりました。一番マズかった生き物は何ですか?

平坂さん:マズかったのはオオマリコケムシとタツナミガイとレッドヘッドセンチピード(ムカデの仲間)。タツナミガイは体が受け付けなくて飲み込めないくらいマズかった…。テレビの取材だったから、連帯責任で全員で食べきりましたけど。レッドヘッドセンチピードも本当にマズかった。本来、ウニとかガンガゼのようにトゲや毒などの武器を持っている生き物って、中身は美味しいはずなんだけど、これは全部マズかった。薬品くさい…例えるなら理科室の床みたいな味がした。

雄大君:(驚愕)…薬品のにおい…なんとなく味の想像がつきます…。これから会いたい生き物はいますか?

平坂さん:キングコブラとチチカカミズガエルに会いたいですね。

雄大君:キングコブラ!チチカカミズガエル!僕も大好きです!

平坂さん:いいよねぇ(笑)。あとはもう図鑑でも見たことがないような生き物に会いたいですね。予想の上を行く「そう来るか…」っていう生き物に会いたいですね。

雄大君:…河童とか人魚とかチュパカブラとかビッグフットとか?

平坂さん:そうだね。もう完全に“フリーズ”したい。何も言えなくなる生き物に会いたい。言葉も出ない生き物に会うって人生最高の瞬間だと思うんですよね。

雄大君:僕も会いたいです。

生き物への愛を語る生物ライター平坂寛さん
◆今より10倍の人が生き物を好きになったら?保護と「好き」の関係

雄大君:生き物への愛を食べること以外で表したいと思いますか。たとえば保護活動などで。

平坂さん:僕はそんなに食べることにこだわってないんです。僕の最終目標は食べることではなくて、その生き物のことを「知りたい」から。知ってたくさんの人に「伝えたい」から食べているんです。それで生き物のことを好きになってくれる人が増えればいいなと思って活動しています。僕の本で、僕が捕まえて食べる話を読んで笑ってくれて、生き物に興味を持って好きになってくれればいい。

 僕ひとりでも絶滅危惧種を守りたいけれど、それは正直難しい。でも、生き物の研究者や好きな人が増えることで生き物を守ることになると思うんです。今より10倍生き物が好きな人がこの世に増えたら、今の10倍のスピードで保護が進むかもしれない。10倍の生き物を守れるかもしれない。だから、生き物が好きな人を増やしたい。食べるな、捕るなは、どうしても力及ばなかったときの最後の手段ですよね。各国で食文化もありますし、そんなことを言わなくてもいいように、僕らは生き物を保護しないといけないと思います。

雄大君:すごいです。本当にそうです。タランチュラを食べると言いながら、騒いで殺して、結局食べられない…という動画を見たことがあるんですが、そういう人に平坂さんの本を読んでもらいたいです。

◆後輩たちへ伝えたい、自然を知るために大切なこと

雄大君:琉球大学、筑波大学大学院で生物を学んだ平坂さんみたいに、生き物について将来も学びたい、と思っている僕みたいな生き物が好きな子どもたちは、今からどんな準備をするとよいですか。

平坂さん:僕の後輩たちってことだね。コミュニケーション能力や行動力が大切だと思います。僕は英語が得意ではないけれど、外国に行って、勢いで話すとなんとかなる。英語の通じない国で「Electric eel(デンキウナギ)!」って単語だけで現地の人に伝えても、何処にいるか教えてくれたり、みんな優しい。

 図鑑もテレビも水族館も動物園もタッチプールもいいけれど、それだけじゃ100あるうちの10もわからない。その生き物が実際に生きている自然の中に行って、本物を見ること、体感してみることが50、60、80…100を知ることになると僕は思います。

 ペットとして飼うことが好きな人も、動物園が好きな人も、野生の生き物に触れることは大事だと思います。だから自然の中へ行ってほしいですね。ペットを上手に飼育できる人はそのペットの種の自然界での生き方を知っているし、オオカミウオの隠れ家のために岩をたくさん入れている水族館は素敵だな、とわかる。

 都会に住んでいても自然が周りにないことを言い訳にしないで、渋谷にいるネズミでも虫でも身の回りにいる生き物から知って、どんどん世界を広げていけばいいと思います。新作のポケモンが100匹増えたら、自然界でも100匹生き物を見つけよう、とか。

雄大君:そうですね。知りたいことにがむしゃらにならないといけないですね。

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◆極端にネガティブな言葉は子どもの好奇心の芽を摘んでしまう

雄大君:反対にこれはしない方がいい、という注意はありますか。

平坂さん:危険生物の話は極端に騒がなくていいと思います。たとえば「危ないから触っちゃだめ」と何でもかんでもすぐに親が止めるのは、子どもを自然から遠ざけてしまうことにつながります。もちろん、危険生物には近づかない方がいいし、子どもの安全のために万全を期したい気持ちも当然です。必要なことは何でもかんでも「ダメ」ではなくて、正しい知識を親子で持っておくということです。正しい知識を持って自然や生き物に触れていくことが大事で。危険な生き物を知っておくべきだけれど、「なぜ危険なのか」をもっと知っておくべき、伝えておくべきです。親が極端に避けるのは違うんじゃないかと思います。「危ない」「怖い」「気持ち悪い」っていうワードが子どもを自然から遠ざけてしまう。僕が幸せだったのは親がまったくそういうことを言わなかったことですね。

雄大君:そういう経験あります。校庭でヒルを見つけて触って見ていたら、先生が血を吸うからやめなさい、放しなさいと言ったんです。チスイビルではなかったので、大丈夫なのに…と思いましたけれど、周りにいた子は触らずに離れてしまいました。

平坂さん:ネガティブな言葉のひとつひとつが子どもの将来につながることを潰しちゃっているかもしれないんですよね。大人が好奇心の芽を摘まないようにしなければならないですよね。

雄大君:最後に生き物好きな子どもたちへのメッセージをお願いします。

平坂さん:生き物に限らずいろいろなことに興味を持ってほしいです。生き物が好きな気持ちを持ち続ければ1年中見たい生き物がいっぱいで、スケジュール帳がいっぱいで、やりたいことがなくならない、幸せな人生になると思います。生き物はそのまま好きでい続けてほしいですが、友達と遊んだり、デートしたり、スポーツも音楽もいろいろ楽しんだ方がいい。僕は生き物があるから…とか変なことを思わなくていいから、人との関係をないがしろにしないで大切にして、どっちも欲張りなさいって伝えたいです。

雄大君:はい!今日はありがとうございました!

平坂寛さんに喰われそうになる雄大君
 インパクトのある表紙だが、内容は決してグロテスクではなく、捕まえた生き物とその料理の写真、おもしろく穏やかな語り口で冒険の記録が綴られている「喰ったらヤバいいきもの」。生き物への深い感謝が感じられるのは、平坂さん自身の原体験から成る生き物に対する愛と尊敬の想いが文章からにじみ出ているからだろう。

 虫、魚、蛙、トカゲ、葉、花、果実…子どもたちが大地の命に小さな手を伸ばすのを見かけたら「なぜこんな形なのかな?」「なぜ柔らかいのかな?硬いのかな?」「なぜこんな匂いなのかな?」「なぜこんな声で鳴くのかな?」「どんな味がするのかな?」と一緒に疑問を持ち、考えたい。「なぜ?」という疑問こそ、一生をかけてでも探らずにはいられない人生の冒険への入口なのだから。

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一緒に生き物を探しに行きたい!という後輩の願いを快諾してくれた、優しい平坂さんでした!

リセマム

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