養護教諭、近視進行による将来の眼疾患・失明リスクへ危機感
2023年10月6日(金)11時15分 リセマム
調査は2023年5月〜8月、子供たちのデジタルデバイスの使用状況や目の健康を取り巻く環境について、学校で保健指導を行っている全国の小・中・高等学校の養護教諭を対象に実施した。有効回答数181名。
アンケートによると、「生徒の近視が増えたと感じるか」の問いに「そう思う」「ややそう思う」と回答した養護教諭は、小学校で90.0%、中学校で83.5%、高校で74.2%と、全体の8割に達し、「近視が進行して強度近視になると、将来的に深刻な眼疾患や失明のリスクにつながる可能性があるという危機意識をもっている」との回答が全体の60.8%にのぼる。
「近視を放置することによるリスクについて伝える機会があるか」については、全体の56.9%が「そう思う」「ややそう思う」と回答。しかし、「目の健康や近視について、学校で指導する機会が十分にもたれているか」については、「あまりそう思わない」「そう思わない」と回答した養護教諭は全体の56.3%であり、「そう思う」「ややそう思う」と回答した14.4%を上回る結果となった。
「近視進行を抑制する方法として屋外活動が重要だと知っている」と回答した養護教諭は「そう思う」「ややそう思う」の合計が全体の73.9%と高かったが、「近視進行を抑制する方法として屋外活動を積極的に取り入れるよう検討している、もしくは進言している」との回答は、小学校で40%とやや高かったものの、全体では21%にとどまっていた。
デジタル端末の使用の際、「学校で教室の明るさや画面の映り込みなど、環境への配慮を行っている」との回答は全体の70.5%と高水準であったが、一方で、デジタル端末を使用する際、生徒に対し「目と端末の距離を30cm以上離す」「30分に1回は20秒以上目を休める」などの健康上の指導状況については、小学校で60.0%とやや高かったものの、中学校36.1%、高校38.8%と低い傾向にあった。
「デジタル端末使用時の生徒指導に対しての悩みがあるか」について、「そう思う」「ややそう思う」と回答した養護教諭は全体の56.5%であり、過半数に達した。悩みの内容として「指導の時間がとれない」「指導する機会がない」などの声が多くあげられた。
調査により、子供の目の健康について不安を抱きつつ、十分に指導する時間が取れずに悩む養護教諭の姿が浮き彫りになる結果となった。学校だけでなく、各家庭でも、目の健康や近視について話し合う機会をもつべきなのかもしれない。