11/3開催「全日本大学駅伝」、國學院大、駒大、青学大…3強が有力視される中、発表された“区間配置”から大胆予想

2024年11月2日(土)6時0分 JBpress

(スポーツライター:酒井 政人)


V候補の一番手は出雲を制した國學院大

 11月3日、伊勢路を舞台に開催される全日本大学駅伝。その「メンバーエントリー」が11月1日に発表された。当日変更で区間登録選手と補員登録選手を3人まで交代できるが、各校の戦略が見えてきた。

 今大会は出雲駅伝で終盤まで激しく競り合った國學院大、駒大、青学大が“3強”という声が強い。各校は勝つためにどのようなストーリーを描いているのか。当日のオーダーを予想しながら、勝負のポイントを探っていきたい。

 まずは出雲に続いて2冠目を目指す國學院大だ。

1区嘉数純平(3年)、2区青木瑠郁(3年)、3区辻原輝(2年)、4区鎌田匠馬(3年)、5区野中恒亨(2年)、6区山本歩夢(4年)、7区田中愛睦(2年)、8区岡村享一(1年) 補員/平林清澄(4年)、 上原琉翔(3年)、高山豪起(3年)、後村光星(2年)、飯國新太(1年)

 全日本は登録選手の10000m上位8人平均タイムでトップ(28分16秒60)。前回3位のメンバー7人が残っている。

 注目はマラソン学生記録保持者の平林清澄(4年)が入る区間だ。全日本では3年連続で7区を担い、前回は区間賞を獲得している。8区の起用も考えられるが、確実に勝負するなら7区に入れるだろう。

 もうひとつのロング区間は上原琉翔(3年)と高山豪起(3年)が候補。他区間では前回1区6位の後村光星(2年)を起用する可能性もありそうだ。

 主将・平林は駒大・篠原倖太朗(4年)と青学大・太田蒼生(4年)に36秒差をつけた出雲6区の走りが強烈だった。7区出走なら40〜50秒以上のリードを確保できれば初優勝が見えてくる。8区の場合は30〜40秒差なら逆転が十分可能だ。いずれにしても“絶対エース”で勝利を決定づけたい。


駒大と青学大が描く“勝利のセオリー

 5連覇を目指す駒大は前回、一度も首位を譲らずに4連覇を達成した。しかし、2区で区間賞・区間新の快走で“独走V”の流れを呼び込んだ佐藤圭汰(3年)が登録から外れている。

1区島子公佑(2年)、2区金谷紘大(4年)、 3区伊藤蒼唯(3年)、4区谷中晴(1年)、 5区村上響(2年)、 6区安原海晴(2年)、 7区森重清龍(3年)、 8区山川拓馬(3年) 補員/ 篠原倖太朗(4年)、吉本真啓(4年)、帰山侑大(3年)、山口真玄(3年)、桑田駿介(1年)

 近年、駒大はエースを7区に配置してきた。順当なら10000mで27分35秒05(日本人学生歴代5位)を持つ主将・篠原倖太朗(4年)が7区に入るだろう。アンカーの山川拓馬(3年)は前回も8区で区間賞を獲得しており、終盤のロング区間は超強力だ。

 2区は出雲駅伝1区6位の桑田駿介(1年)が有力。4区に登録された谷中晴(1年)は“もうひとつの出雲駅伝”と呼ばれる出雲市陸協記録会の5000mで13分49秒71の自己新でトップを飾った選手だ。5連覇に向けてはルーキーたちの走りがカギを握りそうだ。

 出雲駅伝は佐藤圭汰と篠原抜きで、5区終了時でトップの國學院大と4秒差につけた。伊勢路で出雲の再現ができると、終盤2区間で面白い戦いができるだろう。國學院大を倒すには、平林より先に藤色のタスキをつなぎたい。

 青学大は出雲1区区間賞で5000m13分18秒51(日本人学生歴代3位)の鶴川正也(4年)が2区、5000mで13分28秒78を持つルーキー折田壮太が3区に入った。一方で前回2区2位の黒田朝日(3年)と同7区5位の太田蒼生(4年)が補員登録となった。

1区宇田川瞬矢(3年)、2区鶴川正也(4年)、 3区折田壮太(1年)、4区黒田然(1年)、 5区田中悠登(4年)、6区白石光星(4年)、7区若林宏樹(4年)、8区塩出翔太(3年) 補員/太田蒼生(4年)、野村昭夢(4年)、黒田朝日(3年)、平松享祐(2年)、安島莉玖(1年)

 おそらく箱根2区で区間賞を獲得した黒田朝日を7区に入れて、ライバル校との“エース対決”に備えるかたちになるだろう。箱根駅伝3区で爆走した太田は8区もしくは、後半のポイント区間か。

 國學院大と駒大のオーダーを考えると、1区は大差がなく、2区鶴川で青学大が前に出ると予想する。そのまま突っ走り、エース黒田でライバル校を蹴散らしたい。


創価大は“2区吉田響に注目

 レース全体を占う意味でも出雲で4位に入った創価大と前回過去最高5位に食い込んだ城西大の“レース運び”にも注目したい。

 創価大は留学生を欠きながら出雲駅伝で過去最上位。全日本は5区にソロモン・ムトゥク(1年)を入れてきた。出雲を急遽欠場したスティーブン・ムチーニ(2年)の状態が戻っていれば、この区間で交替か。

 そして補員登録している吉田響(4年)を2区に投入するだろう。吉田は出雲2区で区間2位に32秒差をつけるダントツの区間賞。9人抜きでトップに立った。今回も爆発力のある走りを披露するはずだ。

 そうなると序盤は青学大と創価大がトップを争う展開になるだろう。創価大は3区石丸惇那(3年)、4区山口翔輝(1年)とつないで5区の留学生に託すかたちだ。5区ムチーニにトップで渡すことができれば、日本インカレ5000m王者で一気に大差を奪うことが可能。これが実現できれば最後まで“3強”と争うことができる。

 城西大は3区ヴィクター・キムタイ(3年)、4区斎藤将也(3年)と前回の区間賞コンビを同じ区間に配置した。2区終了時で大差をつけられなければ、中盤でトップ争いに加わることができるだろう。

 前回4位の中大は箱根駅伝予選会を経てのレースになるが、同予選会を欠場した4人を主要区間に登録。1区溜池一太(3年)、3区本間颯(2年)、4区浦田優斗(4年)、7区吉居駿恭(3年)と並べてきた。2区に注目ルーキー岡田開成、8区に前回4位と好走している阿部陽樹(4年)を配置しており、予選会のダメージを感じさせない継走が期待できそうだ。

 前回7位の大東大は入濵輝大(3年)が前回と同じ4区で、西川千青(4年)と大濱逞真(1年)が補員登録。同8位の東京国際大は留学生のアモス・ベット(2年)が補員登録されており、ポイント区間に投入される見込みだ。

 出雲駅伝6位の早大は1区間瀬田純平(3年)、2区山口智規(3年)が前回と同じで、4区伊藤大志(4年)、5区石塚陽士(4年)、8区工藤慎作(2年)というオーダーを組んできた。出雲駅伝で4年生を起用しなかった東洋大は1区小林亮太、3区梅崎蓮、6区石田洸介と最上級生3人を選手登録している。

 レース当日、三重県伊勢市の天候は晴れで、気温も22度まで上がる予報になっている。終盤のロング区間で順位が大きく変動する可能性が高い。箱根駅伝予選会のように荒れた展開になるかもしれない。

筆者:酒井 政人

JBpress

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