多指症は5本指より“器用&便利”だったことが判明! タイピング、ゲームも断然有利

2022年11月27日(日)7時0分 tocana

 手足の指が生まれつき多い多指症。先進国では幼少期に余分な指を切断してしまうことが多いため、6本指が有用なのか、脳が6本目の指をどのように制御しているかはよくわかっていない。最近、英インペリアル・カレッジ・ロンドンが多指症の母子を調査・研究し、その利点や脳内での処理を明らかにしたことで話題に。見た目も機能的にも問題がないのであれば、切断せずに残したほうがいいのかもしれない。


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※ こちらの記事は2019年6月6日の記事を再掲しています。


 手足の指の数が生まれつき多い多指症。先進国においては幼少時に余分な指を切断してしまうことが多いとされ、6本指が有用なのか、脳が6本目の指をどのように制御しているかはよくわかっていないという。最近、英インペリアル・カレッジ・ロンドンが多指症の母子を調査・研究し、その利点や脳内での処理を明らかにした。英「Daily Mail」が6月4日付で報じている。


■6本指は器用!


 指がもう1本あったら便利なのか? 最近ではロボットを設計する上で6本指が検討されているそうなのだが、多指症の人々の研究はこれまでほとんど行われていなかったという。そこで英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らは、完全な形の指を両手に6本ずつ持つ多指症の被験者2人を用いて、その有用性や脳や神経系での制御を調べた。


 研究に参加したのは52歳の女性とその17歳の息子の2人で、2人とも先天的に手の指が6本ある。2人は6本の指を巧みに使うことができて、タスクの内容によっては、5本指よりよほど器用にこなすことができるという。公開された動画には片手で器用に靴ひもを結んだり、キーボードを叩いたりする様子が映されている。



 また、作業中の脳の様子はfMRIで観察され、大脳の運動野に余分な指に対応する領域が見つかった。脳には指が多い分の負荷がかかっているはずだが、2人の被験者に不都合は何もないという。また、余分な指のための腱や筋肉、神経が存在することも明らかになった。



 これは生まれてからずっと余分な指を使ってきた結果であり、後天的に足を失った人が義肢の使い方を学ぶのと似ているという。研究者によると、余分な指を後付けしても2人と同じように扱えるかはまだわからないが、この研究がロボットや運動機能を拡張するための義指や義肢の開発に役立つだろうとのことだ。


 また前述の通り、現代では余分な指を幼少時に切断してしまうことが多い。多指症にも様々なタイプがあるが、余分な指に見た目にも機能的にも問題がないのであれば、切断せずに残した方がいいのかもしれない。


 手の多指症は出生1000人に1〜2人と比較的頻度が高いにも関わらず、わかっていないことが多いという。ロボット工学の発展がそのような分野に光を当てるきっかけになるというのは興味深い話である。論文は今月3日付でオンラインジャーナル「Nature Communications」に掲載された。


参考:「Daily Mail」、「Imperial College London」、「Nature Communications」、ほか

tocana

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