箱根駅伝で63年ぶりのシード権を目指す立大の選手たちはどう戦う?急上昇中のプーマが「EKIDEN GLOW PACK」を発表

2024年12月6日(金)6時0分 JBpress

(スポーツライター:酒井 政人)


全日本大学駅伝でプーマの着用者が倍増

 2021年からパフォーマンスランニングカテゴリーに本格参戦しているプーマの快進撃がとまらない。全日本大学駅伝では出場選手(※関東15校=全120名)の着用者を拡大中。2021から0名、3名、10名と推移しており、今年は22名(シェア率18%)と前年から倍増しているのだ。

 来年正月の箱根駅伝でも“大躍進”の予感が漂っているなか、プーマ ジャパンは今冬シーズンの「EKIDEN GLOW PACK」を発表した(11月29日より発売中)。

 シューズはトレーニング用を含む全5モデルで構成。レース用はむき出しのカーボンプレートが特徴の『ファストアール ニトロ エリート2』と、194g(27.0cm)と軽量でトップランナーから熱い支持を集めている『ディヴィエイト ニトロ エリート3』がラインナップされている。

 全モデル共通で、「日々早朝からトレーニングを積み重ねるランナーたちが、栄光を掴む瞬間を描いた」というパープルとイエローの爽やかなグラデーションカラーをソールに採用した。

「EKIDEN GLOW PACK」の発表会にはプーマとパートナーシップ契約を結んでいる立大の男子駅伝チームが登壇。勝負シューズと正月決戦に向けて、熱い言葉が飛び出した。


レース用モデルの感触は?

 プーマのユニフォームを着用して箱根駅伝に参戦する立大。“勝負シューズ”は個々に託されているが、『ディヴィエイト ニトロ エリート3』を選択するランナーが多いようだ。同モデルの履き心地を選手たちは次のように語っている。

 全日本大学駅伝4区を区間7位と好走した稲塚大祐(4年)が、「反発力があるだけでなく、接地感もいいんです。地面をちゃんと捉えることができるので、しっかりとリズムやペースを刻めて気持ちよく走れます」と言えば、同6区5位の山口史朗(4年)も「自分は外側接地で合うモデルがなかなかなかったんでけど、結構普通に走れちゃうんですよ。万能シューズというイメージがありますね」と話した。

 ミッドソールが前作より4mm厚くなり、エネルギーリターンは高まったが、安定感は十分あるようだ。

 箱根駅伝予選会でチーム2番目の個人25位に入った林虎太朗(4年)も『ディヴィエイト ニトロ エリート3』を着用しているが、シーンによっては、『ファストアール ニトロ エリート2』を使用したいと考えている。

「ディヴィエイト ニトロ エリート3はちょっとクセが強めなんですけど、推進力、反発力は凄くある。出雲駅伝くらいの短い距離のレースなら履いてみたいと思っています」

 そして学生駅伝で7度の区間賞を獲得している髙林祐介駅伝監督は近年のシューズ事情に驚いていた。

「私の現役時代はいかに薄く、いかに軽いかというのが焦点だったんですけど、近年、シューズは大きく進化しました。いまは選択肢が多いので、『このシューズなら走れる!』というモデルを見つけることが重要です。プーマでいうと、ディヴィエイト ニトロ エリート3は他メーカーと比較しても反発力があって、クセなく走れると思います。自分の感覚値を上げることもできるので、どちらかというと自然なアシストをしてくれるシューズで、うちの成績を後押ししてもらっているような部分もありますね」


箱根駅伝のライバルは?

 立大は4月に髙林監督が就任すると、快走を積み重ねてきた。6月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会を初めて突破。秋は箱根駅伝予選会をトップ通過すると、約2週間後の全日本大学駅伝で7位に入って“初出場・初シード”をゲットしたのだ。

 そして来年正月の箱根駅伝は「シード権獲得」(10位以内)を目指している。そのなかで選手たちは誰をライバル視しているのか。エース格の林は大牟田高時代の同期である青学大・太田蒼生(4年)に対抗心を燃やしている。

「高校時代は一緒に練習をしてきたので、『負けたくない』という気持ちがありますね。後輩たちにシード権という置き土産ができるように、エースらしい走りをしたいと思っています」

 面白いことに稲塚と山口は同じ選手名を口にした。チームメイトの林だ。

「林とは2年間、同じ部屋だったんですけど、あと一歩のところで勝てていないんですよ。箱根駅伝は客観的に見て『勝った』と言われるような走りをしたいですね。前回は復路(8区11位)でつなぐ役割でしたが、今回は目標のシード権獲得に向けてチームを押し上げていく走りができたらいいなと考えています」(稲塚)

「1年時は林と2学年先輩と同じ部屋だったんですけど、その先輩が卒業するときに『虎太郎に勝てよ』という手紙をいただいたんです。直接対決で勝つことはできなかったんですが、最後の箱根で林以上の走りができれば、先輩も喜んでくれるかなと思います。また髙林さんはあまり褒めてくれないので、最後は褒められるような走りを見せたいです」(山口)

「EKIDEN GLOW PACK」は毎朝トレーニングに励むランナーが目にする、夜明け前の空を表現したカラーリングが特徴的だ。立大の選手たちは早朝6時から「朝練習」に励んでいる。

「朝練習は空腹時に走ることで脂肪燃焼を高めるという理論的な部分もあるんですけど、学生は授業があるので練習量を確保するために朝の時間を使うしかありません。もうひとつは習慣化ですね。毎朝同じ時間に、ある程度同じような距離を走る。決まったことを日々積み重ねていくことで、自分の体調も理解できるようになりますし、継続していくことに意味があるかなと思っています。箱根駅伝はシード権が目標ですが、自分たちがしっかり勝負できる状態になって初めて他大学さんと戦えると思っています。まずは自分たちがいかに良い状態で迎えられるかを大切にしていきたいです」(髙林監督)

 来年正月の箱根駅伝で63年ぶりとなるシード権獲得を目指す立大の選手たち。読者の皆さんも、夜明け前の“特別な空気”を感じていただきたい。

筆者:酒井 政人

JBpress

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