春のガーデニングをエコに 簡単コンポスト(堆肥化)のやり方

2023年3月25日(土)5時0分 ウェザーニュース

2023/03/25 05:00 ウェザーニュース

春はガーデニングや家庭菜園など始めるのにふさわしい季節です。生ごみを減らして肥料として活用できるコンポストを始めてみませんか。初心者でも取り組みやすい方法から虫対策など、詳しくご紹介します。

微生物の力でごみを減らす

コンポストとは、生ごみを微生物の力で分解した堆肥(たいひ)、もしくは容器です。
「家庭では可燃ごみとして出す生ごみですが、約80〜90%が水分で牛糞堆肥並みの肥料効果があるとされています。コンポストなら各家庭で堆肥に処理できます」と説明するのは、東京・日野市の「ひの・まちの生ごみを考える会」代表の佐藤さんです。
佐藤さんはコミュニティーガーデン「せせらぎ農園」で、市民から集めた生ごみを野菜栽培などに活用しています。
沖縄でコンポストの普及活動に取り組む「コンポスト大学生ぎんじ」さんも、「ごみを減らすために始めたコンポストですが、臭いもしないことに驚き、かつ微生物によって分解され形が無くなることが実験のようで楽しかったです! ごみ箱の匂いに悩まされることもなくなり、一石三鳥でした!」と、その魅力を伝えます。

自分に合うコンポストを選ぶ

家庭の生ごみをリサイクルするのは難しくないのでしょうか。
「一番簡単なのは、庭の一部を浅く掘って生ごみを土とよく混ぜ、上から5cmほど土をかける方法です。少しずつ場所をずらしながら埋めていけば、土の微生物により1週間ほどではじめの生ごみが消えます。臭いや虫の問題も起きにくいです」(佐藤さん)
もちろん庭を使わないコンポストもあります。
「蓋つきの木箱(キエーロ)や深めのプランターに土を7〜8割入れれば、同じように使えます。
ベランダなどで気軽に使えるのが、ダンボールコンポストです。自治体などで購入できるほか、自作もできます。ダンボールに竹パウダーや籾殻燻炭(もみがらくんたん)、腐葉土(ふようど)などを混ぜた基材を7割程度入れ、蓋をして上部を布や不織布で覆います。
最近は、室内でも使える不織布フェルト製のバック型コンポストが、一人暮らしの人などに人気です」(佐藤さん)

失敗しないコンポストの使い方

コンポストの基本は次の通りです。
▼入れるゴミは野菜くずや肉などの生ごみのみ
▼生ごみは小さくして土に埋める(基材に混ぜる)
▼蓋やチャックは閉じておく
▼ときどきかき混ぜる
▼春からは虫対策も忘れずに
「コンポストに入れるのは、野菜くずや肉などの生ごみです。魚の骨やはらわた、肉類は臭いが発生しやすいので、煮るか熱湯をかけて細かくし、あまりたくさん入れないように。腐ったもの、貝殻、栗の皮、大きめの種、動物の骨などは分解しにくいので不可。タバコの吸い殻や紙もいけません。
生ごみは、微生物が分解しやすいよう小さくします。ミキサーで粉砕する人もいるくらいです。排水口のごみ受けで保管した野菜くずは腐敗しやすいので、すぐに処理するのがコツです。生ごみの目安は、りんご箱大のダンボールで1日500g、バック型で1日300g程度までです」(佐藤さん)
かき混ぜるのは、微生物が元気に働くのを助けるため。
「紹介したコンポストはどれも、好気性発酵という酸素を好む微生物が生ごみを分解するタイプです。新たに生ごみを入れるときなどにかき混ぜて、通気性を保つのです。土に埋める場合も、3日後、1週間後を目安にかき混ぜると分解が早くなります」(佐藤さん)
これらの微生物が好む水分や温度があります。
「水分は50〜60%に。土(基材)を片手で握ると指の形が残り、つつくと崩れるくらいが目安です。
温度を保つため、コンポストは暖かいところに設置し、冬は毛布をかぶせます。
ときどき米の研ぎ汁や天かす、米ぬか、揚げ物をした後の廃油などカロリーの高いものを入れると、温度が高めになり発酵の助けとなります。ただし廃油は多過ぎるとベタベタするので、1日100ml程度に」(佐藤さん)

春からは虫対策も

春は暖かいので発酵に適している反面、虫が心配になります。
「生ごみが残ると腐敗して臭いが発生し、虫が寄ってきて卵を産みつけます。蓋やチャックを閉めるのを忘れずに。また、コンポストの影になる部分や布の裏などに黄色い卵がつくことがあるので、中に落ちないよう注意します。
ベランダなど室外のコンポストには虫除けネットを使いましょう。粘着シートタイプの虫捕獲器を側に置くのも効果があります。
幼虫が発生してしまったら、大きな透明のビニール袋に基材を入れて密閉し、薄く伸ばして太陽の光に当てます。天気がよければ2〜3日で虫が死滅するので、元に戻して使えます」(佐藤さん)
コンポストの役割は、生ごみ処理だけではないといいます。
「水分の多い生ごみを回収し、ごみ焼却場まで運搬して燃焼させるのは多くのエネルギーとコストもかかり、CO2を発生させてしまいます。
生ごみを可燃ごみとして出せば、食物連鎖は断ち切られてしまいます。堆肥にして土に還し野菜や花を育てれば、自然界の命の循環に組み込まれます」と佐藤さんは語ります。
コンポスト大学生ぎんじさんは、「マイボトルを持つ、お肉を少し減らしてみるように、エシカル(倫理的)なアクションの一つとして始めては」と、推奨します。
「私はもともとビーチクリーンなどのごみ拾いの活動をしていたのですが、そもそもごみを減らすことが問題解決に必要だと思ったのです。
コンポスト普及活動の中で『思っていたより簡単』『本当にすぐに分解された』『臭くない』など声を頂くこともあり、とても嬉しいです。ぜひ、楽しいコンポスト生活を送ってください!」(コンポスト大学生ぎんじさん)
ごみを減らし環境にも優しいコンポスト、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

ウェザーニュース

「ポスト」をもっと詳しく

「ポスト」のニュース

「ポスト」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ