「抗議なんてとんでもない。仕事がなくなってしまう」取引先の男性社員(46)から性暴力を受けた23歳女性…“正社員になるのが夢”だった彼女に退職を決意させた「上司のありえない対応」(2009年の事件)

2025年4月19日(土)18時0分 文春オンライン

〈 「仕事の上でオレは神。お前はクズや」“正社員になりたい”下請け会社の女性社員(23)をホテルで無理やり…権力におぼれた有名企業社員(46)の悪質手口(2009年の事件) 〉から続く


「抗議なんてとんでもない。仕事がなくなってしまう。事実関係の問い合わせすらはばかられる…」


 取引先の権力者である46歳男性に騙されて、性暴力を受けた契約社員の23歳女性。正社員になることが夢だった彼女に退職を決意させた「上司のありえない対応」とは? 2009年に起きた事件の顛末お届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全3回の2回目/ 最初 から読む)



夢は正社員になることだった契約社員の女性(23歳)…。彼女を襲った悲劇とは? 写真はイメージ ©getty


◆◆◆


「こっちへ来い!」彼女を襲った魔の手


「お疲れでしょうから、先に休んでください」


「いいから、隣に来いや」


 A子さんは自分が巻き込まれた状況のヤバさから、彼氏にSOSのメール。しかし、夜中では返信はなかった。


「こっちへ来いって言ってるだろう!」


 A子さんは手をつかまれ、倉田の股間をズボンの上からなで回させられた。


「やめてください…」


 A子さんが手を振り解くと、倉田はA子さんの肩を押さえつけてソファに押し倒し、何度もキスを繰り返した。


 A子さんは顔を左右に振り、必死に抵抗したが、倉田の手はA子さんの乳房をガッチリとらえ、服の上から何度も胸を揉んできた。


 さらにキャミソールやブラジャーを脱がされ、倉田は露出した体を舐めてきた。


「イヤーッ!!」


 A子さんが一瞬の隙を突いて立ち上がると、倉田はズボンごとA子さんの下着を引き下ろし、再び押し倒した。そして、あらわになったA子さんの陰部を舐め始めたのだ。


「やめてください!」


 倉田は構うことなく、A子さんの両足を押し広げ、膣と肛門に何度も指を出し入れし始めた。


 肛門に指を入れられる痛みに耐えかね、A子さんが逃げようとすると、腰や腕をつかんで引き戻し、さらに四つん這いにさせて、しつこく肛門の中を指でかき回した。その際、A子さんは肛門裂傷で全治10日間のケガをした。


 約1時間後、倉田は眠くなったのか、A子さんに膝枕をさせて寝息を立て始めた。しかし、A子さんが離れようとすると、「どこへ行くんや!」「何で逃げるんだ!」などと言って怒鳴り、結局、A子さんは全裸のまま、一睡もできずに一夜を過ごすことになった。


あまりにも非情すぎる「上司の反応」


 翌朝、A子さんと倉田はターミナル駅で別れたが、A子さんはすぐに上司に連絡。その日は倉田と一緒に営業先を回る予定だったが、とてもそんな気分にはなれず、欠勤することにした。


 夕方、喫茶店で上司に会い、昨夜あった出来事を話したが、上司の反応は期待外れもいいところだった。


「ウソをついているとは思えないが…。ウチとしては担当を変えることぐらいしかできない。それも遠回しに言うしかない。抗議なんてとんでもない。仕事がなくなってしまう。事実関係の問い合わせすらはばかられる…」


 それを聞いてA子さんは絶望感に陥り、その場で退社を決意するに至った。


 その夜、A子さんは彼氏にも会って相談。「警察に行った方がいい」と勧められ、翌日には被害届を提出した。


 それを知った倉田は何度も電話をかけてきたが、もはや相手にされなかった。その間に警察の捜査が進み、倉田は2カ月後にA子さんに対する強制わいせつ致傷と監禁の疑いで逮捕された。


 調べに対し、倉田は容疑を否認。「お互いに納得の上での行為で、無理やりした覚えはない」と言い張り、「はっきりと断らなかった被害者にも非がある」として、公判では対決姿勢を打ち出した。

〈 《懲役4年のはずが…》被害者女性は勤め先を退職→正社員になる夢も喪失…下請け会社の23歳女性に性暴力をふるった「46歳男のその後」(2009年の事件) 〉へ続く


(諸岡 宏樹)

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