B29で名古屋を6度攻撃した父の「戦闘証明書」など展示…映画も撮影、「父」に戦争責任を追及

2025年4月20日(日)16時58分 読売新聞

展示について語るフレミングさん(名古屋市で)

ニューヨークのアーティスト「なぜ父が取っておいたのか」

 名古屋を爆撃した米爆撃機「B29」の搭乗員の遺品から名古屋空襲を考える企画展「80年前、父は名古屋を焼き尽くした—B29搭乗員の記録から」が、名古屋市名東区のピースあいちで行われている。

 軍用機の工場などが集積していた名古屋市は1942年4月から45年7月にかけて空襲の標的となり、7858人が死亡、13万戸以上の家屋が焼失、損壊した。

 搭乗員は米ニューヨーク州のビジュアルアーティスト、ボブ・フレミングさん(75)の父親ロバート・バーク・フレミングさん(1999年死去)。

 2007年に母親を亡くした後の遺品整理で、名古屋爆撃地点のレーダー写真(1945年3月12日付)やB29の搭乗記録である戦闘証明書などを見つけた。

 「見た瞬間、爆撃の写真とわかった。直感的に怖いと思ったが、なぜそれを父が取っておいたのかとも思った」。発見当時について、フレミングさんはそう振り返る。

 そうした記録から、父親が搭乗員として1944年11月27日から45年5月16日まで計32回、日本への爆撃に参加していたことがわかった。市街地中心部への攻撃が本格化した3月12日や名古屋城天守閣が焼失した5月14日など名古屋には6回出撃していた。

 父親は生存中、戦争について話すことはなく、フレミングさんは「写真を見つけるまでは名古屋の場所も知らなかった」のだという。ただ、「どのように戦争のような残虐行為に関わっていくことになるか、考えてみたかった。押しつけではなく問いかけたかった」と、映画「しがみつき、燃え続ける(名古屋を消す)」(邦題、2023年)も製作した。自身が父子2役を演じ、父に戦争責任を追及するなどした。

 昨年5月、自身がピースあいちを訪問するなどして企画展や映画上映が決まった。会場では、見つかった戦時中の写真や記録など約200点が展示されている。

 5月17日まで(日、月曜休館)。入館料は大人300円、小中高生100円。問い合わせはピースあいち(052・602・4222)。

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