破損した「空飛ぶクルマ」、安全確認できるまで運航見合わせ…部品2個が落下【動画あり】
2025年4月27日(日)19時40分 読売新聞
大阪・関西万博の会場(大阪市此花区)で26日、次世代の移動手段「空飛ぶクルマ」の機体の一部がデモ飛行中に破損した。運航する丸紅は27日のデモ飛行を中止し、トラブルを国土交通省航空局に報告。日本国際博覧会協会(万博協会)は、丸紅に対し、早期の原因究明を求め、安全が確認できるまで運航を見合わせることを決めた。
丸紅や万博協会によると、事故は会場西端の離着陸場で26日午後3時頃、米リフト・エアクラフトの1人乗り機体「ヘクサ」(全長4・5メートル、高さ2・6メートル)のデモ飛行中に発生。地上約10メートルで機体上部のプロペラモーター18個のうち1個が破損し、このモーターを覆うプラスチック製カバー(縦17センチ、横15センチ、150グラム)2個が落下した。
デモ飛行の見学者が立ち入れないエリアで行われており、部品はほぼ真下に落下。機体は直後に無事着陸し、男性パイロットにもけがはなかった。
読売新聞が読者から提供を受けた動画には、パイロットが操縦装置から離した両手を見学者に向けて振るさなか、「ガタン」と音を発して部品が散乱し、機体が揺れ、後方のプロペラが垂れ下がる様子が映っていた。
丸紅の広報担当者は読売新聞の取材に「整備手順や部品管理に問題は確認されていない。安全確保を第一優先とし、リフト社と原因究明に取り組む」と回答した。
空飛ぶクルマは土日を中心に1日2、3回の飛行が想定されており、デモ飛行の見学は人気を集めていた。万博協会は26日夜、デモ飛行の中止をホームページで発表したが、27日、事情を知らずに見学に訪れる人が相次いだ。
大阪府吹田市の会社員、鵜飼康男さん(50)は「体が不自由な父親に、飛んでいる姿を動画に撮って見せたかったので残念。次に来る時までには復旧してほしい」と話していた。
今回の万博では事業者として4陣営が選定され、一部は人を乗せる商用運航を検討していたが、1陣営は運航を断念し、残る3陣営も人を乗せないデモ飛行で運航することになった。