東北道の逆走死亡事故、正面衝突前に4台すれ違ったか…事故前後に11件の110番
2025年4月30日(水)13時30分 読売新聞
事故で大破した乗用車を調べる警察官(27日午前1時12分、栃木県那須塩原市で)
栃木県那須塩原市の東北自動車道上り線で26日夜に発生した逆走多重事故で、逆走車が乗用車と正面衝突した際、この2台は走行車線を走っており、双方が追い越し車線側にハンドルを切ったとみられることが、捜査関係者への取材でわかった。通報状況などから、正面衝突事故の前にトラックなど少なくとも4台の車が逆走車とすれ違っていたことも判明した。
事故は26日午後10時頃にあった。宇都宮市峰町、無職前原勇太さん(42)の乗用車が上り線を福島県方面に逆走。黒磯板室インターチェンジ(IC)から約500メートルの地点で接触事故を起こすと、さらに2・7キロ先で岩手県北上市、会社員平岡勝利さん(56)の乗用車と正面衝突。前原さんと平岡さんは死亡した。
捜査関係者によると、一連の事故があった那須—黒磯板室IC間は、片側2車線で路肩がある。接触事故が起きた時、前原さんは路肩を直進していた。その後の正面衝突では、前原さんと平岡さんの車の前方付近の破損状況や路面についたタイヤの痕などから、この2台はいずれも中央分離帯側にハンドルを切り、追い越し車線でぶつかったとみられる。
県警によると、事故の前後には計11件の110番があった。うち4件は前原さんの車とすれ違った人からで、逆走車の存在を知らせる内容だった。26日午後10時1分から同4分までの間に集中していたという。残りの7件は事故の発生を知らせるものだった。