コメ窃盗相次ぐ茨城、「あなたの家は大丈夫?」と聞かれ保冷庫を見ると…今年すでに計4・5トン被害
2025年5月1日(木)7時43分 読売新聞
コメが盗まれて空っぽになった保冷庫(4月29日、筑西市で)
コメの価格高騰が続く中、住宅の倉庫などからコメが盗まれる被害が今年に入って少なくとも茨城県内の7市で計14件発生したことが県警への取材でわかった。盗まれたコメの総重量は計約4・5トンに上るという。4月には筑西市などで計8件の被害が相次いだ。県警は売却目的の可能性があるとみて、窃盗容疑で捜査している。
県警によると、1月に取手市で1件、3月には桜川市や石岡市、つくばみらい市などで計5件の被害が確認されており、桜川市内では計約930キロの被害が発生した。4月には計8件が集中した。このうち、県内でコメの生産量がトップクラスの筑西市が6件を占めた。稲敷市、ひたちなか市でも被害が起きたという。
周囲に田畑が広がる筑西市旭ヶ丘の住宅街では4月中旬に住宅の倉庫にあるコメ用の保冷庫から紙袋に入ったコシヒカリの玄米が盗まれる被害が連続して4件判明した。読売新聞が被害者に取材したところ、4件の被害の総重量は計約800キロだった。
この住宅街に住む男性宅では昨秋に収穫し、家族用に保管していた計約420キロの玄米を盗まれた。4月17〜19日に被害に遭ったとみられる。男性の長女(38)は「こんなことは初めて。1袋で30キロもあるのに誰がどうやって盗んだのだろうか」と困惑した様子だった。
別の女性(66)は4月19日朝、近所の知り合いから「近くの家でコメが盗まれた。あなたの家は大丈夫?」と聞かれた。倉庫にある保冷庫を開くと、三つの米袋が一つも残っていなかった。数年前からカギが壊れていた倉庫のシャッターは修理せず、保冷庫も施錠していなかった。「盗みが起こるはずないと思って、対策をできていなかった」と悔やんだ。
現場の状況などから、県警は複数人による窃盗の可能性もあるとみて調べている。県警は同様のコメの窃盗被害を防ぐため、管理する倉庫や保冷庫の施錠と周囲の見回りに加え、センサーライトや防犯カメラの設置が有効だとしている。