《GWの大渋滞》あなたの対策は大間違いかも…? 本当に意味のある“渋滞対策”3つのポイントとは

2025年5月3日(土)7時0分 文春オンライン

 新年度のバタバタのなか、多くの人が待ちわびたゴールデンウィーク。限られた遠出の機会に心は躍るが、気を重くさせるのが高速道路の渋滞である。


 今回は、「渋滞を避けるためにやっておきたい行動」を3つのポイントに絞り、ドライバーがすぐに実践できる対策を整理した。



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対策その1:ピーク時間帯の把握と回避


 もっとも基本的で、かつもっとも有効な対策は、やはりピークの時間帯を回避することである。


 具体的には、NEXCO東日本による「渋滞予報ガイド」やNEXCO中日本・西日本の「渋滞予測ガイド」を参考に、移動のスケジュールを練っておきたい。これらのガイド上では、渋滞スポットの混雑状況が1時間刻みでマップに図示されているので、旅程を組む際にとても便利なのだ。


 さて2025年のゴールデンウィークは、4月26日(土)から5月6日(火・振休)までの11日間。しかし飛び石型の連休で、4月28日(月)および4月30日(水)〜5月2日(金)は平日にあたるため、混雑は後半の5月3日(土・祝)以降に集中する見込み。


 下り線のピークは5月3日と5月4日(日)に発生する見通しであり、これを避けるには夜間や日の出前など「日が出ていない時間帯」に出発するのが基本戦略になる。


 しかし中央道や東名高速など、区間によってはこうした策が通じないこともある。たとえば中央道下りの相模湖IC付近では、3日の朝5時の段階ですでに45km規模の渋滞が予測されている。


 また東名下りの秦野中井IC付近では、2日の22時頃から40km規模の渋滞が予想されるなど、連休入りは夜中あるいは早朝に出発しても渋滞に捕まってしまう可能性がある。


 3日の昼過ぎから夕方にかけて混雑は解消していく見通しなので、午前中は近場で過ごし、ゆっくり昼食をとってから出発するのも有効かもしれない。あるいはある程度の渋滞を覚悟しつつ、「最悪の時間帯だけは避ける」という動きもアリだろう。


 一方、上り線のピークは4日から5日にかけて発生する。とくに5日は、中央道や関越道、東北道で30km以上の渋滞が生じる見込みであり、混雑のピークは午後から夜に集中する。


 そのため理想的には、午前中に渋滞スポットを抜けておきたいところだ。あるいは最終日の6日には混雑がかなり緩和される見通しなので、帰宅を1日遅らせるプランを検討してもよいかもしれない。


対策その2:混雑時ほど「キープレフト」を意識


 高速道路が混雑している状況では、右側の車線に車両が集中する傾向にある。混雑とともに全体のペースが落ちていくと、「もっと速く進みたい」というドライバーがこぞって右車線に移っていくからだ。


 2017年に NEXCO東日本が東北道上りの佐野藤岡IC〜館林IC間で実施した調査 によれば、渋滞中の車線利用率は、第1走行車線(左側車線)が20%であったのに対し、第2走行車線(中央車線)は36%、追越車線はなんと44%にも上る。


 こうして右側に車両が集中し、車間が詰まっていくと、少しのブレーキが後続車に伝播していき、結果として渋滞につながっていく。


 そのため混雑時にはあえて左車線をキープすることで、車両台数が相対的に少ないレーンを進めるし、何より渋滞の抑止効果にもつながる。


 先のNEXCO東日本による調査では、同区間で左側車線の利用を促すLED標識を設置し、第1走行車線、第2走行車線、追越車線の利用率がそれぞれ28%、34%、38%にまで平準化された結果、最大渋滞長も22kmから10kmにまで改善したという。左車線を使う人が増えれば、渋滞も緩和されるわけである。


 もちろん、大型ジャンクションやSAなどの合流がある場合、左側車線のペースが遅くなることもある。しかし混雑時に「あっちの方が早そうだ」とやたらと車線変更を繰り返すくらいなら、「基本はキープレフト」を心がけるのが渋滞抑止としても、事故の予防としてもよいだろう。


対策その3:ロードトラブルへの備え


 通行量が激増する大型連休には、おのずとロードトラブルも増えていく。とくに高速道路を走る際は、事前にタイヤのチェックを欠かさないようにしたい。


 JAFの発表によれば、高速道路上で生じるロードトラブルのうち、約4割をパンクやバーストなどの「タイヤ関連のトラブル」が占めている。 去年のゴールデンウィーク期間(11日間)には高速道路だけで、二輪を含めると995件の救援が発生 しており、1日に90台以上のペースでパンクやバーストが生じていたことがわかる。


 こうしたロードトラブルは、「普通に車検を受けている車」とは無縁のように思われるかもしれない。しかし、 一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)の調査 では、ドライバーの4人に1人が過去にパンクやバーストを経験しているという結果が示されている。


 またJATMAが推奨する「月に1度のタイヤ点検」を実施しているドライバーの割合は、25%に満たないことも報告されている。空気圧の低下したタイヤはパンクのリスクも大きくなるし、ひび割れやクラックはバーストにもつながる。


 こうしたロードトラブルは旅程を大きく狂わせるばかりか、自他の命に関わる重大事故の原因にもなりかねないので、出発前の給油時などにあわせて点検しておこう。


 また渋滞にハマったときのために、水分や食料は多めに車載しておきたい。とくに気温が高くなっていく時期は、気づかないうちに身体の水分が奪われていく「かくれ脱水」になりやすい。


 渋滞中は冷房の効きも悪くなるので、お茶やジュースだけでなく、スポーツドリンクや塩分補給のタブレット、経口補水液など、熱中症対策をしておくとよいだろう。


渋滞対策は「事前の準備」がすべて


 細かいポイントだが、SA・PAでのトイレや給油の計画も重要だ。ドライバーの心理としては「ある程度進んでから休憩しよう」と考えてしまうものだが、そうしたポイントの大規模SAは相当に混雑する傾向にある。


 とくに混雑のピーク時には、トイレ休憩に1時間以上を要するケースも珍しくない。高速に乗ってすぐのタイミングであっても、道路情報板で入れそうなSA・PAを見つけたら、とりあえず寄っておく意識が大切だ。もちろん万が一のため、携帯用トイレは必ず車載しておこう。


 実際のところ、ゴールデンウィークの長距離移動で、完全に渋滞を避けることはほとんど不可能かもしれない。しかし、事前の準備で「ひどい渋滞にハマらないようにする」「渋滞で悲惨な目にあわないようにする」ことは十分可能である。


 出発時間や経路など、「少しの工夫」が大きな差につながることもある。十分な下調べと対策により、充実したゴールデンウィークを過ごしたいところだ。

〈 「通過には135分を要する見込み」の場合“下道”を走るのが正解? 不正解? 渋滞に見舞われたときの“正しい対応”とは 〉へ続く


(鹿間 羊市)

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