万博開催の関西でホテル高騰、カプセルでも1泊2万円超…フェリーが宿代わりの安価プラン登場
2025年5月4日(日)15時0分 読売新聞
家族連れらでにぎわう大阪・関西万博の会場(4月26日午前、大阪市此花区で)=吉野拓也撮影
大阪・関西万博が開催されている関西では、ゴールデンウィーク(GW)を迎えてホテルの予約が取りづらくなり、宿泊料金の相場が高騰している。1泊2万円を超えるカプセルホテルもある中、海上を運航するフェリーを安価で宿代わりに提供するプランも登場した。(野平貴、佐々木伶)
■下船必要なし
神戸—高松間のフェリーを運航する「ジャンボフェリー」(神戸市)は2月、船を宿代わりにする「ふね泊」プランを始めた。
フェリーは神戸港を午後7時台に出港し、午前0時頃に高松港に着く。このプランの利用客は、高松に着いても下船の必要がなく、そのまま復路の便で翌午前5時に神戸港に戻ってくる。最長で午前7時まで部屋に滞在することができ、実質、神戸市内に宿泊したのと同じというわけだ。
料金は平日でロフト個室の場合、1人1泊4990円(税込み)。個室には3人まで泊まれ、1人分の追加料金は1990円だ。
4月28日には7組の観光客らが利用した。家族4人で京都や神戸を巡る石川県小松市の男性(30)は、「お得感があり、子どもも楽しめると思う」と話した。
同社の広報担当者は、「神戸からバスに乗れば万博会場に行くのも便利。宿泊に困っている人の力になりたい」と話した。
■「外国人客は料金気にしない」
万博の開幕以前から、関西の宿泊需要は高まっていた。大阪観光局の推計によると、円安などを追い風に、2024年に大阪を訪れた訪日外国人客は約1459万人で、コロナ禍前の19年の1・2倍と、過去最高を更新した。今年の1〜3月も前年比で3割以上増えている。
宿泊施設の稼働率(2月時点、観光庁まとめ)では、大阪府が全国トップの76・4%を記録。不動産データ分析大手のコスター・グループ傘下「STR」の調査では、昨年の大阪府内のホテルの平均客室単価は、前年より13・7%高い1万7774円だった。
そんな中、高級カプセルホテルのファーストキャビン西梅田(大阪市福島区)では4月以降、土日を中心に、1泊2万円を超える日が出てきており、2万5200円の日もある。5月中、多くの日は大半の部屋が埋まるか、売り切れている状態だ。
運営会社は4月から、AI(人工知能)と人の判断を組み合わせ、需給を予測して価格を決める仕組みを導入した。これまでの最高額は、羽田空港にあるホテルの1万6000円程度だったが、大幅に更新したという。広報担当者は「円安の影響からか、外国人客はそれほど(料金を)気にしないようだ」と話した。
■隣県に泊まる
大阪の近隣府県では、宿不足に困る観光客を取り込もうとする動きもある。
和歌山県は、旅行会社やJR西日本と連携し、万博の入場チケットと和歌山の宿泊を組み合わせたプランを企画した。
万博をきっかけに県内を訪れる宿泊・日帰り客は約189万人に上ると試算しており、県万博推進課は「和歌山に泊まって、万博と県内の観光地の両方を楽しんでほしい」とアピールする。