「これ、かわいくない」と同意を求めただけなのに…SNSのやりとりで誤解防ぐには
2025年5月6日(火)10時22分 読売新聞
SNSで誤解されやすい言葉遣い
入学や進級で子どもの交友関係が変わる時期だ。LINEなどのSNSで友だちとやり取りを始める子どももいるだろう。使い方によっては友だちとの関係や生活に影響が出かねない。トラブルを防ぐ方法を専門家に教わった。(吉田尚大)
「NTTドコモ モバイル社会研究所」が2023年11月、関東地方の小中学生600人とその親にアンケートを行った結果、SNSの利用率は小学1〜3年生で36%、小学4〜6年生で58%に上った。
安全な使い方を覚えてもらおうと、KDDIは小中学生などを対象に「スマホ・ケータイ安全教室」を全国で開いている。講師の日野有子さんは、SNSの注意点として「文字だけなので感情が伝わりにくい」ことを挙げる。
例えば「かわいくない」という文章。送る側は「かわいいと思わない?」と同意を求めるつもりでも、受け取った側は「かわいくなんかない!」と否定の意味で受け取る可能性がある。
日野さんは、「書いてすぐに送信せず、『自分の思いがきちんと伝わるだろうか?』と読み返すことが大切」と話す。受け取った側は、文章を読んで不快な気持ちになっても、すぐに感情的な返信をせず、「あの子がこんなことを書くだろうか」と、真意を考えたほうがいいという。
LINEのやり取りは長々と続きがちだ。上手に切り上げるためには、LINEを始める前に、友だちと「午後6時になったらやめよう」と決めておく。「うちはお母さんがうるさいから」と親を理由にしたり、「うちはスマホを使っていいのは午後6時までだから」と、家庭のルールを盾にしたりするのも有効だという。
子どもにスマホを持たせる時、親はどのようなことに注意すればいいだろうか。
子どもの安全について研究しているセコムIS研究所主務研究員の舟生岳夫さんは、「親が買って子どもに貸しているだけ。約束と違う使い方をするなら貸すことはできない」と、自由に使うことを認めているわけではないと、くぎを刺すことを勧める。親の目が行き届くように、「使えるのはリビングだけで、自分の部屋には持ち込まない」などとルールを決めてもよい。
子どもがメッセージを送信する前に親が目を通したり、メッセージの内容を聞きとったりすることでトラブルの予防が可能になる。誰かの悪口や、いじめを持ちかけるようなメッセージが届いた時は、必ず親に相談するように約束させる。自分で解決しようとして「こんなことを言うのはやめよう」などと返信すると、思わぬトラブルに発展する恐れがあるためだ。
スマホを使える時間については、「親が一方的に決めるのではなく、『何時までならいいと思う?』と尋ねて子どもに考えさせ、その時間を守らせては」と提案する。
舟生さんは、「SNSに書いたメッセージは残り、『あの子はこんなことを書いていた』と後々、言われるかもしれない。その怖さを子どもに言い聞かせてほしい」と呼びかけている。