海上保安学校の受験者半減、止まらぬ倍率低下…大学生へアプローチ・体格基準撤廃で募集強化

2025年5月6日(火)11時47分 読売新聞

海上保安学校の受験者数と実質倍率の推移

 海上保安庁職員を養成する海上保安学校(海保校)の学生採用で、昨年秋に実施した一般課程(4月入学)の受験者が前年比でほぼ半減し、実質倍率も2・7倍から1・8倍に低下したことがわかった。幹部を育てる海上保安大学校(海保大)も2・7倍にとどまり、いずれも過去最低水準。離職対策に加えて新規採用も課題になっている。

4年連続で前年を下回った受験申込者数

 海保校の一般課程は〈1〉航海士〈2〉機関士〈3〉主計士(船内での調理・経理)〈4〉航空整備士〈5〉通信士——の5コースに分かれ、1年で現場に出る。通信機器や灯台の運用を担う〈5〉は2023年(24年4月入学)まで〈1〉〜〈4〉とは別枠での受験だったが、受験者数が特に低迷。採用予定数を満たす合格者を出せず、24年から〈1〉〜〈4〉とともに一般課程となった。

 海保によると、〈1〉〜〈5〉の受験者数は18年に計2210人で、これを最終合格者数で割った実質倍率は4・2倍だった。その前から下落傾向が続く中、23年に1583人、2・7倍と下がった後、24年は843人、1・8倍へ急落した。

 24年は1次試験が26道府県警の試験日と重なったといい、採用担当者は「受験者が減った分、志望度の高い人の割合が大きかった」と説明する。ただ、前年を上回ることを目標とする受験申込者数は、民間企業の初任給アップなどを受け、4年連続で前年を下回った。

身長・体重基準を撤廃、大学生へアプローチ強化

 こうした状況に、海保は今年の採用から海保大、海保校の身長・体重基準を撤廃した。従来は男子が1メートル57と48キロ、女子は1メートル50と41キロが必要だった。海洋データの収集・分析担当者を育てる海保校の海洋科学課程も、今年の試験科目から物理をなくし、数学と英語の2科目に減らした。

 さらに、海保校の採用では高校・専門学校生に加え、大学生へのアプローチを強化している。海保校出身者にも、3年以上の実務と選抜を経て、海保大の幹部養成課程に進む道が開かれており、この点をアピール。今年4月の入学者の17%が大卒者で、前年から4ポイント増えた。

 海保幹部は「採用の『質』を確保する上で一定の受験者数は不可欠。定員増のさなかに現状では足りず、引き続き知恵を絞り続けたい」と話した。

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