スーパーなど優越的地位を乱用し納期「3分の1ルール」、食品ロスも発生…公取委が商習慣を問題視

2025年5月12日(月)23時31分 読売新聞

公正取引委員会

 公正取引委員会は12日、食品流通の商慣行に関する実態調査報告書を発表した。「3分の1ルール」と呼ばれる食品の納入期限に関する独自の商慣行を問題視し、大手スーパーなどの小売業者らが食品メーカーと協議せずに納期を設定する場合、優越的地位の乱用として独占禁止法違反になる恐れがあるとの見解を示した。(小林泰明)

 3分の1ルールは食品の製造日から賞味期限までの期間を、食品メーカー、スーパーなどの小売業者、消費者が3分の1ずつ分け合う食品業界の商慣行。例えば、賞味期限までが6か月の食品の場合、食品メーカーは食品の製造日から2か月以内に小売業者に納入しなければならない。

 この商慣行を経験したことがある飲食料品メーカーなど約1100社にアンケート調査を実施し、「不満」とする回答は7割に上った。「期限までに納品できなかった場合、費用を全額負担させられるから」との理由が最も多かった。聞き取り調査では「小売業者などから3分の1ルールを一方的に強制されるため、従うしかない」との声も出た。

 公取委は、小売業者らが食品メーカーなどと協議しないまま、3分の1ルールを守るように一方的に通告することは優越的地位の乱用として独禁法違反になる恐れがあると指摘した。台風などの災害の影響で食品メーカーが納期を守れなかった場合に、小売業者らが一方的に商品の受け取りを拒否することもあるといい、こうした行為も同様に独禁法違反にあたる恐れがあるとした。

 発注から納品までの期間が短い場合があることへの不満も強く、調査では「特売日の前日に(小売業者の)発注数量が確定し、翌日には納品しなければならない」といった声も上がった。公取委は、小売業者らが短期間での納品を求め、食品メーカー側のコスト負担が増えたにもかかわらず、納品価格を一方的に据え置くことなども独禁法違反にあたる恐れがあるとしている。

 公取委によると、3分の1ルールの納品期限を過ぎた食品は、まだ食べられるにもかかわらず、食品メーカーに返品され、廃棄されることもあるという。公取委は報告書を食品業界に周知し、問題のある商慣行を改善することで食品ロスの削減につなげる考えだ。

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